紙の鏡が風のなかにあり
風ばかり映して黙っている
光の重さに
歪みまたたく


覆うことなく
重なることなく
ただ端は端に
先は先に触れ火を放つ


地に降 ....
片羽の鳥が燃えながら
旧い炎をついばんでいる
公園であり庭であり墓である場所に
両手に剣をかかげた子が立っていて
両目を閉じたまま鳥を見ている






 ....
頬にできた腫れ物を
結んでいったら門になった



誰も通らないので
自分で通ったら
門も自分も消えてしまった













 ....
空が
ひとつの滴に落ちてきて
片目の上から動かないまま
やがて 消え去った



何か
わかってもらいたくないことが
あるようだった









 ....
森のむこうの白い水
近づいても すぎても
動かない水


空を映した飾りにも
動かぬ光の視線があり
さらに遠い白を見つめる


輪の内に火の内に贖いは降り
繁 ....
指と指のあいだのすべてに
見えない小さな輪がからみつき
食べても食べても消えてくれない


顔の横に 風を吹き出す鏡が居て
常に斜めを向いているので
首から上が映ることが ....
花を照らす灯が消えて
風がひとしきり吹いたあと
花は土を
濡らすように照らし出す


幾何学の家
同心円の小さな灯り
地の風が雷雲を追い
やがて窓は静かになり
 ....
持ち上げた指が空に触れ
さらに向こうへ向こうへと触れ
指でなくなりながらなお
さらにさらに触れつづけている


空を貫く珊瑚礁から
裸足の音が降りそそぐ
風が風を打 ....
物悲しいかたまりが
からだの奥をふくらませている




水がどこまでも
水であるのは悲しい

言葉の色が
明るく消えてゆくのは悲しい

むらさきだけが
 ....
結ぶ手の影がこだまする
無数の鉄路の冬を越え
灰がこぼす粉の首
白へ白へ 消えてゆく日


花があふれ
段をのぼり
影と話し
蒼を残し


水が水を伝え
音は ....
霧刈る鋏
人工の風の音
常に遅れる秋
洞のなかの夏


空わける煙
蒼は時と雨
愛されていないほうの目で
午後を見つめる日


振り返る双子
誰も居ない径
 ....
歪んだ音符のかたちの窓に
陽も浪も午後も打ち寄せる
果物の恐竜が
燃え上がる


坂を下りる人
灰色の人
宴には決して
近づかない人


楽器を出入りしていたけ ....
エメラルド エメラルド
弦をおさえる指
年が改まる前の
閉ざされた窓



みすぼらしい小屋を風が揺らす
小さなかたまりが
ひっきりなしに打ちつけ
ひとつしかない灯 ....
夏が降り
降り終わり
何もないはざま
何もない宵


明るい
曇だけの
静けさが
滾る


横切っては消える
声と光
水たまりには
別のものが沈む

 ....
雨の名残りが漂っている
光がすべて上を見ている
半分は暗く
半分は泳ぐ


蜘蛛が青空をめくり
午後をのぞいては閉じる
空は泡に分かれゆく
見るものの目に分かれゆ ....
片方の指の半分が
いつまでもいつまでも濡れている
むらさきの
二重の光

そっと頁の上をおさえる
小さなけものの前足が
沼のような暗さを湛え
土を少しだけ歪めている

 ....
強く握るまぶたから
銀の行方が放たれる
透る 透る
遅い光


縦の雷雲
縦の午後
器を追われた
鉱の音


夜を向いて咲く花が
幾つも冬の秘名をこぼし
径 ....
川をのぞきこむ灯が
映る自身から目をそらし
むこう岸を照らし
河口を見つめる


重なる橋が落とす影
金属の網が降らす色
霧へ 霧へ
傾く夜


雨上がりの ....
土を穿つ夜の影
かたちにかたちを閉ざす影
底の見えない
水のような影


径をふちどる暗い静脈
聞こえないものを包みながら
風から風を奪いながら
ゆらゆらとゆらゆ ....
白い建物 白い迷路
扉も天井もない部屋で
頻繁に行われる白い取引



