椀に触れたことのないくちびる
樹液のにおいのくちびる
人を知らないくちびる
ひとりを生きてゆく手のひら


人の姿をした冬の
はじまりと終わりが並んで立ち
木々が途 ....
小さく丸く遠い曇が
月よりも明るく輝いている
夜の陽の白
草はまわる


暗い工場
巨大な 機械の足
逃れようとするたびに
増えてゆく階層


ひとつは昇り
 ....
雨粒が描く横顔
花弁 花芯 青空 花嫁
緑の浪に吼えるもの
朽ちた舟に咲く光の輪


星の渦のなかの横顔
誰にも到かない微笑
空は動かない片翼
分かれては出会う分かれ ....
宝という宝を
隠してまわる
乳とくちびる
紙の拘束具


科学から きらきらと
こぼれ落ちるもの
分度器と海辺
浪あおぐ 風あおぐ


噛みつかれないよう
互いにふわ ....
暮れの空に 巨きな曇が
ひとつ浮かんで動かない
街を隔てる径のむこうに
家より高い鉄の樹がある


街へ 光へ
到くもの 到かぬもの
降りそそぐ 機械の星
花の星
 ....
星の底の星
海を焼く夜
はるか下の白い崖には
風が暗く渦まいている


虹に近づいてゆく気持ち
虹から降りそそぐもののなかを
歩いてゆく気持ち
虹に染まる気持ち
 ....
痛みを持たない笑顔から
毒も疫病もない広場へと
脈打つ雫が落ちて来て
紙の上には無い言葉を晒す


今は誰からも忘れ去られた
早死にの国から群れは来て
陽に焼けた影の落 ....
何も無い荒野から
無いものの無い荒野へと
言葉を言葉に放つ指
言葉を言葉に散らす指


腕の先 拳の先
曲線 放物線
吸い込まれてゆく
泪とともに生まれる花

 ....
もっと大きくてもいいのか
火山に生えた翼がつぶやく
流れ下るもののすべてが
草と星雲の踊りを照らす
頭の頂に毒を揉み込む度に
地を踏み抜き
空を裂く器の音が
途切れることなくつづく
月のまぶしい
天気雨の夜
雨と星を
月と海を混ぜる指


岩と水と樹
斜めの夏
痛みと窪み
路地を飛ぶ影


螺子 廻る方へ
廻る光
下へ 土へ
水の ....
もうひといきだ
ひともどきまで
もうひといきだ
しかし骨が光になってゆくのは
水たまりが渇くより早いものだ

















 ....
瓶はこちらを向かなくていいのだ
羽をたたみ 地に降り立ち
夜のむこうの夜を見ていればいいのだ
線を踏んで 花の内
爪先立ちの 花の内
花を 花を
他から多へ


掴もうとする手の反対側へ
しずくは落ちて 落ちてゆく
膝を折り 倒れる鏡
映るものは空と地ばか ....
夜の泡の音
虫も草も聴こえぬ径
遠く流れる星の瀧
夜の泡の音


欠けた鏡
隠れた鏡
持つ手が映る
夜も映る


発つ光
着く光
手のなかの氷
 ....
またたき またたき
またたきの音がする
しびれているのは 右か左か
どちらの目なのか
両方なのか



左足を咬まれて
愉快でたまらない
左足の内に 咬んだものが潜 ....
考えても仕方の無いことを
考えても仕方が無いのだが 考えてしまう


考えて書けってなんだ


書くことは常に
考えの外に在るのだ







 ....
見えないものが膝の上に居て
明けてゆく空をみつめている
むらさきの径 つじつまあわせ
陽を呼ぶ声 目をふせる声


指のすぐ上を廻りつづける輪
まばたきすると赤くにじむ輪 ....
水に押された風が
屋根の上を梳き
かがやきを降らせ
音を降らせる


光の羽の子と光の蜘蛛の子が
どうしたらいいかわからずに
ずっと見つめあったままでいる
風の螺旋が ....
白い肌の巨大な魚は
まだ窓際に横たわっていた
今になって気付いたことは
目だと思っていたところが模様で
模様だと思っていたところが目だということと
魚は最初から
こちらを見 ....
空に生えた逆さの地から
何かが幽かに降りつづく
鉄の網目を埋める鳥
花の名を鳴く 花の名を鳴く


