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 あけましておめでとうございます。   たま




 オロチ

箸は一本でいいと言う。
ふたりの子は箸を一本ずつ持った。
狐の権太はうどん屋に化けて
村の二本松の辻に店を出してい ....
空から降ってくるものたちは
悲しみをたずさえてそっとやってくる

それはアリューシャン列島の凍った針葉樹を融かし
地に降り立つとそれぞれに色を変えて南下してくるのだ

柱時計をぼんと鳴らし ....
去年からやってきた水で
シャワーをあびました
私の皮膚がはじいた水は
いったいいつへゆくのでしょうか
容赦なくすぎる日は
わたしたちのあらゆるものを
減らしていきます
私たちもまた
食 ....
あなたは親戚やお母さんといると

やわらかい顔になる

とろんとした夢見がちな笑顔になる

オレの出る幕などなくなるくらい

でもたぶんそれは

オレが親戚やお母さんに溶け込んでい ....
歩いている夜の住宅街を
妻とふたりでゆっくりと

曇りがちな夜空
薄墨色の雲

ポツリポツリと
一言二言言葉を交わしながら

ただそれだけのことなのに

このごろすれ違っていた心 ....
夜の森を照らす川
影が放る光 光
光の轍を曳かれゆく


指の宙
黒い溝
風の下の風
洞を描く


迷いの羽
背中の寒さ
惑いの数だけ
灯はつづきゆく

 ....
長年やってきた
自分というものを
衣服のようにスルスルっと
脱ぎ捨てられるなら
別の物語の主人公にも
なれるかもしれないが

すべてを新しくしたつもりでも
自分という本質は変わらない
 ....
食う

みかんを食う

さっき歯を磨いたばっかりなのに

なぜ食うんだ
(しかもこんな時間に!)

みかんを食っているうちに気がついた

えびせんも食いたいと

みかんと ....
自転車の ペダルを漕ぐ
すると世界も 一緒に回りだす

夕暮れの街並みは
河川敷の 向こう側
なだらかに傾いた 地平線に震えて
ゆっくりと 夜に向かって 滑り落ちていく

泉を横目に  ....
ー虹の輪も消えて
ただただ夢みるように「播摩」
自分だけは被災しないと願うばかり
仮にあたたかなお節料理もいらない
刻がたてば、人々のやさしさは哀しすぎるから
…と、こわばった頬で控 ....
めちゃくちゃ元気でびっくりした

オレンジぴかぴかお母さん

やさしい木みたいに笑ってくれた

オレンジぴかぴかお母さん

きれいな顔したおっさんみたいや


きょうあたしな
 ....
季節外れなんだけど

その事を考えていると

なぜか

バニラアイスクリームと

汗の匂いがする
ぼくは夜の街道をゆく

あなたの写真を見つめながら

せつなくなれる場所を探している

街はとても明るくて

その場所は探せないでいた


マンションの手摺りから

しゃがん ....
いつもこんな具合に過ぎていく年の瀬

露天に並ぶ裸電球は飴色をしていて

なんだか同じような毎日と風景が

経た年月とともに霞んでいく

空き地でいそいそと

木のはぜる音と燃える ....
師走、大手町に佇む

結論を先に述べれば
大手町は冬が似合う
春は似合わない背広を着た集団がおしゃべりをしながら行き来し
秋には忙しそうに眉間に皺を寄せた人々たちが行き交う
夏はいけない
 ....
冷たい夜の風に星は瞬き
この頃よく夢にみる、すれ違いに別れたひとたち
呟いても、のみ込んでも、きみの言葉が思い出せない
…遠く、ひとつ、またひとつと寂しさが重く肩に積まれて
振り返れ ....
照らしうる光という光を
一点に集めた鍬が振り下ろされる。
沈黙に穴があく。
 
貴女の舌をください
と頼んだ
清々しい朝の匂いのする舌だった
僕は衣類を脱ぎ捨て
土中のもぐらになって暮らしはじめた
い 一笑一若(いっしょう いちじゅく) 
   一味(ひとあじ)ちがうよ 来年年女 
ろ ロバのバン よべどさけべど のろまなバン屋
は 馬簾菊 バテレン来襲のごと 過ぎし夏 
に 仁王 ....
世界の果てには物語が待っていると思っていた

幼い誤解そのままに生きてきた

物語は僕自身だと知らずに


沢山の街を通ってきたし

最後の列車にものった


季節が変わるのを ....
小さな冷たい森の中の
白く可愛らしい喫茶店で
少女が朝の紅茶を飲んでいる。


少女の華奢な肩の上では
うぐいすが首を傾げて
こくり こくり
居眠りしている。


1人の ....
高い空から

ゆっくりゆられ

ゆっくりゆられ

落ちてきた

ひとひらのゆきのかけらは

頬をひやりと撫でて

消えていく

耳奥のずっとまだ奥の

しぃーんとした
 ....
小さな虫が
私の絵の中で死んでいる
6号カンバスの隅っこで
描きかけの絵の具に肢を取られて
チタニウムホワイトの上で死んでいる
ささやかな着地の代償として
ささやかな苦悶に果て
ささやか ....
熟成した
ありがとうの肩越しに
平坦な
おはようとおやすみの隙間から

垣間見える結び目

熟練した
ごめんなさいの背中に
平熱の
いってきますとただいまの文字間から

透 ....
アマゾンの絞殺し屋といえば
大蛇アナコンダを思い浮かべるかもしれないが
本当はもっとすごいやつがいる
アマゾンのイチジク
それはジャングルの生態系を支える基幹植物のひとつ
細く弱々しい姿で巨 ....
のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば

近代日本の夜明けを描いた作品のあとがきとして書かれたこの詩をわたしは好まない


坂という使いふるされたイメージとひか ....
夜にざわめく
海原にちいさな風
ひかりを求めて
さかなたちが踊る

爪月のほとりに
熱がつづく
眠りを急いて
夢を強いて

はこばれるすべて
行き来する波
呼吸のやりとり
は ....
雨がやみ
雪になり
枝から径へ
つづく足跡


縄をちぎり
空は帰る
縄は燃える
蒼く 燃える


雪のむこうに
海があり
さまざまな色の火が
流れゆく

 ....
いち日に三人とシーツをみだし
またそのたびちがう人を思いうかべ
いったい
こんな液体の行き交いが
なにを意味しているのだろうと
かんがえてみてもわからない
わたしのあしゆびは冷えきって ....
目が痛い
目が痛い
泳いだあとで
目が痛い

見たものは
忘れてきた
脱いだ服は捨ててきた
欲しいものは
手に入れてきた
でも
目が痛い
水を飲んでも
まだ
痛い

 ....
山人さんの自由詩おすすめリスト(5369)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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目が痛い- はるな自由詩511-12-28

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