降るもの終わらず
落ちるもの終わらず
水の底とどかず
降りつづけ 落ちつづけ


陽は漂い
鳥の背の上
曇と海のまばたき
隠すことのできない目


眠た ....
波の下を
波の舟がゆく
荒れ地を
三つの影がすぎてゆく


灰の針で描かれた街
凍る窓に浮かぶ一房
蛾の葉 ひとつの枝
ふるえ ふるえる


窓を横切る歌の ....
わたしの先を歩むかたち
わたしのかたちの穴を飛び越え
ふたつの機械の音は重なり
小さく小さく泳ぎはじめる


蜘蛛の巣と栗鼠
やわらかな時間を
ゆうるりと降りる
冬が ....
部屋のなかの折れた櫛を
覗き込む鴉
鉄格子 窓
鉄格子 窓


鏡を照らす鏡
夜を囲む夜
目が痛む 息を吐く
雪が止む


夜に切る爪
赤い中指
罪人の樹の ....
夜の白い柱
湯と水の境い目
置いてゆく
おまえだけを 置いてゆく


溶岩の鳥 溶岩の鳥
魚の口の渦から
ひかり放たれ
見える径の向こう


複数の地下の部屋に ....
けしてかつてのものではなく
これからのこれからの願いが灯り
指の仮面を着けては外し
まぶしさにまぶしさに涙する


紙の鳥が歩む
雪と葉と楽譜
木陰で歌う誰か
曇 ....
こむずかしいことを言う奴は殺す
わからないことを言う奴から殺す
真夜中にひとり 径を歩いているだけなのに
それを咎めるような奴は殺す


崖の途中にぶら下がる屍体
月と陽 ....
羽も 曇のかけらも息苦しく
空の喉から吐き出されている
水平線に生い茂る咳
白く白く渦まく風


動かぬ曇の歯車が
動かぬままに重なりつづけ
やがて月に照らされながら
 ....
夜 窓に至る暗がりに
幾つかの鉄柱が立っていて
ここからは月の檻です
と言う


長い長い髪の毛が四本
自分が髪の毛だと知らぬまま
夜に絡み
そよいでいた


 ....
左目の鴉は月に帰り
右目の鴉は海を埋める
冬 青 銀 冬 青 銀
径のかけらが 径に散らばる


服は水に濡れ 黒くなってゆく
黒くなってゆく黒くなってゆく
臓物が背か ....
切りすぎた足爪
花嫁 花嫁
夜通し夜を押しのける
暗く蠢く四角い風


水のなかで踊る刃
片足の羽
夜に傾き
海と空と地の螺旋


折れないのか 原を蹴り
 ....
車輪 歯ぎしり
笑い すぎる曇
橙色に触れる指
午後の星のはじまり


水の蜂 あがき
音の失いきらめき
泡の浪 痛み
報われない 複眼


夜に鳴る紙
さざ ....
闇の紋
闇の渦をなぞる金
水を切る風
景を梳く風


手のひらの上の 見えない珠の内で
星が生まれ 消えてゆく
その光を浴び 手のひらもまた
消えては現われ  ....
子の声 子の声 子らの声
群れの光 ひとりの声
苔むした壁と
向こう側の声


小さな宴に自らを閉じ込め
濃い影 濃い影
高みへ
高みへ昇る水たち


うなずく ....
扉を開けては閉めるたび
隙間に見える光の網
様々な色の格子 格子
そこにはばたき 散りかがやくもの


窓の向こうを
廻り すぎる影
重なる脚
のびてゆく 脚

 ....
夕方のにおい
泡と爪
捨て置かれた
水たまりの径


光を隠す蜘蛛の巣から
小さな蛾が何羽も生まれ
造りかけの橋が墓になるまでの時間を
ゆうるりとゆうるりと埋めて ....
花のかたちをした夜が
水を駆けて駆けてゆく
水を求め うたう声もまた
駆けて駆けて駆け抜けてゆく


手のひらに降る灰
すぐ消える灰
鉄柵の内の空
すぐ消える空
 ....
曇の朝が小さく鳴き
星と風を交換する
数えてもらえないものがひとつ
水たまりのそばでふたつになる


