――Sに



ばらばらにされる
    (君のせいで)
        俺が歩く その先々で
俺は自らの破片をばら撒いてゆく
    路上に
        天井に
 ....
      ――Sに



家に帰ると
君のために心をばらばらにする時間がほしくなる
俺は怪物になれるかもしれぬ
あるいはなれないかもしれぬ
そんなことを思うのもすべては
君のためで ....
夏を飛び越えてゆく
あの雲を焼く

それは炎ではなく
蝉の声だったりするのだ

蝉よ焼き尽せ
雲を鳴き尽せ
きれいな若者たちが
無惨な船首に触れるとき
潮騒は
永遠の座を退こうとする

これまでもこれからも
財宝は
何一つ約束を交わさない
けれどもそれは
語り継がれず
求めるこころの ....
語らう小鳥の 囁きも
野を渡り疲れた 風の旅行着も
みんなみんな小綺麗に 仕舞い込まれています
雨の衣服のポケットに
消えた森、そのものが すっかりと
畳み込まれているのです

 だから ....
眠る肢体の硝子の呼吸に
空の落下を錯覚する
心音の宙に浮いてきそうな静けさに
めまいしてうつむく不意なかたちで
水性のからだへと溶けそうで
うわ言をもらすあなたの手に
ドライフラワーを一輪 ....
水が割れるのです

いま
指先の銀の引き潮に
水が
割れるのです


うなじを笑い去るものには
薄氷の影の匂い
たちこめてゆきます
たちこめてゆくの
です


紫色の ....
ばっさり斬り落とした短い髪に
唖然とたたずむ
 (なんか、めんどくさくって
照れたように君が笑う
右の頬を隠して

僕の知らない君の夏
正しい折れ曲がり方なんて
よく分からないけどさ
 ....
祈りを土に捧げましょう

記憶は
ひと知れず育ってゆきますから
たくさんの道で迷えるように
そのぶんしっかり
戻れるように


空を翔ける翼のない者たちは
すべての責任を
空に負 ....
人が創る地獄絵は
恐怖と醜さが鮮明で
人が想う天国は
幸福と美しさが不透明

人の批判は瞬時に知れ渡り
功績はすぐに消えてゆく

否定することはたやすい
ひとたび否定の沼に溺れれば
 ....
うたたねをして目覚めると 
一瞬 {ルビ黄金色=こがねいろ}のかぶと虫が
木目の卓上を這っていった 

数日前
夕食を共にした友と 
かぶと虫の話をしていた 

「 かぶと虫を探さなく ....
一羽の鳥が空をゆく

わたしには
その背中が見えない

いつか
図鑑で眺めたはずの
おぼろな記憶を手がかりに
爪の先ほどの
空ゆく姿を
わたしは
何倍にも引き伸ばす

こんな ....
      ――Sに



すべての結果に原因があり
物事は (心の中の事象でさえも)
そのまっすぐな道を歩いているだけであった

だが

垂直に落ちる滝のようにひとつの感情が
 ....
昆布の匂いがする、と

おんなの言うままに
おとこはそっと確かめてみる


漁師町で育ったおんなは
季節ごとの海の匂いを
知っている

おとこは
ただなんとなく海がすき、とい ....
背景のない明日が
夕暮れを透かして見えそうな頃

閉ざされてゆく今日が
夕闇にかすんでゆく

そんな当たり前のことに
淋しさや儚さを感じるこの心
あるいは美しさを見つけようとす ....
ただ激しいだけの
夏の日差しにひからび
立ち尽くす老木が
通り雨に打たれて
季節の終わりの
重苦しい空に投げだす
涙をのせた
手のひら

(それはわたしじゃない、わたしじゃない)
 ....
長い間
{ルビ棚=たな}に放りこまれたままの 
うす汚れたきりんのぬいぐるみ 

{ルビ行方=ゆくえ}知らずの持ち主に 
忘れられていようとも 
ぬいぐるみのきりちゃんはいつも
放置され ....
晴れのち曇り 雨 みぞれ

空のほんとは
どの日でしょうか

わたしたちには
空を知るすべが少なくて
たまたま覗いたその日の空を
強くこころに
留めがち
です


吹雪  ....
「糸」

イト



「糸でできたおうち」

イト



「問うたばかりにへこんだおうち」

トイ 



「問い」

トイ
五山の文字の
ゆえんなど知りません
それでも私は
わずかに香る炎が尽き
夜が少し涼しくなるのを
ただ待っているのです

まだきっとどこかで生きているだろう
あなたを見送っているのです
 ....
五月晴れの代わりに雨だれを聴いていた

灰色の鬱屈が繭のように気分を丸め込む

長過ぎた梅雨の間に熟成され黴びた心は

あおく澄み切った夏空に溶け出していく

剥き出しの感受性は些 ....
空虚な腹部で
命と鳴いている
今日は夏だ
われんばかりの空だ
あぁ、こぼれてゆく

大地の精霊を
宿す
からだは
青空のもとで響く
首すじに光る雫を
ハンカチーフにすっと吸わせる ....
各駅列車がゴウンとかガタンとか
あんまりうるさい音で行くので
旅の記録も記憶も
まるで陽炎のように歪んでしまいそうです

最近では冷房がしっかり効いていて
天井の扇風機はすっかり黙って ....
「純粋」と「不純」の間で 
へたれた格好をしている私は 
どちらにも届かせようとする 
執着の手足を離せない 

一途に腕を伸ばし開いた手のひらの先に 
「透明なこころ」 
( 私は指一 ....
人目をはばかりながら夜は 
汗ばんだ首筋に歯をたてる 
梳いた黒髪をかきあげて 
受け入れてしまった恥辱 

かつて少女の頃に見た 
甘美な夢とはほど遠い 
なんの形も示さないのに  ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい

  大切に飼っていた金魚を
   ....
ぼくが
せいいっぱい
こつこつと
いきてゆくこと


きっと
きのうまで
こつこつと
いきたひとの
ねがいをかなえること

きっと
あしたに
うまれて
こつこつと
い ....
うふふふふ。
いいもんだ。
もう引き返さなくて良いのは。


良かったじゃないか。
僕なんかの思い通りに
ならなくって。


すべてうっちゃらかして、ぶらぶら。
ご近所の真っ昼間 ....
夕やけを食べたいという君のため買い物かご手に西日へダッシュ


ハミングでハンバーグ焼くママを見てままごとセットで真似するムスメ


お日さまに愛でられコロナより赤いトマトを煮こんで子の皿 ....
ぱちんっ

私は目を覚ましました
一瞬お店に戻ったと思いました
でも周りに兵隊はおらず
穴の開いた石や
緑色の草が
代わりに沢山いました

私は地面に座ると
浴衣を着なおし
涙を ....
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