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木々が風に揺れている
甘いだけじゃない新緑の香り
輪郭のない幽霊みたいな緑いろ
こころの美しい象さんのようだ
木々から逃れられずに身もだえている
それを見つめることを ....
死んだら尼信の本店の普通の9155473に
六十三万入ってるから
....
薄日
午前と午後のはざま
直径8mmの無数の穴から私は
偽物かもしれない平穏を覗き見ている
こんど メールを送ります
そういっていなくなってしまった人たちや
畳に敷かれた二枚のお布団のこと ....
隣室から響くオルガンの音で目が醒めた
そこには何もない
ただ 君と過ごした時間の跡形だけを そのままにしてるだけなのに
やっぱりオルガンが鳴っている
ノックをしたら 音楽は止むだろう
....
このぼくのこころは
このぼくの鼓動は
このぼくの興奮は
このぼくの足跡は
衝動は
焦燥は
終焉は
再生は
あたらしい言葉を
燃やせば
古い皮質が ....
ありがとうというと
あなたはただただわらった
・・・なんてね
それはむかしの話
今は十五夜の月に似た
ありがとうの先にいる
冬のように冷たい5月の夜
仕方なく暖房をつけた
足りないよ、余りにも。
放り投げておいたセーター
懐かしい香り
ほら、やっぱり寂しくなった
起床から睡眠に至るまでにいくつもの粒子が整列していた。それらは貝や木の実や爪だったりしたが、あちこちを眺め回しては倦怠で門のようなものを開くのだった。年齢という数字が記号でもあり連続でもある、そして ....
倉庫の隅で
ひとつの闇と
もうひとつの闇が
汗をかきながら踊っている
南京錠のこじあけられる
冷徹な音をおそれ
かれらは時折、同時に
....
槍と鯛が
背中から飛び出している
やっぱりやりたい
可愛い女とやりたい
やっぱり女は魔物だ
やらせてくれるなら
男は従うから
猥雑な女性器の前では
有史 ....
宇宙の果てにある荒れ地
月明かりが唯一の光
微小な動物達が岩にへばりつき
植物達は地をはう
足場が悪いのでこける
体中に絆創膏と湿布
望んでやって来た土地ではないけれど
牢獄から脱け出し ....
さくらんぼの花が咲いている
うっすら目を閉じ微笑んでいる
ソメイヨシノのような艶やかな色香はない
浮世を忘れようとその下で酒宴を張る者もいない
白く清楚なその花は
....
初夏
少年の頃
お話の木の絵を見た
広葉樹の木陰で
子供達が
眼を輝かせ
耳を傾けている
お婆さんのことば
森や草原を漂い
風に運ばれて
村や町や港や
海や諸国を巡り
....
桜が咲く頃から梅雨に入るまでの2か月ほど
それはひどく心が沈む時季である
桜は生命エネルギーを吸い取る木だ
冬、つぼみを付ける前からじわじわとじわじわと通り過ぎる生き物から
ちゅーちゅーと ....
町では桜も散り 山すその我が家までの
道沿いに見える畑には 林檎や梨の花が咲き
雪溶けの遅かったこの地にも 緑の季節が流れ始めた
除雪機で雪をとばし なんとか建てたビニールハウスでも
稲の ....
少し大げさに
五月の朝を吸い込んだら
つまらない不純物など
軽々と許せてしまうくらい
気管が心地好くせせらいだ
少し控え目に
五月の朝を吐き出したら
ためらいや秘め事を
うっか ....
つぼみのまま
死んでしまった木
息も途絶え
枯れてしまった
風にゆれて
寂しさのみ
ぶる下がっている
カサカサいって
さらこうべが
笑っている
千年の時も
盛者必衰の理
....
宇宙が
人差し指と親指の間の距離だとしても
誰も困らない
それでも人と人は
相変わらず憎しみ合い殺し合ったりもするだろう
そしてささやかな蝶のように穏やかに愛し合ったりもするだろう
さて僕 ....
雨が降る
夜の途中で
僕はいつも言葉の橋の真ん中で
立ち止まってしまうのだが・・・
世界はガラクタの集積
そう言える事で心がすっきりとする
今この瞬間、僕がいなくても
誰も困らない
と ....
仮面ライダーはバッタ屋だったけど
気づかなかった 。
トンボって
身体機能の凄いこと 。
町から田んぼが消えると見えなくなった
春から夏へ、山から谷へ
なんだか損をしたようで
....
雨上がりの傘はステッキ代わり
クルクル回してスキップすれば、水たまりにパシャリ
そして、キャッキャ、キャッキャと
豆腐を食べているうちに
豆腐のことが気になり始めた
豆腐の色はどうだったか
豆腐の形はどうだったか
匂いや味はあったか
どのように崩れ
何を受け入れ
何を拒むのか
すぐにで ....
季節の変わり目に窓の外を眺めている。
外は雨 外出
細い両目から差し込む光の筋
不足するイメージの光量
暗い頭蓋骨の内部を照らす
プラネタリュームは暗く
毛穴ほどの大きさの星の光のみ
....
私がクリームを塗るあいだ
兄たちは指さして嘲笑っている
私がクリームを塗るあいだ
妹たちは人形を投げ合って騒いでいた
私がクリームを塗るあいだ
彼氏たちはクイーンのベッドでTVを観て ....
野原に自転車が倒れていた
車輪が外れていたので
持っていたアイロンで
直すことにした
うまく直せないでいると
両親と兄がやってきた
みんなアイロンを持っていた
あれこれしてい ....
お前のタコ踊り面白いぜ
俺は笑っちまった
それだけでは生きていけないものだから
このことは一時の余興
段落を変えれば
真面目な話がしたいんだ
とてもリアルな話さ
紫の山々でも眺めながら
....
先ほど猫が来た。取って食おうと言う訳だ。
「残念だな。貴君の思う様にはいかないよ」
おのれ!ちいさき身分で逃れられはしないぞ!
鼠の最大の利点は、特化していない事だ。
故に繁栄している。良く ....
今日は風が強いのでティラノザウルスは巣に閉じこもったきっり外に出ようとはしない。風が身にしみるのだ。ただひたすら蹲っている毎日。彼はハンターだが最近とんと獲物に遭遇したことがない。もちろん空腹で仕方が ....
田んぼのあぜにカラスが一羽
黒い背中を風がなでる
苗もゆれてる田の海を
一緒にみつめる
黒いカラスとこの私
なに色だろうか
この私
ぼくが逆立ちをする
父が支える
あれから数十年が経ち
今度は父が逆立ちをして
ぼくが支える番になった
それなのに
父はベッドに寝たまま
起きてこない
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