雨上がりに鳴く光
凍りはじめた水窓に
夜は夜を増してゆく
指の熱さ
銀をころがし


給水塔なのか
送電塔なのか
遠く水色の光のなか
土に刺さる
やるせなさ

 ....
冬野原こがね足跡きつね罠



名ばかりの光の主の枯れ穂かな



屋根に散る月の尾羽の騒がしく



眠りにて眠りにつもる眠りかな



生も死も ....
暮れのこがねの海岸に
こがねに染まった猿がいて
石穴に石を通そうとしている


街中にはりめぐらされた
ロープウェイの鉄線を
無人のトロッコが走りつづける


 ....
包み紙をひらくと
何もなかった



てのひらだけが
よろこんでいた
花が流れる
路を川を空を径を
鐘の音も見張りも
気づかぬうちに


喪服の赤子
灯台を覆う花嫁
濡れながら
うたいながら


百合のむこうの枯れ野
変わりつづ ....
雷光と虹
透る曇
さらに高みの色を降らす
雪の無い
凍える径


銀と緑の
さかいめと折りめ
銀にも緑にも
照りかえす夕べ


四角く白い陽がわたり
角は廻 ....
暗がりを廻すまばたきについて
本をひらけば忘れてしまう
脆くまばゆい粉について
うたうことは覆うこと
それでもけして埋まることのない
ひとりとひとりのはざまについて


