灰に埋もれ
陽を見る火
森に斜めに沈む光を
鳥の群れは追ってゆく


振動が夜を包み
左脚ばかりを進ませる
夜は静かに
足跡に満ちる


ざらざらとした光のなか ....
右手に枯花
左手に造花
冬の雨と骨
水の径のひとつの影


陽の無い朝
海を照らす目
壁に描かれた
絵に消える羽


遅い午後
遠いはばたき
原に散らばる
 ....
草の下の街
葉の影の底
光の板の重なりの塔から
三つの時間の羽がひろがる


子らは右を駆け
川は左を流れる
原が 水草が
光と光のまばたきを追う


水の ....
ひたした場所の反対側が
常に常に染まりゆく
血溜まりが紅葉になり
水の底から空を見ている


空には無数の雛人形が
淵の目をして見つめ返す
夕刻は夕刻を着てますます ....
見えない夜の身代わりに
川は蒼く蒼くなり
金いろの径を従えて
海へ海へ落ちてゆく


けだものは居る
けだものは居ない
曇の十字
光の前の小さな羽


隙間 ....
空から落ちた
無数の楽器が
土の上で砕けたまま
鳴らそうとした音を鳴らしつづける


顔を撫でては去ってゆく
浜辺に打ち上げられた
硝子片に満ちた死骸から
熱は羽のように ....
あるはずのない坂道を
誰かが歩む音がする
山頂をすぎ
上へ 上へ
歩みの音は止むことがない


ほんの少しのなまぬるさ
小麦の路に沈む指
灰の刃が生えた洞
滴の音に ....
墓地と背
鎖を手に
見えない声
遠い灰の音


雨が
雨のための径を通り
去ってゆく
傘の無い街を
照らす幻日


呑まれゆくものに
小さなものらに ....
両端が見えないほど長い橋の上
ひとつの影が立っている
呼びかけても応えない
近づいても近づいても近づかない


夜の左脚のしびれから
次々に飛び立つ火の鴉
水たまりの波 ....
雨に映る音たちが
雨の後も浮かびつづけ
夜の片方を震わせて
指の冷たさの上に立つ


ひとしずくはひとしずく
守れなかった約束に
目が覚めては手をひらき
重く冷た ....
歯と歯の雷光
眉毛の吹雪
顔になれない顔を被り
今日もぐるりと宙を巡る
時間を切り取り
器の内の水の上に置く
ゆうるりと巡る光に
指を ひたす


失くした大きさと
後に得た小ささ
つりあい無くつりあう径を
風が 静かに揺らしている

 ....
鉄は不可思議の組み合わせ
ひとつにひとつ
燃えさかる蛇
器の海を呑み干すけだもの


灰の駅 灰の汽車
川底を浚い
放る羽
光を終えた光に群がる


凍えた青空 ....
太陽のようにほどける髪が
小さな鈴の樹を隠している
地から昇るたくさんの音が
空に晴れを運び込む


虫から生まれる滴が
霧のなかの径を見ている
銀の歪みに映る
碧い ....
窓の内を飛ぶ鳥が
ますます大きく ますます遅く
重なる紋を浴びながら
粉の光を泳いでゆく


触れることなく覆う雨
横へ横へすぎる雷鳴
見え隠れする鳥たちの
波ばかり ....
消えない泡と見えない泡が
手をつないで終わりを見ていた
おぼろな背中 光の蔽い
けだもののかたちの曇を見ていた


指を灯す指を絡め
指を照らす光を見ていた
歪ませ ....
降りたはずの人が
まだ乗っているのに
そこに居る人々は
誰も何も尋ねないのだった


列車がいつのまにかバスになり
やがてワゴン車に変わっても
共に乗っている人々は
 ....
記憶の穴の水流に
映っては去る音と影
はばたくばかりで飛べない径
小さな本を敷き詰めた径





