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弟の息遣いが聞こえる
浄水場のある街に
敷設された線路を
今日も走っている
誰よりも足が速くて
誰よりも
列車の真似が上手だった
弟は皆から
関口さんと呼ばれていた
だか ....
静脈の運ぶ退廃が酒肴として活きる夜
帷の内と外でどれだけ熱量が違うのか
内では
肥満めいた男が慄き若い女に買われて
右往左往しながら満更でも鳴く蕩けて
真っ暗な夜がないのと同じように
....
ひらがなといくつかの簡単な漢字を覚えた頃
新聞の尋ね人の欄を読むのが日課になった
和子 連絡してくれ 父
正男 心配してる 母
やや太い黒い線で囲まれた
額縁の中の
それらの文 ....
誰もが知る肌に
夏の落ち着きを失った季節は、
陽のわずかな傾きに
秋を告げる
沈黙をやぶる囁きに
自問自答をとめる
潮の香りは、さやけき潮の音
反射する 陽炎のひかり
....
愛とは
人間にとって最も重要な感情の一つである
愛とは
相手を、愛おしい、かわいいと思う気持ち
愛とは
無償で与えるもの
愛とは
性行為とは無関係
愛永久
AIと ....
大草原を駆け抜け
廻り続けていく車輪
魂の淀みを抱えながら
自らの汚濁を振り払い
まわるまわるくるくる廻る
深く紫に沈む葬送の列を打ち刻み
死者から生者へのキッス
媒介しながら ....
金曜日、ファミレスにて。
カラカラと音を立てた 冷えたグラスから
水滴がしたたって テーブルに水たまりを作ってる
さっきから僕の愚痴は 止まらなくなってる
うだるように続いてる この夏 ....
海がつなぐ
まだ知らぬ世界も
流れ流れてやって来る
水か銀か仏か
あらゆるものが
流れ込んで
世界中を巡りゆく
海がつなぐ
あなたと私も
同じ母の魚を食らい
糧か毒か滋養か
....
○「寂しさ」
田舎の寂しさに耐えかねて
テレビがなる
ラジオがなる
防災無線がなる
彼岸花が咲く
○「防災無線」
認知症のおばあちゃん
施設を抜け出したきり
まだ戻って来ません
....
漫画って
なんて素晴らしいんだろう
小4の春でした
漫画家に、なりたい
絵は上手かったのです
絵は上手い?
やっぱ画家になろうかな
うーんでも
今どき画家じゃ食 ....
、、
ほとんど会話もないまま
「アメリカの朝食」を聴きながら
たまごの入った高級食パンに
森のバターをたっぷりとのせて
熱い紅茶でいただいた
ただそれだけ
コンビニで
おにぎりを2つ買う
野外食堂で
頬張り空腹も満たされ
手に余った包装物は
そこらへんにポイ
コンビニで
缶ビールにおつまみ
野外居酒屋で
ほろ酔い加減に
ミニ宴 ....
着信音
表示された名前に
息を飲んで
恐る恐る応答をタップした
紛れもない
あなたの声
嘘みたいだと言ったら
嘘でーすとふざけてきて
一気に緊張がほどけた
少しも迷いのない
....
たとえば、
洋上遥か昇る巨大な火球
たとえば 、
杉木立に囲まれ伸びる石畳
たとえば 、
揺れ動く草葉のささめき
朝に瞑目意識の内に現れ来る光景を抱えつ
日々深まり深める能動的なる ....
サザエさんの中にある
あるいはまる子ちゃんの中にでもいいのだが
スマホもPCも大型TVも無い時代
ほんとうは
もしかしたらエアコンさえ無かったか
こたつみかんに紅白歌合 ....
どこまでも
続こうとする坂道
喘ぎながら
繰り返される
独り言のような呪文
聞きながら
闇雲にしがみついた
あなたの背中
眠ったふりしながら
安いおしろいに混じった
....
土から顔を出した芽のように
意識の端にまだ眠りの殻が残っていた
風を孕んで色あせたカーテンが膨らむと
どちらも淡い光と影
すべるようにすばやく表情を変えた
あなたの顔にはいつもこころが映る
....
ロボットが感情を持ったとか
人の知能を超えたとか
そんな時代が来てるらしい
ロボットが人に近づいてるのか
人がロボットに近づいてるのか
分からない時代がきそうだね
でもね
ロボッ ....
何をしても上手くいくし
何もしなくても上手くいく
見えない器を満たすこと
それをこぼさず運ぶこと
溢れた水は土に還し
空へ向かって芽を伸ば ....
田舎路にポツンと立った公衆の電話ボックス中に人影
若いころ汚い言葉が真実と勘違いして牙を剥いてた
新聞を読まなくなったしがみつくオールドメディアと知ったか ....
他人のこころの闇よりも
自分のこころの闇のほうが
深い
と
感じる時がある
でも私はそこで絶望はしない。
私の
大きな絶望は、
昔に失ったからね。小さな
絶望は、今もすることはある
....
歴史ばかり雄弁な片割れ石碑のどこにも書いていないが
多賀城の南門から素足をのぞかせた未開の少女が入ってきて
わたしの首になめらかな両腕をかけて影へみちびきいれた
そのときからわたしの胸には真紅の ....
ボクがいなければ、
キミは動けないね!
それはおたがいさま
でもボクは動いてねと
指示しなければ
キミは動けないよ
ボクが動かないと
キミの思いとおりには ....
海辺の公園にあるカフェで
静かなスムースジャズに
耳を傾けながら
小林秀雄のモオツァルトを読む
休日の朝
一日の予定など組まずに
ただゆっくりと過ごす
面倒なことはすべて
黴臭い古いデ ....
その人たちの
運命と
私の運命が
重なり
今がある
・
※ 家族・友人・知人を思って。
沈黙をする沈黙を
聴くと
私は
静かさで
満ちる
・
※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
雨降り 夕暮れを巻いて
物語を待っていた
バスが来て 人を降ろし
タクシーが来て 人を乗せて行った
日々は車窓みたくぼんやりで
右から左へ流れていった
むすめに 毎日 頬擦りを ....
ケケケケケケケケ
ケケケケケケケケ
ケケケケケケケケ
ケケケケケケケケ
ケケケハレケケケ
一番いい服を着て
お洒落な街へ行く
あなたに会う為に
ハレの日に晴れた
ケを蹴散らし ....
引き裂かれる
肉身の苦痛
精神の愉悦
繫ぐ魂を
大音量ノイズに曝し
何とか正気を保ちつつ
両腕のパンパンに膨らみ
尚も自傷行為を
繰り返さざるを得ず
遂に自らの肉身引き裂き
....
雑木の密生する土手の外れに
一本の柳の木が俯いて
午後の暑熱を滲ませる貯水地の水面を
のぞき込む
鳥も来ない
辺りに虫の音の靄る静かさ
濃い藍藻に覆われた沼底でまだ
....
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