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詩は素
素敵と言わせたくて
素っ気ない素振りで
言葉をまさぐる
詩は素
素直じゃないから
素知らぬ素振りで
言葉をこねくる
詩は素
素顔に辿り着けない ....
いつも何故だろう
何も見えなかった 私からは
遠ざかっていく
その全てを私は見ようとしていたのだが
だけど誰とも連絡がつかず いつも
一人で立ちつくしていた いつも
何も知らない街 ....
世界は しらじらしい
夢の中すら 雪がふりはじめたから
道は 白く はばまれて 遠い
雪にかわったり 曇天に変わったりする幻を
さて いくつ超えようか
カーブごとに
ド ....
ふるさとは好きだけど
ふるさとにはないものがここにはあるの
感じたくて触れたくてしょうがないものがたくさんありすぎて
そして消える時には
好きな人たち好きなものたち好きなすべてに囲まれていたい ....
抗生物質のかたまりがカテーテルの空どうを密(み)たし ゆつくりと圧(お)し はいつてくる 音のようなもの 実感めいたもの 午前3時
ペンチで爪をはがれた老ばの 叫び声をきいたような きいていない ....
冬の咲きます
冬の大きな道標
葉の吹かれます
風の鳴る園へ
宇宙人の焚き火
しみじみと三角座り
目を閉じて 温もるので ....
今日も一日がんばった
今日も一日さみしかった
今日も一日さまよった
はやく疲れてしまいたい
はやく擦り切れてしまいたい
はやくかすれてしまいたいんだ
夕暮れが夜 ....
マーマレードの空瓶に挿した
残り物のクレソンに
小さな蕾がついたと
わざわざ見せにくる君
これから何年経っても
君の世界に吹く風は
遊歩道のささやかな花を香らせ
名も知らぬ草を撫 ....
転がり
笑いにおよぐ手は
あなたの汀(みぎわ)に触れただろうか
いつしか愛は 大きく迂回する
あなたの的は
わたしたちの的であり
なのに欲しがるわたしの瞳はもろく
瑞々しい
....
白々と冷えたゆびの先で
あかりを数えていた
ひとつ、ふたつ、みっつ
或いは
いちまい、にまい、さんまい
それとも
いってき、にてき、さんてき
夜の透明度が増していく
音 ....
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からっぽな心 / 一日の始まりに駅のホームで
からっぽな心は何で量ればいいのか
朝日 ....
一本の草となり風にゆれている
無数のいのちの気配
静かで心地よいざわめき
一本の草となり風にゆれていた
触覚をおもいっきりのばしてみる
しびれるような蜜蜂の羽音
暑く深く
生と死 ....
冬の樹木は裸のおんな
背中を向けた太陽の
冷たい背中にしがみつく
鎧みたいに着込んだきみは
冷たい世間にそっぽを向いた
遠くに祖国を
持つ身のように
穴のあいたバケツみたい?
そんなバケツみたことない
ありもしないもの
あるように語る
雨がふったら痛くなる
この心の原因なんですか?
ありもしない
傷がぐずぐずいう
だれかが憎 ....
ガムは
包んで
屑篭へ
煙草は
消して
灰皿へ
服は
畳んで
押入れへ
さて
この感傷
何処へやろ
飲み込んで
腹の中に?
揉み消して
道の端 ....
家族を失うことは
心の一部が切りとられるということ
腕の一本麻酔もなしに切り落とされたと思ってみれば
その痛みの激しさと
後々続く消失感が
少しは想像できるでしょう
だけど心は人の目に ....
上野の美術館内で
ガラスの内側に坐る法然上人は
時を越えて歩いて来た
旅人の私を待っていた
少し猫背に身を屈め
指のすき間から数珠を垂らし
700年前に描かれた
色 ....
、詰まる、もの、溜まる 金属の、音が、あ 、 内臓から 性器を刺激し 喉元の、奥へと
その痛み、 あ、細すぎる尖り、錐のような、 爪先へと
( こいつは臭いものばかり食らってきたから歪め ....
やっとのことで仕事を終えて
疲れをしょってバスから降りて
暗い夜道
白い吐息
せかせかと
すると小学校横の歩道を
女が一人こちらへ歩いてくる
――この寒空に網タ ....
好きやってんでと、うつむくわたし
知ってたよと、うそぶくあなた
きらめくネオンの街で、さようなら、さようなら、
六月
君は椅子に掛けて
ジグソーパズルをやっていた
薬缶が沸くのを待ちながら
壁にもたれて
僕がそれを見ていた
六月
外は雨で
夕方の部屋に ....
金曜の休みに出かけた日
終電に近い電車で帰ったら
くたびれ果てたいくつもの寝顔が
ネクタイを緩めて、右に左に傾いていた
サラリーマンの皆様の顔を見て
(これがほんとの疲労だろう ....
数日前にすっと切った
指の傷口を
ほうっておいたら
裂けた肉と肉の間を
細い血の糸が縫っていた
心の傷もきっと
体の傷とおんなじで
あれこれ{ルビ穿=ほじく}ってしまうよ ....
雲がゆっくり流れて
いつもより大きな満月が
空に浮かんでいる
淡い光で染まる心は
柔らかく膨らんでいき
空に浮かんでいる
こころなしか風があたたかいのは
生きているものがすべて起 ....
あなたのひとつめの死を現像するための暗室でいくつもの春を指折
り数えていた(宛先のしれない指示語が濫用されてしまう街の隅に
ちいさくうずくまったまま声を発さない亡霊たち(汲みあげる手つ
きで垂れ ....
求めると
ほどける
うつりこむ光をすくおうとした
てのひらに触れるのは
光でなく
影でなく
しずかな林檎
頭がよさそうなそぶりをしている人間をみると
殴りたくなるんですよ
といいながら
うどんをたべているので
凶暴とわかる
習字は書けない
ならってないから
もっともっと惨めにさせてくれ
いくらでも試してくれ
あらゆるシチュエーションで試してくれたらいい
もっともっとこの純情をズタズタにしてくれ
それでも愛を守るから
それでも ....
丘の上 灰色のあかるさの中に
観覧車は立っている
色を失くしたその骨格を
冷たい空気にくっきりと透かして
ただしずかに廻っている
ゴンドラのひとつひとつに
乗っているのは
かつてそこ ....
あるところに一人の男がいた
男は理想を見いだせない革命家であり
大義名分をもたないテロリストだった
彼にはため込んだ多くの武器があったし
破壊活動のためのノウハウもあった
それらが彼を一つの ....
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