僕の消えていく闇の名前
石炭ボイラーの匂い
江浦路の路面電車が踏みつける
レールの間で腐っていく{ルビ瓜=うり}の皮
入り口だらけの逃げ場所
擦り切れた人民幣
二十五元五角の片道切符
....
君の手はあまりに冷たいから
突然背中に触れられると
思わず身震いしてしまう
君はそんな僕の様子に
少しだけむくれてみせて
少しだけ拗ねた目をして
きっと笑ってくれている
離さ ....
傘を
返してほしい
名残りの雪は
綿のコートには冷たすぎて
ひとりで帰れる自信がないから
あの桜もようの紅い傘は
ほんとうはすこし空々しいから
好きではないのだけれど
....
この汗は誰にも
渡さない
僕が
頑張って
頑張って
頑張って走って
走ってきた
あかしだから
あの明日も
渡さない。
ちょっとくらい
周りと雰囲気が
違ったり
なにか言っても
受け入れられなくたって
ボクにとっては
どまんなか
だから
そのまんま。
進化していく
必要は
ないよ。
メダカの学校はこの度、
小川のせせらぎから
電脳街ハイツ投稿詩708号に
引っ越しました
日本語とPCを操る就学前のお子様から
象牙の塔に籠られている
千差万別の年齢層の方 ....
赤と青を混ぜたら
いつか二人で手を繋いで飛んだ
有明けの紫の空になり
青と黄を混ぜたら
いつか二人で脚を絡ませて泳いだ
底無しの緑の森になる
私と君は
天を指す草原、地を ....
雨の降る仕事帰りの夜道
傘を差して歩く僕は
年の瀬に冷たい廊下でうつ伏せたまま
亡くなっていたお{ルビ爺=じい}さんの家の前を通り過ぎる
玄関に残る
表札に刻まれたお爺さんの名前 ....
何を言っても
嘘っぱちになっちゃいそうで
僕は
んくんっ と
喉の奥に今 出てきかかった
何か を のみ込んだ
いつか
君がお婆ちゃんになって
僕もお爺ちゃんになった頃
その頃 ....
負け犬だとか
勝ち犬だとか
よくわからないけれど
吠えなくなった
時点で
終わりなような
気がするから
いくらだって
遠吠えしてやる。
いのちの外れをふらついて
月が見える窓にもたれる
二月の終わり
ねむいは深い深い深い
ベッド
指先がまくらの影をつきさして
おきあがれない
おきあがれない
芽が ....
あなたが一番きれいだったとき
しがらみの廃墟に靡く 硝煙を仰ぎ
自由とは このことかと
愛しき髑髏ひとつ 胸に抱き 街を彷徨う
あなたが一番きれいだったとき
一枚のルオーに なりたい ....
求めて止まぬものがあった
そのたびに吐き出したものは
記憶
その彼方に
星になった
明滅する人生とはかけ離れ
燦然と輝いたそれは
暗闇の中で数を増やした
虚空に手を伸ばす
....
唾液が
糸をひくような
かゆい
ぬるい夜明け
--Tsuno-rasete
僕は君の
髪の毛の森をさ迷い歩く
おずおずと指で君をまさぐれば
腫れぼったい角が生えかかって ....
みんな何処に行ったのだろう
30歳を超えたときに気がついた
前には誰もいない
後ろにも
横にも
気がついたら
いつでも何処でも
誰もいない
空は
いつものように
明るいのに
不思 ....
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた
....
冬将軍がタクトを降ると
勘太郎達がくさびを打ち込んでいく
☆ の瞬きが
とげとげのくさびに跳ね返されて
キラキラと透き通る
今年の冬のピンボール大会は
盛況だった模様
夜空は ....
闘え洗濯機!。
三時のおやつはケンタッキー。
おさるの籠屋はモンキッキー。
カラスが泣いたらウッキッキー。
カツラがずれたらウッシッシー。
羽ばたけ蠅叩飢。
....
旦那に浮気され離婚して一年
一緒に暮らし始めて3ヶ月の妹が
「あたしなんか死んじゃったほうがいい」と泣くので
「死にたいなら死ねばいいじゃん」といったら激怒された
死なれたらこっちは死 ....
好きこそものの、
あはれなれ。
あわれあはれな、
好鬼がいる。
了。
ベンジャミンさん
「知らないことを知っている」に寄せて
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=64380
自分の思いを伝えて他人を感動させることが目 ....
気の早い春一番は 潮鳴りのようなおとを立て
町の上空をゆくのでした
「僕ら、結婚するかな」
彼が昨夜言ったことばが、洗っていたおさらから急に飛び出してきて、ひっこめるのに苦労しました。わたし ....
一日の 疲れが けだるさに変わり 泥沼にぬめりこんでいくようにベットの中に
潜り込む。頭だけは働いていて訳の分からない夢を見る。
時に恐ろしく現実には あり得ない夢も
現実に起こって ....
明日を、呼ぶ言葉は
失われてしまった
先程くべた小さな薪が
二人に残された最後の言葉
炎を囲んでいるというのに
横たわるこの夜の湿気は何だ
天赤道上の星の名を詠んでも
横たわるこの
....
(本日の天気・九官鳥曇り)
天気予報士が少しくぐもった声で言った
昨日の予報では
(スズメのち晴れ)
小さなさえずりは 集まって
高音と 空へ抜ける
清清しい朝に撒き餌して
集ま ....
世界中のすべての色のなかで
ある一色を残し、すべてが消えるとしたら
どの色を 残したいだろうか。
週刊誌の隅に書かれた
そんな 質問に
まじめに考える彼は
どれほどの色と
ど ....
望んで望むべく
生まれて
今日まで
はぐくまれても
それは
結局
望ましい
あなただったのですか
望まれていますか
だれかに だかれて
狂っている間は
忘れても
....
春の種をまいたら
水をあげよう
すきまなく潤してゆく
ぎんいろの雨が
わたしの窓にも
あなたの窓にも
芽吹いた想いも
大きく育ちますように
冷え性だからか
この頃、心も凍ってしまったかのようで
溶解温度は何度位だろう
変温動物に変身完了していたのかな
冬の厳しさと一緒に空虚に陥っている
花は咲くのだろうか
....
静かに語る歌声が
明日に紡いだ願い達
どれ程叶えてくれるかと
見つめて過ごす夢を見て
ささやかな温もりを
同じだけ与え続けて
報いを求める卑しさも
小さな箱に閉じ込める
優しく ....
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