建物の骨 ひらく青空
涼やかな光が
揺れる原の一部を
昼のなかの ....
いつもよりかすかに
いつもより明るい
夜の水のさえずり
手のひらの暗がり


鏡のなかにひらく傘
夜に向かう硝子の群れは
陽の名 月の名 
星の名を問い


果 ....
命の抜け殻の羽ばたく音が
息と手のひらのかがやきを見ている
朝が
径の上の夜を流す


頭の穴に降りそそぐ
夜の指の先端の星
まばゆく痛み
頬へあふれ こ ....
涙を拭いた紙で酒を拭く
鳥か四ツ足か分からぬものが覗き込む
切りつづけ 喰いつづけ
泣きつづけ 呑みつづける


鳥の羽を持つ虫が
命の行方の地図を照らし
在るはずの無 ....
夜の蒼のなか 点滅する灯
赤と白と 碧の建物
鉄のかたちが 
径に横たわる


夜のなかの夜を見すぎて
暗い泡が浮かんでは消えない
目を閉じたまま何を視 ....
雨のなかの白を追い
ふたつの午後が終わってしまう
雨の後も白はひろがり
宙に音を描きつづけている


鳥が一羽
白をついばみ
描かれた音に
音をこぼす


金と ....
闇さえわたし
照らすことのない
光さえわたし


鉄柵の奥の
まぶしい水
冷たくひらく
ふたつの香り


二重の曇
二重の径
まがいものの絵筆の空を
白 ....
匂いの無いうたから
花は聞こえ来る
雨の針 雨の針
ひとつひとつに
霧を閉じた粒


さくさくと喰む曇の
ゆるやかな揺れゆるやかな揺れ
水が到く前の
手のひらの静け ....
雨のなかの声
とおりみち


夜に立つ
銀の生きもの
夜を 揺らす


曇の音
手をふるもの
雨の去る音


月が照らす海
小さな声
静かな ....
遠い遠い
遠い振動
真四角な
ひびき


降りて来そうで来ない手が
曇のすぐ下を漂っている
何も無いところから生まれ
流されることなく浮かんでいる


雨音が止 ....
真夜中に
外国人が部屋に来て
ジーンズを穿かせてほしいと言ったので
つぎはぎの古いジーンズを渡した
そのまま何日か
居つづけた



ある日 外国人が
 ....
乾くことのない水滴に
静かに静かに築かれる墳墓
月の動きを
見つめている


後ろに手を組んだ花
折れた櫛の先
人々は憤り
道に夜が来る


霧の雪
鳥居 ....
こぼすものなく
こぼすものなく
またひとつになる
雪の花が
雪の手に廻る



遅いまたたきが
音の背を見る
幾重にも連なる
虹の輪を見る


熱くて
触 ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
冬 午後 浪自由詩220/3/4 9:43
冬 真昼 器自由詩020/2/16 19:23
ひとつ つまびく自由詩020/1/28 21:02
冬とまばたき自由詩220/1/10 9:52
ノート(56Y.12・13)[group]自由詩119/12/13 21:58
むすび はばたき自由詩119/12/13 21:57
ノート(56Y.11・26)[group]自由詩519/12/13 21:56
あかり はじまり自由詩319/11/21 9:44
径と銀河自由詩519/11/7 20:17
わかれ わかれ自由詩319/10/22 20:32
かたちたち いろたち自由詩119/10/6 20:35
飛べぬもの 視るもの自由詩319/9/28 19:15
あと かさなり自由詩119/9/14 20:03
遠い 遠い自由詩019/8/29 19:35
夜のかたち自由詩019/8/9 8:26
病みめぐり 夜ひらめき自由詩019/7/24 21:01
ひかり ひとふさ自由詩119/7/11 8:54
迷うもの 水の径自由詩119/6/27 8:08
めぐり越える手自由詩119/6/14 9:09
降り来る言葉 LXX[group]自由詩219/5/29 20:38
火原 けだもの自由詩319/5/11 2:29
降り来る言葉 LXIX[group]自由詩219/4/29 9:11
夜 羽織る夜自由詩319/4/21 9:53
声と鉛自由詩119/4/8 19:42
ひかり ふるえ自由詩019/3/26 15:19
ひかり しずか自由詩219/3/14 23:02
ひかり 迷う手自由詩119/3/3 21:43
ノート(外国人とジーンズ)[group]自由詩019/3/3 21:42
ひかり 冬の手自由詩219/2/17 20:56
ひかり 放す手自由詩219/2/5 20:44

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