時々思うのは
昔のことばかりだった
木々と 車を見ていた
自転車を停めた ベンチから
長い滑り台と そして
砂場が 公園にはあった
田んぼの向こうに
赤いザリガニを僕らは獲り ....
時々思うのは
遠い昔のことだった
昔会社に通っていた道や
昔歩いていた通学路
通り過ぎた匂いや風を
僕は見ていた
昔フランスの小さなドミトリーに泊まったあの日。朝、そこで食べたパン。街並みはイギリスとよく似ているけれど、少しだけ違うのは、人々だった。ちょっとだけ、愛嬌はあったのかもしれない。まだ、あの頃は若かった ....
時々思う
いつか故郷に帰ることを
ホームの 静かな駅の 電車に乗って
かつてと同じホームに立つことを
僕は時々思っている
昔 NYCの日の沈まない通りのどこかで
ぼんやりとイラン人の売るチョコレートを買い込んだ
そして まだドアの向こうの薄明るい外に出ると
僕は通りの上を歩いていった
少しだけ不安なホテルに向かう ....
昔銀座で父と会った時に
ウイスキーを 信号で 片手にしていた
僕はいた
僕の無印で今は忘れた そして
紺色の厚手のデニムシャツを上に着て
僕はブルックリンで昔
気の知れた 友人と二人で
気持ちを口にしあいながら曇り空の下を歩いた
クラブパーティーを見た 夏の午後
水売りが立っていたあの日
時々忘れていく でも
時々 思い出すのは あの日
街灯の下で僕の見ていた橋の光景
自転車で 長い通りでペダルを踏んだ
曲がって駅の 駐輪場を 僕は目指した
僕は昔中野駅で下車した
ご飯の上にカレーをのせた店員
口に運んだルーのスプーンの 冷たさ
4月の あれは 雨の日だった
僕は かつて 昔
新宿の裏通りで 僕は
たぶん ロックのCDを
店の中で見つめていた
六色の鮮やかなオニギリ型をしていた
マックが そして 並んでいた
ぺぺのテーブルを覚えてい ....
昔僕は見ていた
喫茶の窓にいた 新宿で
僕の 待ち合わせた
派遣会社の担当者の顔と姿を
同い年だと 彼女から聞かされた
窓の雪の残っていた日に 外を
並んで歩いた時の風景を
木の生えている公園 でも
ベンチも木であり そして
木が生えていないのは
海の見える この 浜辺だ
筒が机にはある そして
僕自身がいたのは窓の外
公園のような木と
僕と そ ....
僕は誰もいない部屋の中にいる
そして上流から流されてきていたいくつもの流木を思い浮かべている
僕は アパートの一室で
昔住んでいた街の風景を見ようとしていた
そして かつて思い描いてい ....
この街で僕は生きているのだ。今日も寒いけれど。そして、テレビを、僕は、見ていた。僕は、そして、思い描いていた。遠くの街を。しばらくずっと、この街で、何もしていなかったのだということをお茶を飲みながら思 ....
僕はベッドの上で
そしてあるべきものを 口にする 僕は
この天井の向こう側には無いものを
そこに揺れていた 草を ひとり 見ていた
子供の頃の公園で
手にしたことのある 石ころ
....
誰もいないような耳にささやき声がする
ラジオと 狭い部屋の中
買ってきたばかりのカップで 冬の日
僕は チョコレートをかじっている
窓に夕暮れを見つめながら
チョコレートをかじり ....
時々何かを考えている。何かを、時々、見ていることもなく、きっとそうであろうこととして。僕は昨日、バスから、流れていく冬の公園を眺めていた。そして、見ていた目を特に何かを見るということもなく閉じていた。 ....
他の誰の声もしない午後、僕は出かけた。電車に乗っているということ自体が久しぶりで、そして、僕は空をぼんやりと見つめていた。ただ僕は、メルカリで売れたものを発送するということを忘れていたのだということに ....
ぼやけていくような気のする夜。CDプレーヤーの売り手もついて、安堵していた部屋。部屋の中でさっきまでキャベツを買ってくる僕の姿を、でも、僕は思い描いていたようだった。古い友人から、そして、ずいぶん昔の ....
海の見える窓は
花瓶と 古びた鉛筆の
水中のような色の部屋だ
幸せを運ぶリモコンで
僕は そして
テレビに目を閉じさせられていた
過ぎた日の でも 僕は
友達の残した言葉に微笑んでい ....
時々 ぼんやりと 窓の外を見ている時には
街の景色を思い出している
自分ではなくさせられた 朝を
描いた部屋で
電柱を見ているのだ
たぶん きっと 誇らしげに
夜は でも 光っていて ただ
女は眠っている
そして暮れていく 女は 午後に
朝を思うのだろうか そこから
過ぎた日の 風景として
そこに 咲いていた 青い花を
僕は時々思い出すのだ。あの頃、昔、僕が歩いていた景色を。そして、休日に訪れた店の、やや歳のいったマッサージ師を。奥さんが台湾の人で、ピータンをふるまってもらったことがある。あれは、安アパートに暮ら ....
僕は時々ぼんやりと何かを見つめていることがある。代々木公園を訪れたときに、そこで、すでに失われた落ち葉の上に立ち尽くしながら。初夏の、遥か遠くに広がる木々を見つめながら。秋のそこからすでに失われた新緑 ....
昔渋谷の学校に通っていた頃、雨が降っていた時があった。その時に見上げた歩道橋の風景を、僕は今でも時々思い出すことがある。僕は西東京の学校に通っていた頃もあったが、街自体としては渋谷の方が思い出深い場所 ....
僕の、何もすることもない意識は部屋の中。壁を見ては、するべきことをなくしていたようだった。感覚することによって得られる、僕の、昔の思い出として。一人でいるのだということを確かめながら、窓の外の景色を、 ....
何もしていない時に
僕は 良く外に出かける
そしてカメラを持って
考えながら 立っている
渋谷の歩道橋の上
池袋のドンキホーテの前
新宿のプロムナードの地下
品川の駅の改札の前
....
僕は川辺で
砂を踏みながら歩いた 心は
日が暮れることで 遠ざかる
歩いていく 深まる夜を
コウモリが空を飛んでいた そして
街は 夜の中
でも 僕は 明日を思う
朝はいつも窓に ....
今日もドアを押すと
誰もいない街を 僕は行く 硬いペダルを
誰に会うこともなく踏みしめている そして
通い慣れた道に僕がいた
ラブ・サイケデリコの声
ラジオをつけると彼らは今もそこに ....
昔 夜の渋谷で
自転車を 必死で走らせていた時に
誰もいない仕事場へと向かっていた時や
クラブにでかけた時のことを思い出す
暗い 人気のない道の
電灯から電灯へと
僕は見えないもの ....
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