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嘘つきはもとめるように口を開く、
だから石を入れて縫いつけた。
キスしたければ唇のように目をあけてぼくを受け入れて噛んで。
さあ泣 ....
あたしは河だった。
両岸の、
親族と参列者を満たす河だった。
あたしは、
泣いて、
泣いて泣いて泣いた。
やがて涙は両岸に溢れ、
氾濫し、
洗い流した。 ....
犬小屋で眠っていると、
きつねのこんに声を掛けられた。
「どうして、
そんなところで眠っているんだい?。」
ぼくは、
わるいこだから。
そう答える ....
一。
昨日はちょっと、
あたしが言い過ぎた。
…のかもしれない。
でも、
あやまらない。
あやまりたくなんてないもん。
あんな言い方なかったも ....
それはなみだでした。
ひとしずく、
わたしをたたいたのは、
なみだでした。
それはぽろぽろと、
わたしをたたくので、
わたしはひとしずくずつ、
ひとに、
....
はたから見ればはだかかもしれないけれどこれがあたしの花びらです。
手折ってみたはいいけれど誘ってくれなきゃ蕾は待っているのにね。
造花の ....
ぼくが笑っていればきみもいつか笑う。
だから今夜は、
地球照。
ひときわ明るく笑って、
翳る。
隠してる。
きみの裸月が見たい。
....
裏庭で流木を見つけました。
流木なので、
どこからか流れて、
どこからかこの庭に、
流れ着いたのでしょう。
流木はぐっしょり濡れていて、
近づくと強い潮 ....
プレパラートに乗せられた午後ぼくはきみの眼球に恋をした。
水の変態点は零度と百度では人間は?実験しまショ。
試験管に氷を入れて愛 ....
ひとつのポケットにふたつの手を入れあたたまったふたり雨の日。
雨の日にはくりくりになる。
きみの髪くりくりするのが好きだった。
怒られるの ....
「裏山に捨ててあった人型あれ誰のかな?誰か人だったのかな?。」
「そう言えば最近姿を見ないけど人なんて他人事だよね。」
「博物館で見た人間の標本 ....
水面の戯れ水紋の喘ぎ。
乱れる波、
果てるを知らず。
満たされし満たされぬ果て、
月に焦がれて肥ゆ波高く。
悲しの海。
別れ ....
妻が子を産んだ。
女の子である。
わたしの子ではない。
山神さまの子だと妻は言う。
山神さまの子は妻に似て、
肌が白い。
むずかると、
白い肌を紅くして泣 ....
雲は遅刻したけれど青空は遅刻しなかった晴れのち曇り。
曇のカーテン薄いから、
向こうが透けて、
青い影。
ぐうん空魚が、
ほわわわ ....
眠っていると、
杓文字が遊びにきた。
ご飯つぶまみれで遊びにきた。
ご飯つぶ舐めてくれよぅ。
となついてきた。
なんどもなんども、
しつこくなついてきた。
しまい ....
混沌とそこで波立ち、
彼女は待っている。
すべてを脱ぎ捨て飛び込む。
飛沫を上げ、
彼女は受け容れる。
全身で全身を包み込む。
ゆるやかに彼女が浸透 ....
たたかうトナカイさんへ、
サンタにまけないでください。
たたらたあこより。
あとごにちかんですね。
サンタのおうぶおうにまけず、
がんばって。
たあこ。
....
「螺子を一本抜いておきました。」
きみが夕べ、
夢でそういったので、
あたちの今朝は、
すこち壊れている。
こら笑うな。
「ちんでちまいたい。」
なん ....
さむい日には、
セーターくんが話し出し、
「ねえねえ。
はなみずちょーだい。」
「だめ!。」
「ケチ。」
しんぐるべーるしんぐるべーる。
街には ....
どおぉーんとした夜明けには、
ゾンビがどんどん生まれて死なないのデス。
もしもーし。
死んでるデスか生きてるデスか。
もしかしてゾンビさん、
デスか。
....
もう、
くもくもくもくもくもー雲ばっかり!。
お空なんて裏返しちゃえ!!。
お空をくりりん!。
お星さまが恥ずかしそうにお尻を魅せています。
やー ....
たからものが見つからない。
田んぼからの帰りに、
どこかに落としたのかもしれないと、
あちらこちらを探してみたが、
どこもかしこも空っぽで、
見つからない。
....
取り急ぎ、
申し上げます。
(中略。)
そうしてぼくは、
きみよりお年寄りになって、
しまったのでした。
だから。
いつか向こうに着い ....
ふゆのめだまはゆめみるめだま。
ふゆらふゆらと、
ふねこいで、
ゆめやゆめやと、
ゆめをみる。
つめたくなったら、
めをとじて、
まぶたのなかで、 ....
一。
あたし捨てられた。
だから流れてる。
この汚れた水の中を、
彼らと流れてる。
髪や肌には、
彼らがこべりつき、
凄まじい悪臭を放ってる。
....
床に線を引いて、
彼女は国境を決める。
彼女はとても怒っているので、
とっても横暴に決める。
彼女は地図を作ったので、
ぼくらの部屋は地図になった。
彼 ....
一片のことばに、
色がなくても、
それでいい。
一編の詩として、
彼らが息づいていれば、
それでいい。
どんなに醜い、
汚物であっても、
それで ....
あだしのくんは、
ときどき冷たくなる。
あたしの隣で眠っていると、
あだしのくんのからだが冷たくなる。
あだしのくんの蒼白い肌が、
さらに蒼く透きとおって ....
ぴょぴょがあふれたら、
もうきせつです。
ばすけっとにつめこんで、
のはらにでおでかけしましょう。
みんなまっていますよ。
さあはやくじゅんびをして、
....
一。
わたしの壁にはきいろいしみがある。
しみはわたしが産まれる前からあったしみで、
わたしの父がこの家に婿に来る前から、
ずっとそこにあったしみな ....
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