すらすらペンを走らせれば
紙の上にハトを飛ばすこともできる

あるときは灼熱の雪を降らせ
またあるときは凍りついた心も融かす

僕はマジシャン

人の気持ちも思いのままに
不思議と動かす言葉を使う

 ....
おやすみの挨拶に
朝目覚めた時に
会社へ出かける前に
君は僕に言って欲しいらしい


機嫌の悪いときもあるし
朝は何かと忙しいから
毎回言うのはめんどいなあ


本気じゃなくても ....
涙をふいた手を見つめて
胸を締める
責める


世間は
冷たいものだ

わたしが哀しくても
「うるさい」と
平気で言う

ものには
言い方というものがあるでしょう?

か ....
始まりは
木もれ日の色

風の音色を
静かに重ね

深い朱色に
染まる時まで
粒になり粉になり消えてゆく
手に触れる花から消えてゆく
からだへ からだへ
浴びせかけられるように降る花
燃えても燃えても降りやまぬ
消えても消えても降りやまぬ


め ....
スキップがうまくできなくて悲しい


昔見た映画の主人公みたいに
雨の中でも楽しそうに
水たまりをけって飛び跳ねる

憧れはいつも
自分にできないことが
少し上をかすめてゆくもどかし ....
 
 強情な父にも歳月ふりかかり ポツリとつぶやく 弱音ひとこと

 幼き日 父に連れられ行く公園 涼しき口笛 吹き進む道

 口数の多き母にもうなずいて 男の生きざま 背で語る父 

 ....
季節はずれの桜を見て、
こんなはなしを考えました。


秋山の紅葉さんから、春山の桜さんへ


ごきげんよう。
いかがおすごしでしょうか。
あなたと会わなくなって、どれくらいでしょう ....
母の小さな手が
ざわさわと高菜をもむ
塩と合わせる音が
その歴史を刻むリズム

器の底に横たわる思念
そこには計り知れぬ
脈々とした息遣いがある

その高菜を味見した母が
{ルビ辛 ....
やさしい歌うたいは
やさしい歌をうたいながら
なみだを流す

やさしい歌うたいは
自分のやさしさを知らなかった
前を歩く背中
このまま私がいなくなっても
貴方は気づかないんだろうか

それでも
それを実行に移す勇気は無くて
無理して早歩きをしながら
その背中を追いかけた

やっと近づけば
遅 ....
潮の匂いのする河口で
きみが釣り上げた秋は
きらきらと
ヴァーミリオンの鱗を煌めかせ
すっぽりと
きみの心に還っていった

ぼくはといえば
あいかわらず
仕掛けを空に垂らし
風を釣 ....
メールでは返信を促しているようで
そんなことを期待しない今日の私は
便箋に走らせてみようと思うのです


書き出しは、季節のことや天気のこと
やわらかに二人がつながっている
なんてことを ....
よく世の中では「人生の勝ち組・負け組み」だとか
幸せになれる数は決まっているだとか、不幸な人のほうが多いだとか
なんかよくわからない結論が飛び交っているけれど、ボクはそんなの全部全部
嘘っぱ ....
母が零した水がテーブルに広がる
その小さな湖にナプキンペーパーを投げ込むと
木の葉みたくひらりと堕ちた

着地した瞬間から水を吸い始め
自らを濡らしていく
染みは生きているように
時に速 ....
満員電車の中で溜息をつく
人の間をすり抜けてゆく生暖かい空気

すみません、おります、という声に
押されてできた小さな隙間
赤いランドセルが送り出される
紙くずが舞うホームに向かって
歩 ....
肌にふれる
ざわめきの波に
もういいよ
さすらうため息

とまどうことなく消した
たばこの残り火が
灰皿に冷たく燃えていく

おびただしい熱が
さみしいからだを満たす夜
かえりみ ....
殺してしまった

今日、何の罪もない
言葉を

奥歯で
噛み殺してしまった

悔しかったのだろうか
それとも
悲しかったのだろうか

そんなことは
いずれ忘れてしまうのだろう ....
シリンダーから彗星がほとばしり
縄跳びの軽便鉄道は
宵の明星を目指すんだ

薄暗い星雲を踏みながら
ほら日本海、漁の送り火が
暗闇に星空をまねる

おなじ目的地の
 ....
(その3 園芸屋のおじさん)


おじさんは良く独り言をいっているのだけど、実はそれが独り言ではないということに気づいたのはつい最近のことだ。

植物に音楽を聞かせるときれいな花が咲くという ....
けれどもただ個性的というだけでは認められないから
自分を偽ったりもするでしょう?

ひとりぼっちは多分たいしたことではなくて、
誰かが決めた価値観に沿って生きるよりも
自分で納得のいく自 ....
この星この時に生まれた
このからだが私
煙と骨になる日まで
私を運んでね

今日も歩けました
蝶を見ました
自転車に乗れました
ヒヤッとしました
お食事できました
しあわせです ....
真夏の日差しの照りつける
石畳のオランダ坂を下っていると
左手の幼稚園の中には
元気に足踏みしながら歌う
水色の服を着た子供達

入り口には
ひとりはぐれて泣いている男の子
笑みを浮か ....
突然の雨に驚き
空気が動き
生まれた風は
生まれたときから不機嫌でした


埃っぽい路が
陽や曇を浴び
濡れた光を浮かべ
空を見つめているのでした


蜘蛛でも ....
=今日の電話で友達から聞き出した話=
ラジオで「世界最大のカボチャ。重さはどれくらい?」という問題があった。
選択肢は3択。

? one konishiki  ? two konishiki ....
「短くなったから」

       と、

捨てられて

もみ消された

タバコの火が

まだ、 消えてない。


明滅を繰り返し

やがて


{引用=ふわりと} ....
 誰でもというわけではないかもしれないが、人は多くの場合、記憶の中に原風景を持っている。それは、その人の初めての記憶というわけではないかもしれないが、幼い頃に見た風景がその後ずっと頭の中に残りつづけて .... しにゆくものなんです
ぼくらは
それだけなんです
ぼくらは
それしかじょうけんが
ないんです
そんなにむづかしいですか

かいひはいりません
しにゆくものということだけなんです
わ ....
2個で150円、
の うたい文句につられて買ったそれは
避暑地の出来事のように
ふわふわと軽く
わたしを照らし
黄色く、寄りそうのでした


夏の酸味と
ひとくち目の
甘い、甘い、 ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける

楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
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