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言の葉
とはよく言ったものだ

青春に芽吹いた言の葉も
人生の秋ともなれば
渋く色づく

としても やがて散る

散った言葉は
ぼろぼろに朽ちて 
形も意味も喪い
芽を出すこと ....
人として生まれた生き物は
生涯人を捨てることはでき無い
  どのように生きようとも 
  どのように考えようとも
大根一本 一〇〇円
ステーキ肉一パック 二、〇〇〇円

畑から引っこ抜いたばかりだという
昨日まで大地に守られていた命
まだ十分に死んだとはいえない一つの命 一〇〇円
高いのか 安いの ....
花粉も埃も取り去った無菌室で
くらしていますが
危険はどこかに潜んでいて
いつも隙をうかがっているのです

みがききぬかれた手すりが
不思議なことに
摩擦をなくしていたり
すべらないゴ ....
白い都会の硬い土塁の中
あなたが灯をかかげれば
わたしは虹を灯す

遙かなやまの森の中でも
あなたが歌えば
わたしもさえずる

海の彼方の小さな島で
あなたが跳ねれば
こころは ....
目をつむると見えるものがあった

遠くの山頂に輝く光
道は途中で草むらに隠れ
どこまで続いているか見えないけれど
どこかに沢が有り
林間に小道が有り
小動物の通る道など
きっと到達する ....
熟柿の臭いにおぼれる眼底
海の深み遙かに沈んだ蓚酸の
記憶がこみあげ喉を焼く

都会の底をさまよう脳が
見上げた夜空の淵に
人魚の嬌声が泡立ち  

怒りで放った銛は
領巾にから ....
空と海の混沌に
突き刺さる黒い陸の先端
に白い少女が立っている

淡い彩りが現れ
生まれた風が海を押す
押されて海は岬に駆けのぼり
少女に白い言葉を飛沫く

潮鳴りにひそむ遠い記憶の ....
産まれた国は戦争していた
父は軍人にしようと思ったかどうか
まるまるとした数え三歳のぼく
金モールの軍服姿 
腰にサーベル 右手に千歳飴
ギラギラと輝いた眼が
見ていた未来は何色だった ....
あなたを焼く炎は
煙さえ立てることなく
空に消えて

後には
黒枠の中で
ほほえむあなただけが
残っている
  
空に
光りの砂 
さざめき

大地に広がる
夏草の波
 ....
ちょっとした異性の情けに
心が前を向き
元気になって意気上がり
意気上がり
浮かれ心の有頂天

天に昇れば
あとは 落下
後ろを見ては 沈む心
取り巻く人の
心を上目遣いに覗き込み ....
まだ若い老人であったころ
同僚と紅葉の山麓へドライブ旅行にでかけた
秋空のもと 静かな集落を抜けるとき
前方遙かに 背をかがめた人が横切るのを見た
同僚はスピードをやや落として言う
「老人は ....
庭に遊び場があったころ
雨の後には水たまりが出来
蒼空を写していた
青空には雲が流れ
雲の中にぼくの顔があった

けれども
水たまりが有ると
ハンドテニスや長縄跳びが出来ない

早 ....
こたつと蜜柑の季節が終わって
それでも フッと食べたくなる蜜柑
蜜柑産地のJAで赤い網袋に入って
300円の値札を付けて並んでいる
{ルビ寒=かん}の間{ルビ室=むろ}に貯蔵されていたものだ
 ....
その男は 
幾つも電球を並べた灯りの下で
ぼくの胸を切り開き不機嫌な心臓を取り出した
心臓の中に豚を入れ調子よく動かそうというのだ
更に男は心臓のあった空洞を覗き込み
ぼくさえ知らない潜み物 ....
町の
流れから
取り残されたものたちが
風に
捨てられたものたちが
身を寄せ合って
淀んだビルの谷間

愚痴は
爆ぜる気力さえ
失って
飲み込まれていく
空き瓶収集所まで行く途中に
今年始めてみたカエルは仰向け
四肢を広げて道の真ん中に一匹 
こちらの路肩とあちらの路肩にも一匹と
まだ冬の残る雨に濡れている

暖かい日が二・三日続いて
冬 ....
サラリーマンが命を担保に金を借り
建てた家々の集落
書割のような中流階級
文化を支えたピアノ

音の断片が集落の中を
誇らしげに 恥ずかしげに
歩いていたのは何時のころだったか

口 ....
夏でも冬でも昼飯はこれが良い
薬味ネギに
わさびを効かせた付け汁で泳がせ
一気にすすり込む

長く伸びたまま食道を抜けることなど
所詮無理な話 かたまって
食道の途中で速度を緩めた
 ....
どうして
アスファルトで覆ったのでしょう
芽生えようとしていた希望が
誰にも知られず
死んでしてしまったら 
訪れた春は悲しむでしょうに
過去は霞みに沈んで
昨日しか見えないけれど

