すでに枯れ落ちた花のことを
長々と誰が語るだろう
赤茶けた花弁は路上に削られて
瞬く間に塵となるだろう
聖堂から微かに聞こえてくる祈りは
人間以外の何をも救うことは出来ない
言 ....
そんな粗末な寝床にかじりついて
どんな夢を見ようというのだね
おまえは堅実に生きることで
浅ましさを手に入れている
処刑のなされた丘で放置された罪人どもの血が
土に染み込ん ....
1
おれはラウンジに横たわっていた、さながら、廃墟に忍び込んで出口を見失い、そのまま干からびてしまった犬の骨のようだった、ラウンジの日当たりはよく、太陽光は大きな窓から見えるフロアーす ....
古いセメントの欠片からはみ出した鉄筋がねじ切られた肉体からぶら下がる大小さまざまな血管を連想させる白昼夢、うだる暑さの中で皮膚をなぞる汗の温度がそんなイマジネイションに奇妙な実感を加味する、街 ....
古いマンションの空き部屋のような一室におれの生首がびっしりと並べられていた、そいつらはみんな生きていて床の上で首の付け根で座り、血走った目を見開いてなにごとかを叫んでいた、おれははじめそいつらがな ....
俺はゆっくりと落下していた、だがそれはもしかしたらあまりに高くから落ちているので、ゆっくりと落ちているように感じているだけかもしれなかった、全身を包むように猛烈な勢いで吹き抜けている風が、「もしか ....
清く正しく生きようとするやつが気に入らねえ
欲ボケて腹の弛んだ肉玉も気に入らねえ
政治家のケツをブログで突っついてるやつが気に入らねえ
海外ボランティア活動に志願するやつが気に入らねえ
....
毛細血管をノイズが這い回る、無数の羽虫のように…俺の感覚を喰らい尽くそうと目論んでる、二二時の朦朧とした時間―悲鳴には飽きたし、怒りには慣れた、愚痴には興味が無い、まるで水溜りのように俺はそれを放 ....
ふたつの盃が並べられていた
そのひとつには、なみなみと酒が注がれ
もうひとつは、空のままだった
そのそばで男は働き、女は子を生した
男は働き続け、女は育て、子はすくすくと育ち
そうし ....
髪の毛でふざけるのに飽きたら
諦観をもってこちらにおいで
シャンソンはもう進化することはない
ただただ伝統のなかで呟いているだけだ
アンティークな森の向こうで遠雷が聞こえる ....
通り過ぎてゆく連中の靴はどれも洗いたてみたいに艶めいていて、おれは自分の薄汚れたスニーカーを見下ろしてほくそ笑む。それはおれとやつらの「歩行」という行為に関する決定的な認識差であり、歩いてきた距離 ....
紙パックの飲料水が路上で踏み潰されて幾何学的なかたちにねじけ刺さったままのストローから血を流す、きみのモカシンはそれを石かなにかのように避けて歩いて行く、あとに続くおれは植え込みに残る昨日の雨 ....
死蝋化した骸を思わせる粘ついた月と鋲のような星々が食い込んだタールみたいな黒が
呪詛のようなリズムで這いずるやつらの頭上にぶら下がってる
駅前のコーヒーハウスで飲み干した自家焙煎にはまるで無関 ....
気もふれるほどの青い影だった
心許ない残響音と
歯軋りのようなわだかまり
鴨居の端から垂れ下がり
口笛を吹いていた
ああ、闇雲に祈る娘よ
透明過ぎるのだ、お前のその
偽りの在り方 ....
馬鹿ってばかりの国
馬鹿ってばかりの国
寒いものを暑いと言い
増えたものを減ったという
馬鹿ってばかりの国
馬鹿ってばかりの国
声も出せない小娘に
肥えた豚が金を注ぐ
....
虫はやたらに
ひとの周りを彷徨くものだし
騒ぎに慣れたら
気にもならなくなるもので
ところ構わず
火を放つ若造の手際は
そもそも美しくない
顔中に吹き出すニキビと同じで
醜悪な ....
世界はいつも俺の視界の隅で何ごとかゴチャゴチャと展開している、俺はそれを自分に害が及ばない程度に―流れ弾とか、もらい事故なんかを喰らわない程度には気にかけながら、自分自身の人生を生きている、だけど ....
その建物について、詳しいことは何も判らなかった、その土地を流れる大きな川の、河原から何も無い野っ原へと続く坂道に沿うように建てられた平屋造りで、右側の端に川を目指しているかのように突き出された正 ....
数時間硬直したままの肉体は、真っ白い砂漠の中でどす黒く腐敗する夢を見ていた、血液は破れた血管から鉄砲水のように溢れ出し、もう使いものにならなくなった皮膚に無数のラインを描いてから砂地に染み込ん ....
俺の脳天に風穴がふたつあいている、ひとつは自分でどうにか出来る、もうひとつは自分じゃどうにもならない、その穴はお前にどうにかして欲しい、そいつは俺にはどうすることも出来ない穴なんだ、俺 ....
きみはずっとあるドアの鍵穴に鍵を差し込んでドアを開けようとしている、まるで、鍵を持っていることでそのドアに関するすべての権利を所持していると考えているみたいだ。確かにそれはある程度までは正しい認識 ....