暗がりの奥を転がる音
崖から指まで 静けさに紛れ
時おり色になり ....
窓際に横たわる巨大な魚
陽の光よりも白い肌
そばを通るたびに目が合い
目が合うたびに消え現れる
廊下に机を並べてもよいか
と 紳士が言う
あわてて廊下に出てみると
既にたくさんの人が着席している
窓の外の雪景色は
常に上下に動いている
階段の照明は 
意図的に消され ....
双つの矢が
雨にまぎれ 落ちてくる
見るものの影を
激しくはためかせながら


夜から朝
残る風の門
片目だけの雨
手のひらの雨


はためくものがうずくま ....
氷山にあいた窓に
鳥と気球と蝶がいて
空を見たまま飛べないでいる
ひとつ 逆さのアルファベット


雨の隣には雨
その隣にも雨
雨のむこうの雨
雨のふりをした雨
 ....
花が花を追い
光が光を追う
互いが互いであることを忘れ
互いが互いをくりかえす


雨は雨
ほつれた糸
珠つなぐ音
雨と雨


何も無さをついばむ鴉
 ....
砕ける言葉
落ちる言葉
水踏む言葉
青 青


一度かぎりの拳
海を叩き
波を創り
島の背を見る


子の群れが
原を越える
草の失い 円い地に ....
夜に光る葉
原の外
街の幽霊より濃い影が
幾つかの径を消してゆく


考えより速く生まれる火
緑がかった薄い霧
さまざまな光が壁を横切り
影を水へと落としつづける
 ....
空の注釈が剥がれ落ちる
滴の軌跡
硝子の筒


光が降るよ光が降るよ
そうふれまわる見えない子らが
誰かの虹に染まりゆく


報いを受ける時が来たのかもしれない
 ....
風と水たまり
鉛筆 かくれんぼ
雨と雪の服
画用紙の端から端


暗い明るさ
午後の未来
胸の苦しさ
十月十日


横ならびの虹と径
賢くない鴉が啄ばむもの
 ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
こがね みどり いのち自由詩321/2/13 9:00
掌波響震自由詩121/1/23 22:08
八季巡夢自由詩321/1/1 22:58
雨無白音自由詩320/12/14 9:14
夜 迷 灯自由詩420/11/29 20:35
鉱に繁る水自由詩120/11/3 20:04
はじまり はじまる自由詩320/10/8 20:31
持たざるもののための水自由詩220/9/28 9:58
ノート(軸と光)[group]自由詩020/9/28 9:55
ノート(頂)[group]自由詩020/9/28 9:54
空と行方自由詩120/9/16 8:31
ノート(骨)[group]自由詩120/9/16 8:30
ノート(瓶)[group]自由詩320/9/16 8:29
夜と歩いて自由詩220/9/5 8:46
抄えずに 抄えずに自由詩2+20/8/14 19:30
ノート(またたき)[group]自由詩320/8/14 19:29
ノート(考え)[group]自由詩520/8/14 19:28
しずく指す先自由詩220/7/24 19:32
空と虹彩自由詩820/7/3 21:09
ノート(57Y,6・21)[group]自由詩120/7/3 21:08
棄園約定自由詩320/6/17 9:21
ノート(57Y,6・5)[group]自由詩220/6/17 9:19
ノート(57Y.6・3)[group]自由詩220/6/17 9:18
花と灯り自由詩320/6/3 20:09
水光片自由詩620/5/22 21:02
風 煙 灰自由詩320/5/9 10:44
青 青自由詩420/4/26 21:10
白 黒 青 無自由詩120/4/13 21:01
午後と水紋自由詩120/3/30 10:46
白へ 白へ自由詩320/3/18 19:04

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