未来はもっと見えない
目前に現れ始めて気がつく
それが昨日用意されていた
としても

交わらない直線が
全て平行などとは思わないが
平 ....
西の山に陽が近づいて
1日が終わろうとしていた
男は川面すれすれに延ばしていた竿をあげ
帰り支度を始めた
ゴカイを川に返し 椅子をたたむ
通りがかりの人が声を掛ける
 「連れましたかね」
 ....
ここから先は立ち入り禁止
ガードもなくエリアラインがなくても
分かっているさ そんなことは

向こうのエリアの熟れたリンゴが
極彩色の芳香を漂わせてくる
閉ざされた花園には
咲き乱れる虹 ....
冬のベランダに
月の光が降り積む夜は
白く凍えて眺める空に
故郷の庭を思い出す

月の白い光にぬれて
赤いつばきも 寒菊も
色吸い取られ白く震えていた

就寝前に外の便所
白い庭に ....
七月のある日 兄は ぼくを呼んだ
風通しの良い部屋に一人伏せていた兄は
「今度は帰れないかも知れない」という
「弱気なことを…」
ぼくはそう言ったきり次の言葉が出ない

幼少時父も母も病で ....
平和3

手も足も頭も
引きちぎられた人々を
クロゼットや押し入れの壁に
塗り込めてつくられた平和
もはや 人間のうめきは
くぐもって外に漏れ出ない

人は闘争に美を見つける
   ....
見たか?

見た見た!

聞いたか?

聞いた聞いた!

それで どう思う?

ま ここは
見なっかったこと 
聞かなかったことにして…
    ゴマフアザラシなど
    北の海ではひょこひょこと
    モグラ叩きのように頭を出し
    珍しくもないけれど…

その目は カメラを見つめていた
水面から顔を出し 身動きせ ....
陽の当たらない玄関の
下駄箱の上に置かれたガラスの水槽
その中に金魚が一匹 

夏の宵
太鼓の音や提灯に囲まれた広場の
入り口で掬い取られて 
運ばれてきた

  たくさんの兄弟と泳 ....
箱の中に入っている人のこと
何も知らないのだがな 
どんな仕事していた人か 
どんな声で話す人か
葬式だから来いと言われてやってきたけれど
母の従兄弟と言われても 
母はとっくに死んで ....
nonyaさんのイナエさんおすすめリスト(84)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ことば- イナエ自由詩7*16-4-5
ヒト・ひと・人- イナエ自由詩6*16-3-1
命の値段- イナエ自由詩10+*16-2-26
塀の中が生きる世界の全てだとしても- イナエ自由詩16*16-2-15
あなたに- イナエ自由詩16*16-2-2
「目をつむると」_ー歳を取るとはこういうことか(9)ー_- イナエ自由詩16*16-1-25
嘔吐- イナエ自由詩10*16-1-13
暁光- イナエ自由詩20*16-1-7
サーベルと千歳飴- イナエ自由詩10*15-7-14
夏草- イナエ自由詩21*15-6-20
こころころころころがって- イナエ自由詩15*15-5-25
年を取る取るとはこういうことかー振り返るー- イナエ自由詩11*15-5-5
- イナエ自由詩15*15-4-8
三月の蜜柑- イナエ自由詩15*15-4-1
開胸手術- イナエ自由詩17*15-3-29
淀み- イナエ自由詩7*15-3-25
カエル夭折- イナエ自由詩12*15-3-19
ピアノの去った日に- イナエ自由詩16*15-3-13
年を取るとはこういうことかーざるそばー- イナエ自由詩15*15-3-10
舗装農道- イナエ自由詩13*15-3-7
近視- イナエ自由詩11*15-2-23
平和を釣る- イナエ自由詩16*15-2-20
ささやかな冒険心- イナエ自由詩8*15-2-10
月の光が降り積む夜は- イナエ自由詩11*15-2-6
寒い夏- イナエ自由詩22*15-2-2
平和_その三- イナエ自由詩12*15-1-28
日光三猿- イナエ自由詩10*15-1-21
アザラシ君のオモテナシ_ー旭山動物園ー- イナエ自由詩6*14-12-22
冬の金魚- イナエ自由詩16*14-12-15
棚から…_- イナエ自由詩8*14-12-3

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