薄暗がりの朝の道
自転車を飛ばして小さな街へ帰る
鳥たちが騒ぐ前に
朝刊も入ってないドアを静かに開ける
満ち足りた現実臭が
僕の頭ん中駆け巡ってさ
言ってたんだ 言ってたんだ
お ....
ただ
ハコベの花のように
ひそやかな 誇りをもって
ただ
ハコベの茎のように
地を這う たくましさをもって
ただ
ハコベの葉のように
しんしんと いのちをもって
本日 ....
死ぬときはひとりでいたい
本当にひとりで
見守るものもなく
見捨てるものもなく
星が
星の瞬きが
気づかれないうちに黒く
黒く輝くように
かなしいとか
なみだとか
そんなも ....
日常に疲れ果てたさびしんぼぅの代わりの
おそらも大泣きをしてくれたのか
全てを拭い去ったようなまっさおなカンバス
キラキラの煌めきが朱や黄色の葉っぱを揺らす
公園はすっ ....
白いノートに
木を三つ書いたら
それが森になりました
空を支えるように
枝の真似をして手を広げれば
わたしもまるで木のようでしたが
何かが足りない気がして
淋しくなりました
....
この
てのひらに届く
吐息のような
君の伝言
手が届かない切なさ
抱きしめられない寒さ
その孤独が私に
乗り移ればいいと
おもてに飛び出してはみたのだけど
刺 ....
やがて光が空から降りそそぎ
何かの形になると
それはわずかばかりの質感をもって
わたしたちの背中を押す
わたしたちは少し慌てたように
最初の一歩を踏み出す
でも決して
慌てていたわけでは ....
『頑張れ』は
嫌われる言葉となって久しい
わたしは情けない人間である故
毎朝『頑張れ、頑張れ、頑張れ、、』とつぶやく
情けなくても
まだ生きなければならない
また
おいしいも ....
友人の ポケットにはいってた
あめだまは
しりもちをついたせいで
見事に
粉々になっている
しかし
僕には関係のないこと
僕の頬にはまるまるとした
いちご味が
世界を広げている
....
おはよう。昨夜はよく眠れたかい? 夢の中で、変なものに追いかけられて、脅えて目を覚まして、朝食を食べながら、その夢がもしかしたら詩に使えるかもなんて、君は思っているかもしれない。
それとも、こん ....
北鎌倉・東慶寺の敷地内の喫茶店
外には店を囲む竹垣が見えるガラスの壁
に寄りかかりコーヒーをすすっていた
顔を上げると
店内を仕切るガラスの壁の向こうに透けて
カウンターの中に一人の妖精が{ ....
肩にかかる雨を解いて
湿った髪を指で梳いて
煙る匂いに瞼を伏せて
あの人がいた夜を
濡れた手の平に
描いている
窓ガラス
ふたつの顔を
映し見て
微笑む目と目
....
君の知らない深い悲しみを
僕は背負って生きている
そして君も僕の知らない過去の残骸に
足をとられては涙を流す
この街のプラタナスも深まる秋の気配に
すっかり色づき始めたよね
....
小さくて
可愛くて
甘すぎて
少しの熱で
すぐ熔ける
星の駄菓子
まるで
恋心
今宵の涙を
緩く固めて
鋭い三日月 ....
風呂上がりのヘルスメーター
体重の増減よりも
脈打ちで震える文字盤に
くぎ付け
(生きてるんだ
ねぇ
真正面の三日月を眺めながら
帰りの坂道を登っていた
薄ぼんやりとしたその境目が
どこか僕に添うようで
しばらくの間僕はじっと
三日月を見つめて歩いた
するとやが ....
君がベージュの毛布にくるまって
あざらしの出産をテレビで観ている
そしてその横顔をぼくは見ている
ぼくを見ていない君は
ぼくの知らない女のようだ
横顔は画面の光に照らされて
君 ....
枯れ落ちる
葉の上に声を震わせて
蒸散することのない深さ
やがて機能しなくなるであろう涙の透けた色に眩暈して
ああ雨の夜の崩れゆく{ルビ慟哭=どうこく}
スローモーションの叫ぶ先に
....
手荷物、は戦いだった
毎夜欠かすことなく
網棚はやって来て
月はまるごと列車でよかった
主翼があれば飛行機でよかった
ぼくは懐疑的な目
愛についてを語る
農家の野菜売りのおばさん ....
あなたのふるさとはどこですか
ふるさとは遥か遠くでほのかに憶うのが
かっこいいと信じていますか
あたしの生まれた場所はここ
命を満々に讃えた水と緑の地球です
宇宙旅行 ....
雲を割り
突き破り
雨上がりが
きらきら、うまれてゆく
まばゆく
光となって流れ落ちて来る空に
雨上がりの輪郭が
きらきら、応えてゆく
あ
雨 ....
そこのT字路を左に曲がると
思わぬ出会いが待っている
見たこともない
まだらの猫とか
不思議なにおいのする
メキシカンコーヒーだとか
八百屋でおまけを してもらって
もら ....
芝生を背にして仰向けになれば
溜息をこぼしても落ちることのない
空がある
青を吸い込んだ瞳を閉じると
そこには海が広がっていた
青空の公園で
僕は一羽のカモメだった
....
鏡
鏡に沈む
愁いは波紋となって
私を揺らす
深さの計り知れない底から
ひきあげて
ひきあげて起し
唇に秘密を添えて
黒髪を噛み薄ら笑う
見苦しくはないかと
歪なのは私 ....
まだ眠気がのこっている朝に
いちごジャムを食パンにつけて
コーヒーをいれての朝食
起きる間際に見た夢を反芻する
小鳥が僕の頭に飛んできてとまった
気分良く起きた朝
....
甘い水なら
枯れるまで美しく咲けるはず
僕の目や耳や口は
君のために存在して居る
沢山の嘘や誤解や疑惑が世界を蝕んだとしても
躊躇わずにまっすぐ歩いて居て
変わらぬ空が無い ....
中学のころ
数学の先生が大嫌いだった
教科書の中の一番大嫌いなページをエンピツの先で突いて
そこから世界がどんなにみっともないか見てやろうと思った
穴から見えた緑の黒板はずっと遠いところにあっ ....
幼い頃
僕の左手は よく包帯に抱かれていた
今よりもっと 周りよりずっと
何にも関心が無かった ±ゼロの絶対零度
凍った心に響くのは 痛みだけ
立ち入り禁止の野原の前で
有刺鉄線に ....
親父は定年退職し
母ちゃん専業主婦となり
息子のぼくは半人前
母ちゃん家計簿とにらめっこ
ばあちゃんが払う食費も1万ふえて
なんとかやりくりの日々であります
雨もりがあふれる床
....
やり残したことはありませんか と
問われたらなんて答えよう
みんな
どこに帰るのだろう
ふるさとはもう
名前も奪われて
体育館ばかりがきれいになる
過去は
ただのおとぎ話で
....
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