僕は時々思い出すのだ。あの頃、昔、僕が歩いていた景色を。そして、休日に訪れた店の、やや歳のいったマッサージ師を。奥さんが台湾の人で、ピータンをふるまってもらったことがある。あれは、安アパートに暮ら ....
僕は時々ぼんやりと何かを見つめていることがある。代々木公園を訪れたときに、そこで、すでに失われた落ち葉の上に立ち尽くしながら。初夏の、遥か遠くに広がる木々を見つめながら。秋のそこからすでに失われた新緑 ....
昔渋谷の学校に通っていた頃、雨が降っていた時があった。その時に見上げた歩道橋の風景を、僕は今でも時々思い出すことがある。僕は西東京の学校に通っていた頃もあったが、街自体としては渋谷の方が思い出深い場所 ....
僕の、何もすることもない意識は部屋の中。壁を見ては、するべきことをなくしていたようだった。感覚することによって得られる、僕の、昔の思い出として。一人でいるのだということを確かめながら、窓の外の景色を、 ....
何もしていない時に
僕は 良く外に出かける
そしてカメラを持って
考えながら 立っている
渋谷の歩道橋の上
池袋のドンキホーテの前
新宿のプロムナードの地下
品川の駅の改札の前
....
僕は川辺で
砂を踏みながら歩いた 心は
日が暮れることで 遠ざかる
歩いていく 深まる夜を
コウモリが空を飛んでいた そして
街は 夜の中
でも 僕は 明日を思う
朝はいつも窓に ....
今日もドアを押すと
誰もいない街を 僕は行く 硬いペダルを
誰に会うこともなく踏みしめている そして
通い慣れた道に僕がいた
ラブ・サイケデリコの声
ラジオをつけると彼らは今もそこに ....
昔 夜の渋谷で
自転車を 必死で走らせていた時に
誰もいない仕事場へと向かっていた時や
クラブにでかけた時のことを思い出す
暗い 人気のない道の
電灯から電灯へと
僕は見えないもの ....
僕は桜の道を歩いたのだ
家に帰る時 桜を見ているふりをして
タワレコの前にCDを見に現れる 家に帰る時に
でも ああ 僕が歩いたことのある道を
僕は店の前に現れる タワレコの
そ ....
あの日のプライドを思いだす
土手に そして 腰を下ろした友達を
土手の上に沈む夕日は
でも 違う街のものだったけれど
今もあいつは きっと変わらない
そう 僕は 時々 考えてい ....
雨上がりの午後だ
通りを歩いていく 思いは
季節替わりの冷たい風の中
そして 僕は 駅前に出る
新しい会社に入った 僕は
もうどのくらいたったのだろうと口にする
この街で 僕は何か ....
アイフォンを買っては売ってばかりいた
そして 手に残された機能の記憶
そして いくらかのはした金
ベトナム旅行の写真を僕は見ていた
あの日僕はフォーを食べていた そして
まだ ....
今日という日に友達のことを
一人で思い出しているのはなぜだろう
長ネギの入った買い物袋を抱えて
また 部屋にまで帰ってきた日の 夕暮れ時に
カーテンを開けて 夜空を見ている
何もして ....
誰にも会わなかった日の午後
思い浮かんだ 友達との日々 だけど 顔は忘れていた
僕は夢ばかりを見ていたからだろうか
だけど 夢は僕に 一体 何を与えてくれたのだろうか
六本木でバスキア ....
なぜ外で誰に会うこともないのだろう
自転車の上で 終わっていく午後
僕は悲しげな顔をして
週末は 暗い風景を 誰に会うこともなく
きっと 明るい 青い空だった
あれは 外の仕事をまだ ....
手に取るようにしてわかった 店員のひどい作り笑い
一人で海賊版を探して歩いていたあの頃
ストラトキャスターの音色に狂っていた 僕が
好きだったフレーズを試奏した店
毛皮のコートを脱 ....
郷田九段が勝ったのを見た
窓の外を見ている 僕がいた
ただ 僕の中では風の冷たい2月下旬は
ダウンジャケットが 外に出るには必要だ
僕は目黒には たぶん来年もいる
見当たらなかった ....
誰も知らない
部屋の中で いつも
ぼんやりと 遠くを この目に見つめる
かつて そこにいた 自分として
僕はそこで生きているのだろう
しかし短い時間の中で ただ生きているのは
生き ....
あの日 バンコクの高架下で
僕は一人ぼっちで寂しくご飯を食べたのだった
薄暗い屋台の席で カオマンガイと
闇の中を行くバイクを 一人で 静かに眺めていた
今年のクリスマスの印象としては ....
必要なものが心の奥にはあったのだ
そして 戻れない道を 歩いていた
たどり着けない場所に しかし 目を開いた 僕は
光に憧れた子供の頃の目をしていたのだ
僕が定期が無かった時に歩いた道 ....
バンコクの光の中
仕事場へ向かう人たちと
そこから帰る人たちとで混み合うバス
ガイドブックに無いスーパーの前
バスに乗っていた僕だった
高架下はどこか寂れた冬の風景
暑いけれど ....
僕はタイのドミトリーにいたのだった
蒸し暑い階段を登る時に思う 僕は 今 タイだ
事前に予約しておいたベッドに案内された
白いシーツに横たわると そこに 四角い窓
僕はそして風の入 ....
しかし バンコクの空港から 歩いた風景
僕は バンコクの道の続く その外に押し出された
アスファルトの整備のされていない通りを そして僕は
熱気の渦巻く通りを 歩いたのだった
空の暗 ....
けだるさの中で空港についた日だった
僕には連れも出迎えもなく 一人
何も照明のあてられてはいない
異国の暗がりの道を歩いていた
僕には 守るべき何かが そして
今はあったはずだ ....
僕が今書いた詩と
かつて書かれた 詩であるものとしての作品の
その違いが一体どこにあるのかについてを
時として 僕は考えている
僕のかつて無邪気だった頃の
好きだった場 ....
島が点々と見える船の上で思い出していた
早朝の高架橋の上から見下ろした
僕が見ていた街の静けさ 空港の脇を横切る道を
いくつもの そこを通る 通勤バイクを
昨日までは夜だ ....
バンコクに僕が到着した夜
頭に入れておいた空港の複雑な地図の中に僕がいた
しかし さまよいながら 歩いていた
そして 空港の建物の中から 僕は這い出た
ホステルへと 僕はネット ....
僕はサマソニに向かう電車の中で
見つめていた そこへ行くであろう人を
海が 広がる 窓の外
そして 連なっていた化学工場
それから しばらく歩いて 着いたメッセで
僕は もう 毎 ....
取り出したノートを夕暮れに見つめている
手にして 最初の行から それを見つめては
手で 時間自体を紐解いたような
光の方へと 時の言葉を読んでいる
何か そして 自分が経験した出 ....
僕は夏の雨の日に
僕は夏の雨の憂鬱を感じていた
そして 頭にのしかかる 重い大気に
疲れのようなものを この 頭に
椅子にもたれてスマホをのぞくとフジロックの光景
しかし ....
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