いつも何か言いたげな
消えない羽を呑み込んで
蒼と灰の時間 ....
人 人 おまえは
ひと
噛み砕き
噛み砕かれ
野にあいた
暗い穴の淵に横たわる


天気雨
小さな蜘蛛が隠れる場所
風が
少しずつ少しずつ
強くなってゆく

 ....
千歳の少女の誕生日を
誰も祝うものはない
一匹の蟻を避けて
十匹の蟻を踏む
淡く巨きな
泡のなかの午後


手を振るたびに
いのち以外に満ち
暗い街の背後の山から
 ....
蒼の岩 蒼の雨
唇に触れ すぐ放された
二本の指を巡る文字
一人を嗤う異国文字


見つめすぎて
咽が痛くなり
紅い窓を洗う滝
遅い流れ
遅いはばたき

 ....
薄くうつろうもののかたまりが
轟々と夜のはじまりをゆく
剥がれかけた
光の重なり


見えたり消えたりするものが
左側をしたたり落ちる
布や布状のものすべてが
四角い ....
多数の角
多重の角を持つけだものが
真昼の雨の径に立ち
水たまりの光を
見つめることであたためている


紙が紙に戻る音
空気が空気に沈む音
踊り たたずみ 再び踊る ....
夜つかむ指
蒼に凭れ
曇の前の穴
はざま過ぎる鳥


引きちぎるたび
生まれる渦
一点に吊られ
回る星座
夜の裾を浸す銀


すべての星が鈴に鳴り
朝も昼も ....
夜は爆ぜ
すぐにまた現われ
朝へ朝へあとずさる
雨に
種を蒔きながら


触れれば空に到く
咲かないものの履歴
指は水を編む
夜を高くする


何処にも行けな ....
不幸自慢の座頭蜘蛛
緑の文字にうろついている
燃やしても燃やしても
早朝を喰みにやってくる
こがねいろの扉が
花にふさがれている
ここは何処なのかと
首をかしげている


くゆる くゆる
くゆ るく ゆる
白湯のなかを
ゆるく ゆるく
午後は廻る


 ....
骨のような岩壁をくり抜き
むらさきの斎場が作られていた
川底には黒い鉱がつづき
岩を二重に映していた


   うれしさはすぐに悲しさになり
   頭のなかには茎がひろが ....
はやにえ
しるべ
ひかりが開けた穴
いそいで




雨の肩書き
午後のおさがり
陽の水母に
別れを言う


溺れかけたのは
羽の子ども
空気の傷が ....

ひとつの金属が鳴り
かけらのように冷えてゆく
響くことなく かがやいてゆく


背中を押す手が
ふいに昇る
何本かの指を
残したままで


声を映す手鏡に
 ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
白は赤に自由詩316/1/14 21:59
光の歩行者自由詩416/1/5 21:59
みどり みずいろ自由詩615/12/28 9:21
ゆくえ くれない自由詩415/12/22 20:23
夜の行方自由詩515/12/16 19:43
夜のかけら自由詩815/12/11 9:57
夜と火輪自由詩515/12/1 20:00
石を歩く自由詩715/11/23 16:59
夜の真昼自由詩715/11/16 20:58
ひとつ たなびく自由詩215/11/12 22:30
ノート(52Y.11・9)[group]自由詩215/11/12 22:29
歩く羽自由詩515/11/7 9:18
ノート(冬の蝶)[group]自由詩615/11/1 9:45
ひとつ 曳光自由詩415/11/1 9:40
迂回路と虹自由詩515/10/26 9:08
棄天使の地図自由詩715/10/19 11:33
ノート(52Y,10・10)[group]自由詩215/10/19 11:31
ふたつ ふたたび Ⅲ自由詩315/10/9 9:39
水へ 水へ自由詩515/10/3 2:46
空の蝋燭自由詩515/9/22 15:44
ノート(夜が来る)[group]自由詩315/9/22 15:40
夜へ 礫へ自由詩415/9/16 3:13
蒼へ 鏡へ自由詩415/9/8 16:51
鈴へ 虚ろへ自由詩415/8/30 8:36
銀の生まれ自由詩615/8/23 9:02
ノート(52Y.8・22)[group]自由詩615/8/23 8:58
庭めぐる庭自由詩315/8/17 8:33
真昼 みさき自由詩415/8/13 10:51
連話 外側自由詩815/8/8 23:43
戴冠夜自由詩315/8/3 19:27

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