ふと あなたに呼びかける声がある。
あなたはコーヒーカップを置き
(あるいはオンザロックグラスを置き)
戸口を出てゆく。
外はあなたにとって
いつも意外な季節だ
たと ....
日だまりに揺らされて
ブランコに遊ばれて
重い鍵が子供の証と
疑う事もしなかった
首輪で玄関くぐったら
好きなご飯を作れるの
さみしくないでしょ?
つらくない
となりのせきは ....
素直な君
明るい君
元気な君
憂鬱な君
淋しげな君
怒っている君
笑っている君も
怒っている君も
しょげている君も
君らしくていい
気持ちを
素直に
言えるのは
....
寝てないって
ホント寝てないから
最前列だぜ
眠るわけないじゃん
目を瞑って
じっくり聴いてただけだよ
そりゃね
最初は、
君の演奏する顔を間近で見ようと思って 最前列 ....
わたしって
よく道をたずねられる
どこかやさしげにみえるのかな
近藤さんの朗読した「夕焼け」って作品大好きで
繰り返し読んだりしたけど
登場する娘さんのように
「やさしい心の持ち主」なんか ....
どれくらい信用しているのと聞かれて
5ミリくらいと答える
マックスは5ミリ
信用も5ミリ
少ないように思うでしょう?
でも100パーセントなのよ
あたしがフランス語をやってるのは
別にフランスマニアなんでもなく
フランス文学に傾倒してるからでもなく
映画が好きだからなのでもない
ただ、あなたに追いつきたかったから
共有できるも ....
窓からのぞく
町の遠くのほうは
地面の地肌がみえる
これから
灰色のオモチャが乗っかって
もくもく煙を
たてはじめるだろう
溶かしたり
固めたり
飛ばしたり
流したり
飛行場もち ....
肩を叩かれて振り返ると
孤独が立っていました
なにか用かと聞くと
なにも言わずに
後ろを向いて座りました
そこでわたしも孤独の隣に腰をおろしました
しばらくすると
雨音がやってきまし ....
ほろほろと
風もないのに落ちてくる
きいろいなみだの
しずく
たおれた青草には霜
子どもはハアッと息を吐き
(みて、しろいよ)
目を丸くする
掃いても掃いても尽きることはない
....
生後三ヶ月を風呂につける
いきていやがる
いきていやがる
生後四十七年が
血の繋がらない孫のようなもんを
ゆにつける
あくびしやがる
いねむりしやがる
はねやがる
うりの ....
裸足で歩いておりましたら
誰か聞き覚えのない声で
僕の名前を呼ぶのです
立ち止まり振り向くと
そこには小太りの
白いワンピィスを着た
婦人が一人おりました
もうすぐ雨が降るから
....
{引用=
ねぇ
あぁ
なんでもない
ホント なんでもないんだ
やましいことは なにもない
そういうことじゃないんだ
でも 聴かないほうが良いよ
聴かないほう ....
おはよう と言うよりも先に
十二歳になったよ と
報告をする朝
きみはまだ翼の下
生まれてきて良かった? の問いに
素直に微笑む
きみのまだ知らない
悲しみと苦しみ
平坦な道のりを願 ....
溶けてしまいそう
目の前に広がるあおに
飲み込まれてしまいそう
あぁ、あおには
果てしないものが多いね
それが羨ましくもあり
悲しくもある
なあ
おまえがいないと
おれは飯も炊けなくて
酒の相手もいなくて
洗剤の量もまったくわからないし
だいたい
おれはバター派なのに
あの買ったばっかりのマーガリンどうするんだよ
....
ある日突然 捕らわれの身となってしまった小鳥
昨日まで あの大空を飛んでいたのに
今は 小さなカゴの中
何が起こってしまったのか よく分からないけれど
ただ
....
小さな頃に見上げた木
いつの間にか光に消えて
ぬるい陽浴びたシロバナも
今では姿を見かけない
手を出しては駄目なのよ
掴んで壊してしまうから
ほらね。
雲よりはかない水に ....
煙草って
吸ってる人より、その周りにいる人の方を
早く殺すんだって。
嗚呼、それでもいいなって思えるの。
貴方の煙草になら
殺されてもいいって
そう ....
生産されるのよ
何体も、何体も、何体も
「はい」しか言えない仲間が
何体も、何体も、何体も
「私は、人間として、生きたいの」
君はそういって、自分の殻を破ったね
....
空はいつからか
うそをつくことを忘れたようだ
また 冬に近づいた
寄せ集めた言葉で
とりあえず冬を迎える準備をした
....
おめかししてまいりましょう
からす瓜もほんのり色づいて
アザミの花が熱いため息ついたから
あなたに逢いたくなりました
おめかししてまいりましょう
赤いカエデに負けないように
くちび ....
君がくれたものなら 唇に隠しておいた
手紙にするには 言葉が 足りなかった
誰かが逃がした涙 誰のもか僕にはわからない
今日犯した罪も 明日には覚えていないだろう
書き換えのきくルールに ....
わたしのものだっていうなら
わたしのものにしちゃいたいけど
わたしのものだっていわれたって
あなたは人間だから
行きたいところもあるでしょう
出張先で接待をすませ
ホテルで仮眠をとると
もう5時のアラームだ
シャワーを浴び
チェックアウト
3時間飛ばして会社にもどる
冬のそんな時間帯が好きです
放射冷却で
町の底には白が溜 ....
猫のながぐつ、なっちゃんは
アヒルのくちびるで
せんべいをコリリ
よくきたね
あくしゅ、あっしゅ
星のくつした、さくらんぼ
唄いながらお絵かき
なっちゃんは、ようせい
(たんぷ ....
一。
キイチのつめは、はやく伸びる。あたしが知っているおとこの中でいちばんはやく、伸びる。いくらふかく切っても、ものの一週間もすれば、しろくてほそいあの指先 ....
誰かに頼まれて
夜のオフィスに出掛けた。
最寄りの地下鉄の駅は
アールヌーヴォーのオレンジ灯で
ひとがたくさん歩いていた。
あなたを知ってるわ、と 話しかけられ、惑い、通り過ぎる。
....
ランチのあとについてきた
小さなニューヨークチーズケーキに
君は幸せそうな顔をしてた
コーヒーの苦みを
よりいっそう素晴らしく思うのは
君が喜んでいるからかな
鏡の中 はしゃいで ....
図書館の本は
公務員みたいに黙って
読まれる、という役目を
少し怠そうに待っている
田舎の図書館は
どうも品揃えが悪くて
本にも覇気が無い
手に取ってみても
抵抗はしないけれど ....
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