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ただいま。
とは言わずに
疲れた。
と言って玄関を開けると
五年ぶりの父は
風呂にでも入れ、と言った。
ただいま。
とは言わずに
なんだお前か。
と言って五年ぶりの兄は
新聞を ....
あじさいの大きな葉っぱの上
2匹のかたつむりは
雨の中、風に揺れていました
葉っぱから眺めるあじさいは
小さいかたつむり達にとって
巨きな巨きな花でした
かたつむりの目 ....
売れ筋の人生論の本にある
「30代でやっておくべきこと」という言葉の裏には
「20代でやっておくべきこと」がある
「20代でやっておくべきこと」という言葉の裏には
「10代でやっておく ....
{引用=
さみしい 砂浜
月光に 横たえて
浮かび上がる
やわらかな肢体
(とてもキレイな
、ひと。)
呼吸が、
止まるほど
....
アツクなりきれない太陽も
そろそろ落ち着いて
そんなわけだから戻っても
もういいんじゃないかな
どきどき ばんばん 暴れ出し
駈け出してきたんだろ
吐き出す息も敵にみえて
苦しかった ....
川の流れは清冽
岩に激突した飛沫の中
一服の涼を見るが
飛翔する山鳥
容姿は狡猾で
空腹を満たそうと
水中の魚群を窺う
山猫もまた、
山鳥を捕獲しようと
首擡(もた)げ見上げ ....
あの日あなたは
この世からこぼれてしまって
涙が止まらないのはなぜだろう
瞳があって
涙腺があって
涙がこぼれて
そのことと悲しみにどんな関係があるんだろう
愛
あの夜
寒い ....
せせらぐ闇の絡まる音を 寝転びながら聴いていた
耳たぶを床にくっつけて
爪っ先で悪心を蹴っとばし
かかとで抑鬱を押しのけて
扉のすきまに吸い込まれてゆく
耳の中身が水深1000キロメ ....
ある朝、私(わたくし)は
暗く濡れたアスファルトの坂道を
一人ゆっくりとのぼっていました
両側にはブロック塀
その向こうには常盤木の枝密やかに揺れて
飛び立つ朝の姿が
澄 ....
紫陽花を食べながら
あなたを待つ午後
雨はまだあがらない
太陽はもう沈まない
(月曜日)
七つの海は健在だった 。
(火曜日)
なにもない
(水曜日)
ちょっとだけ考えてみる
(木曜日)
なにもない
(金曜日)
なにもない
(土曜日) ....
以前僕はキスゲであり、すすきであり、また、砂粒であり、星粒であった。故に孤独であり、暗闇からも愛された。
病魔に襲われてからというもの、僕はすっかりその全てではなくなった。
孤独でないがために ....
しかくがあります。
しかくのなかに、ちいさなまる。
まるのうごきは、ふきそくです。
しかくはちっとも、うごきません。
まるはしかくにぶつかりますが
ただ、はじかれてしまうだけ。
....
粘っこい足跡なんて
振り返りたくはないし
遠くへ行くつもりもないから
マイペースの匍匐前進
アンテナは柔らかいけれど
難しい言葉は受信できないし
とてつもなく臆病だから
ツノもヤ ....
あとかたもなく崩れゆく遠い果実を見つめている
Hのしろい指がりんごの皮をむく
どこまでも切れることなくつづく紅い航跡はこの星を
ひと回りしてわたしのからだのやわらかい節々にから
みつく
....
砕けたグラスの欠片で
その透明で鋭利な先端で
きみの白い薬指の内側に
すうっと線を引く
朱色の糸が一本
爪の先から降りてきて
僕はそれを
舌ですくってみる
Feよりも軽やか ....
食べ残したチーズのかけら
わかる?
そこには
失われたもののかたちが見える
(あなたがチーズというものをもともと知っていればの話だけど)
喪服の下の
白い脚は過去を歩き始めたところ
涼しい顔でさめざめ泣いていても
明日からその真中にあるのは地獄の口
図太く生き残っている女を罰する為
死んだ亭主が夜ごと徘徊する
そのたおやかな ....
プラネタリウムの一番後ろで
滅茶苦茶にキスをしたね
それはもう、呆然として
ふたりして、名前を忘れるくらい
きみはいつだって最強のラブリーで
ミニスカートの端っこか ....
赤ん坊のころは一日が途方もなく長かった
太陽の落ちるスピードは メリーゴーラウンドのようにゆったりとして
空の模様は 私が目で追いかけられるほどに やさしく変化した
今よりも朝ごはんは時間を ....
教室を対角線上に
真っ直ぐと すいっと
紙飛行機は飛んでいった。
この瞬間しか味わえない
手から描くベクトルの軌跡は
初めて感じる創造なんだと確信して。
折って合わせた角がズレてい ....
41歳になって、
生まれて初めて、彼女はできたけれど、
土曜日も、
上野の鈴本へ、寄席に連れてったけれど。
ポッキー右手でつまみながら、
左手で、彼女のふとももをつまんでたけれど。
お寿司 ....
閑散の通行人に
血染めのおっちゃんは
鮮血はラズベリージュースほどの
出来過ぎの綺麗と知らしめる白ジャージで
泥酔した禿げ頭の小さな切り創から
ぼたぼたとアスファルトに零れる
動脈血の量は ....
灰色に淀んできた、わたし、を確認して、少し距離をとってみます
見るもの、聞くもの、(殺)雑音であるなら
それは、そうなのです、それで、何です
人は嘘をつきますからね、そりゃあ、
口がありま ....
神社の鳥居をくぐる
それだけで空気が違った気がする
生まれる という言葉をひらめく
きつい上り坂に沿って
水が流れている
のぞきこめば 蟹がいた
命って言葉をひらめきながら
もう指をのば ....
ちびっ子がちびっ子だった頃
男の子は半パンにランニングシャツ
女の子はノースリのワンピとかで原っぱを駆け回っていた
いじめっ子、いたことはいたけど
みんな等しく貧しんだって思いでお ....
友人に家まで送り届けてもらった。車から降りると、
ヘッドライトが照らしていたのは
大きな一匹のカニで(近くに水場もないのに)
口から泡を吹いていた。ちょうど二時間前には
男も口から泡を吹くくら ....
俺は今日も理由も目的も展望も持たない野良犬だった
のようだったと書かないのは比喩でないからだ
一生懸命ローソンの駐車場で数十分かけて書いた詩は
肉球でたどたどしく ....
{画像=110417071821.jpg}
光りのない浜辺を一人で歩いていた
打ち寄せる波は果てしなく
足下は脆くも流れて行く砂の水際だった
遠くの町の灯りが水面に
煌めきを残し ....
日曜日、
くさかんむりの広がる野原で
ピクニックをする
あなたは適当なところに
持ってきたもんがまえを敷いて
ここに座りましょうという
おべんとうよ、と
....
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