一匹の雄の野良猫が居た、根性も身なりも薄汚い野良猫であった。他人の捨てたものを漁らなければニャアと鳴くことすら出来ず、鳴いたところで短い、汚い声を上げる程度であった。その内容も、他の猫が聞けば ....
おそらく期限切れのアンフェタミンがもたらしたのは
誰かを執拗に切り刻む紙芝居
生温かい数グラムの血しぶきが頬にへばりつく感触だけが
この世界で唯一変動しない価値のように思えた
....
毛細血管が狂気と絡み合って血流は金属的な悲鳴を上げながら全身を駆け巡る、オオ、産まれ持った宿命を受け入れよ、産まれ持った脈動を受け入れよと…あらゆる肉体組織の軋む音が俺のリズムだ、経年劣化した ....
凍てついた死体と古ぼけたペーパーバッグだけが転がっていたコンクリートのままの床の上で音楽が流れている、奇妙なインストルメンタルで旋律らしい旋律もそこには見当たらない…インプロビゼーション的なそ ....
あたしいつかあの男を殺すからね、と、いつものようにカウンターの外側でカクテルを何杯も飲み干し、口が軽くなったネシナ・エミリーはお決まりのその言葉を吐き捨てるように言うのだった、もしも近くで警察 ....
小さな金属の塊がふたついびつなフロアーを転がってぶつかった時のような音が脳髄のどこか奥深いところで何度か聞こえた、その感触は絶対に忘れてはいけないなにかをしまいこんだ鍵付きの抽斗の鍵が壊れてし ....
もっとも死臭を放つ頃合いの腐乱死体のような世界にきみは巻き取られて、叫び声も叶わず飲み込まれようとしている、手足の指先は究極に凍えたみたいに上手く力を入れることが出来ず、手に触れるもの、足を下 ....
壁掛け時計の針が示す時間を鵜呑みにする前にこめかみに鉛筆を突き立てた、そう、それはまさにくたばる一歩手前のギリギリのところだったよ、ついでに言っておくけどそれは二三時を少し過ぎたところだった、 ....
子供たちはそれぞれに武器を手にして、頭を押さえつけてきた街の中に飛び出していった、程なくいくつもの銃声がこだまする、男の声、女の声、年寄の…さまざまな悲鳴がビル街を跳躍して夜空の黒の中へ消えて ....
ホロウ・シカエルボク
(1242)
タイトル
カテゴリ
Point
日付
スタンドアローン
自由詩
3*
17/7/24 21:53
試供品の朝
自由詩
2*
17/7/21 0:51
日向の標本
自由詩
1*
17/7/20 22:14
思考は瓦礫の中で
自由詩
1*
17/7/17 22:34
そしてそれはどちらであればよかったのだろう(オリジナル・スー ...
自由詩
2*
17/7/4 6:34
真白な記憶、落下、ああ、二度だけ鳴る。
自由詩
2*
17/6/27 22:25
ヘイト浅漬け
自由詩
5+*
17/6/18 14:47
羽虫の闇
自由詩
2*
17/6/17 22:19
子よ、おまえに歌を教えてあげよう
自由詩
2*
17/6/12 22:52
ぼくはこのさきも花を育てることなどないだろう
自由詩
3*
17/6/3 0:36
足跡に名札がついたことはない
自由詩
1*
17/5/21 13:13
夏の亡霊
自由詩
1*
17/5/15 22:28
夢を見なよ、この夜はまだ明けることはない
自由詩
1*
17/5/9 22:33
デリシャス・メニュー
自由詩
1*
17/5/4 15:58
馬鹿ってばかりの国
自由詩
1*
17/5/3 1:29
ゴー ホーム
自由詩
1*
17/4/27 17:06
公園の壁の煉瓦の端っこにいつの間にか書き殴られていたメモ
自由詩
4*
17/4/22 23:36
どこに居るの、沙織。
散文(批評 ...
2*
17/4/11 1:17
誰も思い出さないその雨のことを
自由詩
3*
17/4/2 17:45
本当じゃない限り出来事のすべては簡単なことなんだ
自由詩
2*
17/3/28 0:44
開かれた牢獄の中でみんな目的だけが未来だと考えながら生きてい ...
自由詩
2*
17/3/26 0:54
哀れなAlley Cat
自由詩
3*
17/3/23 23:34
あの娘の胸に赤いバラ
自由詩
3*
17/3/19 0:39
真夜中を話そうとするとき血液のせいで濁音が混じる
自由詩
3*
17/3/10 22:51
アンダーグラウンドの指先
自由詩
1*
17/2/25 22:27
小さなやつらの大きな終わり
自由詩
4*
17/2/6 22:46
無駄な境界線を引きたがるインサイドとアウトサイド
自由詩
3*
17/2/4 21:37
グラン・ギニョール(ただし観客が皆無の)
自由詩
1*
17/1/26 12:04
混沌を解いたところで簡単な現象にはならない
自由詩
5*
17/1/15 23:13
引き算の挙句、最後に記入される解答となるために
自由詩
4*
17/1/5 21:44
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