秋は夕暮れ
まだまだ明るいと思っていたら
もう空が赤黒くなって
夜はすぐそこ
夜を待ちきれない星が
うっすら顔を出し
月は黄色い光をたたえる
鈴虫が鳴けば
冷やりとした風が吹き ....
昔は書きたい事がそこにあって、
それを自由に描けた。
無限に広がる妄想は、
僕を彼処にも此処にも存在させた。
今は違う。
現在地は社会が暗に示した箱だ。
描くこと、その欲求すら失われた ....
9月の暑さが残響していた部屋は
ようやく冷いやりとしてきた
秋の空気が気温を下げる
今年の秋刀魚は脂が乗ってた
こんがり焼いて
大根おろしを添えて食べた
栗おこわはコンビニで
松茸は流石 ....
こんな田舎の図書館じゃ
理論社の水内喜久雄さんが撰んだ
有名詩人の詩の本しかない
わたしはそれを借りる
もう何回借りたか分からない
それを
たぶん
わたし一人が借りているので
その ....
読書する人は
背筋が垂直
文字は目から脳へ
脳から脊椎へ
隅から隅へ行き渡る
読書する人は
目が輝いてる
文字というエネルギーが
目を輝かせる
....
濃紺のとおいとおい沖
そこだけ白く光る帆
透いた筏の上に
栞が挟まっている
厚い無地の記憶に
プレスされた 絵はわたし
どんなにのぞんでも
やさしい明け方の帯は
沖へと踊らされる
....
トースターを買い替えた日
心のなかはいつも雨だった
イーストビレッジに朝が来るたびに
バターをたっぷり塗った
クルミ入りのパンをかじって
テーブルの上の涙の海を泳いでいた
鼻水をすすり ....
混沌とした世界に
私は咲いた
子供の声をした大人たちが
私を摘もうとしている
逃れるために
花びらを破った
花粉を多めに振り撒いて
粘膜を冒してやった
私は貫き通す
野生であることを ....
もうすぐ冬が来て
冷たい空気が肺の中に
幾つも部屋を作る
秘密を抱えたような
答えを出さないような
そんな曖昧なままの熱が
何故か心地よくて
目覚めた朝に頬擦りをした
靴下みた ....
Lookin' for love いま建ち並ぶビルの中で立ちすくむ
もう戻れないああ帰れない愛しいあの日々
真夏のヒマワリのように鮮やかに揺れてる
過ぎ去った季節に置き忘れた時を
も ....
ざらついた眠りが頭をすっぽりと覆う
この世界を風呂敷に包んで
どこか別の星に広げたなら
こぼれるように もう 花は叫ばないだろうか
流れる血は 灰色ではないのだろうか
キャンディはいったい誰 ....
○「保険適用」
新聞に出ていた
「1か月の医療費
月一千万円以上の患者が
二千人以上いる」
命の尊さとみるか
保険金の使いすぎとみるか
意見の分かれるところだろう
○「首相候補の覚 ....
改札口の側で
あなたの身体を見つけた
暫く見なかっただけなのに
こんな所にあったのだ、と思うと
何だか懐かしく感じられた
せっかくなので両腕を掴んで
家まで引き摺って帰ることにした ....
コリン・ウィルソンが処女作『アウトサイダー』を出版する間際、
自転車を盗まれ暗澹たる気分になったそうだ。最後は悪が勝利を
収めるであろうと。しかし出版された後は、ベストセラー。当時、
世界を震撼 ....
ひとりでいるから
頭がおかしくなる?
いや
もともとこうだった
夜になると浮かれて
秋になると泣いて
そして
ひとりが大好きだった
長い間
体は魂を入れる器だと思っていた
時には大切に出来なかった
だけど
こんなにも長い間
私の意思を全うしてくれる
体をロボットだと考えると
その並々ならぬ献身に
なんだか泣けてきた ....
炬燵に
父がいないことに
やっと慣れた
十年かかった
もっと前に
いなくなった白い猫は
今でもたまに
コンビニ袋になって風に舞っている
スーパーに行って
ドッグフードの棚の横を通ると ....
いま、気づいた。
私がした選択はまちがっていたと。
いつも いつも まちがいだらけだったと。
だから いまが こんなに苦しいのだと。
謝らなければならない人がたくさんいる。
謝っても謝り ....
ビールにしようか
冷酒にしようか迷って
一夜干しのイカに合わせて
冷酒を啜る
新生姜漬けも買ったんだっけ
晩御飯のおかずそっちのけで
お酒選び
強くもないのに
不意に秋を意識した今日
....
死が怖い訳では無い
死の後に残さざるを得ない
あらゆるもののことを考えると
怖くて仕方ないのだ
ザ・ロードの主人公は
息子を残して亡くなったけれど
人類の希望を託すように奇跡が
息子 ....
冷たく、それでいて湿った部屋。
ここで待っていても、
誰も来やしない。
それを忘れようと、
都心の高層ビルに出社し、
終電で帰宅したとしても――
僕を待っているのは、
自己嫌悪と ....
落ち着いた間接照明のオレンジが
不揃いな五角形の長テーブルとその面に合わせて
それぞれ綺麗に並べられた籐のイスに降りかかる
軽快に流れるジャズの調べ
ケニー・ドーハムが奏でる「ママシータ」とい ....
白菜の緑葉に埋もれ
黄緑の身軀は躍動する
目覚めたばかりの幼児は
まだ少し夢の毛布の中で欠伸し
柔らかな温もりを堪能している
緩やかなハンモックに揺られては
優しげな歌を心のうちに ....
肌を撫でる冷たさ
体の奥から吹き抜ける風
髪も服も揺られて飛び去ってしまいそうな
微かな土の香りが乾きを呼び起こし
懐かしい枯葉のなる音を思い出す
自転車のカゴに入れた買い物袋は
....
外から押し寄せ来る
肉身物質自然の
因果必然
ではなく 、
内から湧き出る
魂の霊性なる律動を
ぐわぁんぐわぁん
掴み取る
意識の私の行為にこそ、
真なる自由の在りと
....
ハムスターが飼いたい
飼いたいです...
ぬるいコタツより羽毛布団が最強
楽しい毎日なのに怖い言葉しか出てこない
枯れ葉ががさがさ言って風でくるくる回ると ....
あなたに会うために
私はここに来た
長い年月かけて
私の魂の
成長のために…
やっと
会えたね
あなたは
私のトビラ ....
月がパリリと鳴る夜の
自動販売機から
飛び出るサイダー缶
魚の口をとめどなく
漏れるファミリマートの入店音
月がピリリと冷える夜
フライドポテトが揚げあがる
バイクの音は羽まみれ
....
孤独を渡る夜の鳥よ
虚しい私のこころを
一緒に連れていってはくれまいか
白く羽撃く翼も
闇夜の中ではくぐもって
うっすら夜に溶け込むよう
ひとのたましいは
死んだらどこに行くのか
....
「君にラーメン作って隣で眠りたい」手首に剃刀宛てながら彼女は言った。「洗濯物畳んでパートに行きたい」睡眠薬をODした後で彼女は笑った。俺の所為で死ぬかもしれない女と寝た事が有るか?他の男との仲を三千年 ....
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