名も無い瓦礫の路は
昔話をしたがっているように見えた
激しい雨のあとの
過呼吸のような陽射し
喉元を滑り落ちる汗を
呪いながら歩を進める
息すらかすれている
午後は容赦が ....
もう一度ぐらついた壁を蹴り飛ばして貫けるかどうか確かめてみた、そいつはいまにも壊れそうな悲鳴をあげるくせに、絶対に壊れてしまうことだけはしなかった、それだけは譲ることはなかった ....
生ぬるい夜の穿孔だ、レーザーメスのような鋭さと正確さで、おれの魂は一本の絹糸のような血液を吹き上げる、それは紙の上に散らばり、ひとつの未熟なフレーズとなり、そのままで終わる…それは ....
六月某日、高知市内某所…
ホロウ・シカエルボクはすでに席についていた。約束の時間を少し過ぎてやってくる烏合路上。
烏合「やあ。」ホロ ....
鳥の羽ばたく音が聞こえる。部屋の中で。その鳥はとても大きく、翼を広げた影には戦闘機の機影のような威圧感さえ感じさせる。空気を鉄の塊にして叩きつけるような、猛烈な羽ばたき ....
青い血と、黒い血―白い血
すべてが、交ざりあって
赤い血
深い沼のよどみは
美しい湖よりも信じられる
汚れた水面のしたに
隠れたものの数 ....
眠りでもない、目覚めでもない、そんな状態がもう幾時間か続いていて、その間何をするでもなかった、ただ座椅子に背をもたせて脚を投げ出し、わずかに上を向いて壁と天井の継目のところ ....
デスクに投げ出されたままのボールペンが
扇情的なひとことを書きたがってる
牛乳で流し込んだコーン・フレークの糖分が漂ってるあいだ
チェアーの背もたれに身体を預けて ....
きみの瞳に隠れている世界のワナ
欺瞞の眠りを泳いでおれは
夜が明けるころには疲労困憊さ
キャロットとハチミツでこしらえるジュース
チーズを存分に溶かしたトースト
FM ....
時間は巨大な甲虫の群れに化け俺の足もとで猥雑なステップを繰り返す、俺は自嘲的な概念とでもいうべきものに動きを封じられていてなす術もない、やつらはそのままふたつに割れて釣 ....
亀裂から伸びる欠片の先端から昨夜の雨が祈るように滴っている廃屋の雨樋
海からの風が雲のどてっ腹をぶち抜いたみたいな紺碧の下で
いまだ同じ場所で彷徨い続ける俺の脳髄は一瞬
開か ....
息もないコールド・スリープの午後
艶かしい女の身体と
ゴキゲンな薬の夢
乾いて
ひび割れた皮膚の上で
上がり始めた熱が止めをさす
きみの手のひらの中、も ....
「朝の祈りを夜まで持ち越すわけにはいかない」ときみは美しいキャンドルを叩き壊してご満悦、でもおれはそんなきみの姿にこっそり吐気をもよおしている…インディペンデントのスピリットを取り違えているき ....
長い長い回廊の内側に等間隔で開けられた正方形の小さな窓からは、中庭が見下ろせる、回廊もおそらくは正方形で(と言うのは、まだすべてを歩ききっていないからで)、その回廊に囲まれた中庭も、きっとそう ....
色褪せ、草臥れた雑草の中から、あの子の可愛い手の平が少しだけ覗いていて事態はようやく動き始めた、おとなたちが騒ぎ、こどもたちが泣き、見つけられた子の両親が呼ばれた、検査の結果残酷な ....
明かりの落ちた街路を歩くときに
くらがりに身を隠した
名も知らぬだれかの歌声を耳にするときに
目の潰れた犬が引っ掻くような声で鳴いた
脚がひとつだけの男が飛蝗の ....
異能の血液たちが
沸騰をはじめて
正常な皮質がひび割れる
構成する様々な体液たちが
色を変えながら
肌を染めながら―
グラスウール敷き詰めた壁の中
行 ....
空気の亀裂に、カーペットの隙間に、サウンドの途切れたところに、うずくまり、拗ねた目で、こちらを見ている言葉たちの、首根っこつまみ上げて、ワードの空白にぶちまける、彼らの悲鳴が、ほら、自 ....
雨の音は止まず、俺は今夜も眠り方を忘れて呆然と横たわっている、疲労しているような、それでいて冴えているような奇妙な感覚は、麻痺してしまった日常のタイムテーブルから一時こぼれ落ちた結 ....
高熱が疼く脳髄のバグに苛立ち殺すものを探した
凡庸な騒然の繁華街で罰当たりな夢を見る?
誰の肉体を損傷したところでどんな快楽も在りはしない
そんな寄道をしてるのはてめえの内奥 ....
あそこに星が、と
きみのさししめす指があわれで
ぼくはこころで百万粒ほども涙をながす
なにもかもまっしろなこの部屋で
きみはそうしてはるかかなたを眺めているのか
生き ....