誰も出口を
知りたがらない
止まぬ言葉が
ちりぢりに降り
器からこぼれ
鳴りつづけている


瞳の痛みが
舌を浮かし
別の舌をもとめさせる
細く小さく
なぞるように


厚い泡が水面に浮 ....
そんなに力を入れなくとも
自然につむればいいのだから
おまえはおまえの片目くらいは
ちゃんと面倒みなきゃならない
ふたたびが
ふたたびをくりかえし
起こる風が
花を揺らす


ふと 指が
虫の羽の陰をすぎる
そのあいだは
切り落とされたように感覚が無い


季節を剥がし ....
街を知らず
けだものを知らず
街という名の
けだものと交わる



汚されているのではなく
汚しているのだ
尾の根元まで
いま
こうしているあいだにも


 ....
ほんの少しの
夜のふくらみ
匂いの粉が
ふちどるかたち


奥に向かい
手をひらく
ひとつは土に
ひとつは空に


夜のうろこ
夜をすぎ
行方はひかり
 ....
髪を梳く花の吹雪に笑む子かな



廃屋をあれは星だと笑む子かな



降る揺れる消える花びら笑む子かな



ふたつの手ひとつに鳴って笑む子かな
 ....
くちびるに触れる鈴の粉
遠雷 器
雫と滴が
すれちがう径


ひとつのなかの無は増して
響きはさらに高くなる
窓の鉛 壁の銀
水の淵を照らす粉


分かれる前の ....
舟から生える樹
川岸の影
海を描く霧
器の水に
沈む糸くず


雪が雪を追い抜いて
土や花を振り返る
土にも花にも
雪は見えない


酒に勝つ甘味が見つからず ....
地の上に
小さな月が幾つも転がり
海への径を照らしている


黒い瞳の
ななめうしろ
銀の髪に
ゆらぐうなじ


海を越えては
また戻る
とどまらぬ羽
 ....
風の斜めを斜めに接いで
透明は高く昇りゆく
月の火の径
むらさきの径


黒い肖像
黒い炎
名前は立ち去る
空は
羽に煮立ちだす


指の内の冬
かたち ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
ひとつ 湛える Ⅱ自由詩514/7/17 23:31
ノート(旧い炎)[group]自由詩314/7/17 23:30
ノート(51Y.7・12)[group]自由詩214/7/13 8:24
ノート(空が)[group]自由詩614/7/13 8:23
ひとつ 湛える自由詩114/7/10 22:55
ノート(雨と日常)[group]自由詩214/7/10 22:53
ひとつ 降夜自由詩614/7/9 7:26
ひとつ 微塵自由詩214/7/6 21:21
ノート(物悲しいかたまりが)[group]自由詩714/7/4 2:35
水辺 さまよい Ⅲ自由詩3+14/7/1 10:24
水辺 さまよい Ⅱ自由詩114/6/27 10:08
水辺 さまよい自由詩314/6/25 16:02
ノート(ephemeral)[group]自由詩214/6/22 22:11
ひとつ 不在自由詩214/6/21 17:11
ひとつ 金緑自由詩314/6/18 22:44
ひとつ ひもとく自由詩514/6/11 13:30
ひとつ 満ちる Ⅱ自由詩214/6/9 9:19
ひとつ 満ちる自由詩214/6/6 9:02
ふたつ めぐる Ⅱ自由詩414/5/28 23:36
ノート(51Y.5・27)[group]自由詩214/5/28 23:34
ふたつ めぐる自由詩114/5/21 20:13
ノート(51Y,5・20)[group]自由詩214/5/21 20:09
ひとつ かたわら Ⅲ自由詩314/5/17 1:11
ノート(51Y.5・14)[group]自由詩214/5/17 1:10
ひとつ かたわら Ⅱ自由詩114/5/8 15:31
ひとつ かたわら俳句114/5/6 21:41
ひとつ 滲夜自由詩414/5/1 10:36
ひとつ 冬辺自由詩414/4/23 9:20
ひとつ 蒼へ自由詩114/4/22 11:39
輪と彼方自由詩214/4/16 3:44

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