宙 ....
小さなほころび
どこへゆくのか
頬ふくらませ
どこへゆくのか


果実の耳を
匂わせすぎて
帰るころには
涙あふれて


雨の朝ふいに
何をしているの と問わ ....
ギャロップ ギャロップ
地表は斜めのフォックストロット
朝陽にふくらむ窓や壁
影の行方を振り向きもせず


半分の虹
速い夜
河岸はふたつ
遠い橋


冬のさな ....
冬は重なり
遠のいていった
蒼は銀になり白になり
やがて見えなくなり
聴こえなくなり
さらに見えなくなった


映った力が生きていて
刷毛のように支配した
塗り ....
川辺の泥に倒れたまま
扉はひとりうたっている
烈しい生きものの光が
近づいてくる


夜を焚くむらさき
自らを混ぜるむらさき
羽の切れはしを
こぼすむらさき

 ....
小さな虹が
扉をたたいた
革の鋏 半月の窓
銀と白がすれちがう径


蛇の頭に
打ち下ろされる槌
爪のはざまの血
底へ向かう 斜面の途中


渦を吸い込み
渦 ....
兵士を探している
冬の砂を知らない
兵士を探している
時と共に変わる
陽と同じ色の
戦士を探している


戦士を探している
夢のなかの会話の
戦士を探している
背 ....
一時の財宝
裏がえしの空
誰も憤らない
銀のためには


遠く離れた場所で
ひとりは発熱する
不用意な一行を
消し去ったあとで


曇と曇の
重なりの牢
暮 ....
からくりをひらくと
蜘蛛と草が居た


蜘蛛が草に話しかけると
からくりは動き
草が蜘蛛に話しかけても
からくりは動かなかった


からくりを閉じた
ほんのわずか ....
深みどりの雷雲が
午後から夜へ沈みゆく
生乾きの蜜の壁
羽を持つ虫に埋もれながら
暗がりの履歴を見つめている


霧の頂点に落ちる光
窓の無い家に映る四角い明かり
壁 ....
誰もいない貧民窟に
火をつけてまわっている
腕に落ちる黒い滴
横顔を映して動かない


棄てられた木製の遊園地で
コースターだけが走りつづけている
午後の灰が
残 ....
死と
チェスをしていた


これが二度めの生だと
負けた後で気が付いた
小さな灯
水面のさかしま
何処にも着かない径
原を割る径


夜の二重の影
灯りに満ちた 動かない船
港を囲む 誰もいない径
さらにさらに白い径


傾けただけ ....
梟が集まり
少女になった
左目を連れて
飛び去った


虹彩の失い
光のまばたきを残して
波打ち際
囚われ
葉の陰の家


ひらくことのない窓の奥で
何かが白く動いている
夜と夕べ
決まった時間に


舌に触れる
かたまりの記憶
触れては遠のく ....
暗がりのなか
後ろにふいに立つ人影を
走り寄って手で払うと
数秒後に窓の外から
叫び声が昇り 消えた


ああ そっちの方へ抜けたのかと
納得した




 ....
荊の洞
乳白の土
夜から径へ落ちる光
水へ水へ分かれゆく


腕ふるごとに
曇呑む曇
刃を振り下ろす
粉の光


風はふたつ
夜を透る
忘れた言葉
積もる ....
羽を
水とともに飲み
水とともに飲み
暮れは破け
むらさきを飲み


光をくぐるもの
目をそらす埃
自分の髪を自分で編む冬
ぬかるみの故郷に降りそそぐ朝

 ....
遠く水が閉じるところ
遅い秒針をかきわけ追いやり
夜は夜に身を起こし
剥がれこぼれる光を向く


すべてが昇る夕暮れに
ひとつ落ちる冬の爪
おまえは銀を忘れたという ....
夜へ向かう枯れ野のなか
光のように咲く花もある
だが彼の目はただ
手のひらの淵にそそがれている
朽ちた椅子に腰かけ
うなだれる背と膝を
まだ照らすもののあることに気付く ....
鏡のなかに咲く花へ
何も見ない花が集まる
触れようとしてはあきらめ
周りに次々と根付いてゆく


給水塔をめぐる曇
青は染まらず
青は分かれ
壁に塗られたした ....
てのひらの水 手のひらの水
生まれては還る
消えては還る
響きを含み 吹き出しながら
虹のかけらに火傷しながら
失くした金と緑を見つめ
渦をひらき 放ちながら
水の壁を倒 ....
爪で頭を掘るたびに
うすく小さな羽が生まれる
「いつまでもたどりつけない」と嘆く羽
たどりつけたらどうなるのか
未だに訊けないままでいる
象のような花が咲き
絶えぬ浪を踏みつづけている
霜が静かに鳴っている


海をすくう
手のひらが光る
すぐに消える
すぐに光る


わだつみではない
一滴で ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜ひらく夜自由詩213/11/8 9:06
冬一重俳句313/11/4 3:46
ノート(かたむき)[group]自由詩813/11/4 3:42
ノート(つたわり)[group]自由詩513/11/4 3:39
冬と檻光(十六の視花)自由詩313/10/31 11:37
みたび めぐる自由詩313/10/25 21:10
ふたつ ひびき自由詩313/10/15 14:17
泡を巡る(大きな服)自由詩413/10/11 15:32
ひとつ 足音自由詩313/10/8 14:02
ひとつ 翠光自由詩513/10/3 11:20
降り来る言葉 LXVI[group]自由詩313/10/3 11:18
ひとつ 指先自由詩213/9/25 19:42
ノート(闘)[group]自由詩213/9/25 19:39
夜の柱自由詩213/9/18 10:46
ノート(からくり)[group]自由詩613/9/18 10:41
ひとつ 流転自由詩313/9/14 12:36
ノート(50Y.9・10)[group]自由詩313/9/14 12:34
ノート(チェス)[group]自由詩313/9/14 12:33
ひとつ 青へ自由詩213/9/8 3:40
ノート(梟)[group]自由詩313/9/8 3:37
ことわりの海自由詩513/9/4 22:05
ノート(ぬけ)[group]自由詩313/9/4 22:02
色と羽 Ⅲ自由詩713/8/30 21:25
色と羽 Ⅱ自由詩1013/8/24 22:49
色と羽自由詩613/8/19 9:54
ノート(リトアニア2010)[group]自由詩213/8/19 9:50
ひとり あおぐ自由詩213/8/14 23:25
ノート(ひらく ひらく)[group]自由詩413/8/14 23:22
ノート(剥歴)[group]自由詩413/8/14 23:20
葉月 震動自由詩313/8/7 2:00

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