衝突の挙句こぼれたガソリンに火がついて、薄汚れた街角はあちこちでウンザリするような昼間、警官や消防隊員たちの怒号と野次馬どもの罵声が下手なモブシーンみたいに飛び交って絡み合って、真夜中は破 ....
胃袋に堆積した今日の摂取が
わずかな歌にも変われずに終わる頃
仮面を剥ぎ続けて
挙句顔をなくした俺の
首から下だけが横たわっている寝台
ヒートショックする精神のブレーカー ....
心臓は崩れながら歪み、実体の判らぬビートを作り出す、ああ、脳天から逆さまに降る、死、詩、私!降り積もったさまはまるで賽の河原の石積みのようだ、鋭利なナイフのような真冬の空気、肉体をすり ....
朝の光を呪うなら寝床の中で、積もり積もった夜の逡巡に埋もれて震えながら
妙にかすれた猫の鳴声が聞こえる、目を覚ましたばかりなのかもしれない
大型の車両が集まり、道を掘り返す準備を始 ....
寂れた街の
忘れられた貯水池のような土曜日の午前に
伸び過ぎた爪を噛み千切っている
零度に焼け焦げる窓辺
表通りでは
ひたすらにエンジンが稼動している
トムウェイツがサーカ ....
夜を駆逐しよう、潰れた声でも上出来だ、上げない声よりよっぽどの価値がある、夜を駆逐しろ、生温くまといつく夜を、魂の息の根を止めにかかる夜を、潰れた声でも上出来だ、噛みついて引きちぎれ、おま ....
お前の魂は瞬間に凍りついた、微動だにしない寝室に静かに横になって、崩れかけた廃墟の中に死体のように転がる人形みたいに沈黙している、ライターでしつこく炙られたような煤けた肌、目玉はビー玉のよ ....
膝を折りたたんだままで夜の中に沈んでいく、ついこの間まで鳴き叫んでいたはずの虫どもはすっかり死んで沈黙してしまい、取り壊された隣家の建物のあとの更地に生えふさぼった雑草 ....
盲目の蛇が一番古い脳の皺から這い出るような一日の終りの時間に、意味を成さない膿の中から拾い上げた唯一の希望は真っ暗な色をしていた、眠る前から夢を見ている、本当みたいな夢を、まぶ ....
ホロウ・シカエルボク
(1191)
タイトル
カテゴリ
Point
日付
イノセントのありかた
自由詩
5+*
15/7/7 22:28
ロスとロス (流し込むあいだの)
自由詩
0
15/7/1 23:37
傷を編む
自由詩
1*
15/6/15 22:37
片付けたっておもちゃ箱の中はグチャグチャ ― ホロウ・シカエ ...
散文(批評 ...
1*
15/6/12 23:50
巨大な羽ばたきのビート
自由詩
2*
15/6/8 23:16
そしてすべてはあるべき色に
自由詩
3*
15/6/4 0:09
朦朧たる旋律、そして簡略化された天井の構図
自由詩
1*
15/6/2 23:29
クリーン・ルーム
自由詩
1*
15/5/31 15:08
With 「Forty Licks」
自由詩
0*
15/5/26 20:39
甲虫たちは間違える — the out of control
自由詩
2*
15/5/22 12:11
真昼のプラネタリウム
自由詩
5*
15/5/11 0:19
オーティスをシンパシーで笑い飛ばしながら、それでも。
自由詩
10*
15/5/4 22:24
アー・ユー・パッショネイト?
自由詩
1*
15/4/25 22:51
歩いても歩いても終わらない
自由詩
0*
15/4/12 21:54
ミーナ
自由詩
2*
15/4/2 0:23
いくつもの視線、捨てられた詩篇、真夜中のキッチンの音のないモ ...
自由詩
2*
15/3/30 0:51
ヘイヴン
自由詩
3*
15/3/21 1:04
まっさらな本当の生まれるところ
自由詩
2*
15/3/13 23:05
レインドッグ(かすれた鼻歌の寝床)
自由詩
1*
15/3/1 2:18
欲望のドア
自由詩
0
15/2/21 0:44
流星群
自由詩
7*
15/2/11 23:35
いまのところは
散文(批評 ...
1*
15/2/6 0:05
そこにある全てが失われていないというだけの
自由詩
1*
15/1/29 13:35
ストレンジ・バット・トゥルー
自由詩
2*
15/1/19 1:11
火曜日、あなぐらで気まぐれ
自由詩
1*
15/1/13 16:00
エブリバディ・セイ・ハッピー
自由詩
2+*
15/1/10 12:03
すべてに齧りつく(適わなくても)
自由詩
2*
15/1/8 1:13
枯れた花束をお前の寝床と、俺の胸元に
自由詩
0*
15/1/3 0:29
時間の概念の分岐、無数の死体を振り回し、すべてに点火しろ!
自由詩
1*
14/12/27 0:59
頭蓋の空洞は囁く
自由詩
1*
14/12/19 0:37
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