すべてのおすすめ
そこにこどもの姿はなく
おとなたちだけが殉ずるかのように
黄葉のかがやきが干からびた胎児の如く打ち捨てられる頃
までの林檎飴の祭りはいつも 日没をしる港にて
時雨れるまでは兆しのない福音 ....
走り書く一通には
「望まなければ」
視得なかったから 闇は/その日
「眠っている間だけ目覚めてさえいれば」
想っていただけの 日日を もう 思い出せない
「西に惹かれて 決めたあなたはついに ....
東の海
三月もまだ
やがて/ひかり
訪れる あしたの
その故郷に わたしの
椅子はありますか
それはおさない
こども用の
やがて
わたしは名を覚えますか
戴けて、悟ることができ ....
失くして
泣いてない
ミトンの片っ方
あの日 も
失くして泣いてはいない
もとっから持っていないものをどうやって失くすの
最初っから
捨てていてくれたなら
わたしのことを捨てていてくれ ....
テレビドラマを見て
心が重くなったり軽くなったり
毎回ドラマで左右されるなんて
身近な恋は一本調子で
私もあなたも表情は
どこか仮面ぽい
ドラマよりもっと最悪?
笑ったり泣い ....
あまりのやりきれなさに思わず
荒んだ瞳になって街のど真ん中で
……黙して堪えなくてはならない時にわたしが
想う 風景があります
そこはひたすらにさやかでのどかで 透明で
必要がないから透明な ....
あきはかえったのだろうか
なにしろゆきにふられちゃったもんね
かえるしかないよね やっぱ
わたし、じつはゆきがだいすき、だから
ふった! って とびだして
そらにむかってなげきっす
うしし ....
私のペンは「あなたたち」を描くことには一切の関心を持ってはいない
* * *
雪は白いから尊いのよ
透明だったら見えないでしょう
ほかの色だったら世俗を纏うでしょう
* * *
一つの部屋では未明を迎え
東京の骨が窓辺でうたう
(白い白 ....
あなたがさやかな{ルビ詩=うた}をというなら
二歳の心にリボンを掛けて
あなたがかなしみをと望むのなら
わたしは{ルビ現在=いま}を隠さない
あなたが絶望のかたちをと、
それならわた ....
風が伝える想いがある
風が伝える死もあるだろう
さびしさもある
かなしさもある
日日のなみだも
やりきれなさも
そして
それらを
きっと誰かが
拾ってくれると
信じること、そうして ....
わたしのからだは海だから
あまたのあなたがまったく気ままに
父さん、あなただって泳いでいるはず
それはきっと赤い魚 憂いはありますか
二度ほど天敵を差し向けた
どの魚も運がよかったし 父 ....
しなくちゃいけないことを
「ぼんやりと思う」の引き出しにしまってく
そして冷蔵庫から夢を取り出して有難くいただく 美味い。
これだから夢はやめられない、と遠くをみながら
眠り羊のラムネをさ ....
さよなら ってみんなに言いたい
(みんなって 誰かな)
すきな ひとと
のはらで したいな
野いばらで ちくちくしながら
ころげまわって いっぱいしたいな
もりのなかでも 素敵だな
それなら 夜がいいだろな
甘いにおいの はっぱのうえで
....
それをやめる捨てるそして
夜空を想う
お月さまは三日月 腰掛けてみる
見下ろすと海 きらきらと
たくさんの星の棲む
ダイブする どこまで行っても
きらきらと瞬くさやか
ばかりのなかをお散 ....
(こういうときに)
いつも見得てくるのは
石っころばかりが転がってる原野
曇っていて 夜ではなくて
怖さやさびしさは ない
色彩の灰色な単調さのなかに唯一
そよぐ一輪のあおい花があって
....
鳥は 空を飛ぶ時に
これが自由、って歌うかな
あるいは「不測」と呟きながら?
鳥は 空を飛ぶ時に
羽ばたく権利、って云うかな
あるいは「仕事」と鳴きながら?
淡淡と ぬくか ....
わたし何も見えなくなればいいのに
聞こえなくなればいいのに
云えなくなればいいのに
感じなくなるのが一等いい(たとえば空腹)
そんなことばかりを考える鴉は
鴉のなかでも異端で
おんなじ黒い ....
なぜこんな……
そう鳴いて(とても驚いて)
どこかの彼方に隠れに行った鴉が一羽
鏡過ぎるガラスの前でつい美味いもんみつけて
さてしあわせいっぱいで首を伸ばしたら
真っ黒で歪なこれが自分なのか ....
「孤島」
樹や動物と共に棲み
助け合うことを知っている
ひとに蹂躙されない
蹂躙しない
等身大の月のひかりにただそよぎ
喜び 哀しみ 反射する
時に痛い波濤をかかえ
消滅を怖れない ....
チャルメラが聴こえたので
最後の千円札を掴んで飛び出した
台の上にロー引きの小袋がたくさん並んでいる
一つ、と云うと
千円。
と小母さんは応じる
く、っと差し出したら
三つくれた
泣き ....
花野の無垢なそよぎに打たれ
綴じることができなかった
ごめんね雪が降ってきた
埋もれてゆくよつめたさに
みえなくなってほんとは
それは隠したかったかなしみ
信じ続けたい透明な愚か わたしの ....
つかのまの休日に天使がやってきてしばし話をすると
迷走する天界のことやいま抱えている天使間の軋轢のこと
ほんとうのリベラリズムや偽物のプロパガンダの見分け方や
彼?にもいるらしい兄弟姉妹や縁 ....
いつか(あした)ミカってひとと
お友達になるかもしれない
電話番号を
交換し合うかもしれない
そしたら正直に
わたしお友達がすくなくて
だから携帯がうれしいなって
そこまでは言う、あとも ....
夕陽は語ってくれる
今日の抒情を余すところなく
そっとほがらかに やがてしんみりと
燃えながら終わりながらやがてほんとに 死ぬ まで
自らの何すらを惜しむこともなくて
この町の誰に向 ....
きみは見ているよね
たぶんその瞳はすみれいろをしている
ずっと追いかけていた きっとこれからも
忘れられない日日があって
忘れない日日があって
見つけたのは私 運が悪かったときみ、諦めて
....
十一月十五日の朝の雨はそとの物語
待っていた初冬の狗尾草もそとの物語
みんないつかしら遠くなっちゃった
どこかしらへ向かっての言い訳を探し始める
かなしくてかなしい私がかなしい
、風に運ばれ ....
冷たい雨音を遮りながら
仕事帰りに紺色の雨傘は
静かに溜息をついていた
鉄道駅に着いたので
ちょうど雨傘をたたもうとして
夜空を閉じるときに
満月がみえると本当はいいのにねと
何か反実仮 ....
白濁の空
忌ま忌ましい朝
奪ってくれこの一人称
風よ吹き消せ
命の{ルビ灯=ともしび}
なにしろ好ましくない
すべてが、
現実なんだということだ
村野四郎は村田四郎で
司書たちに ....
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