友人との親愛に満ちた深い交わり
職場での同じ目的を目指した連帯
花も木もすべては私の感官を刺激し
口から溢れ出す言葉が止まらない
これが一つの世界だ

だがその世界だけでなく
 ....
生命の芽吹きは死と同義
草木が芽吹いているのではなく
死が咲き乱れている
春に漂う死の破片は極めて正気で狂気のかけらもない
この緻密に計算された春の死に私の感情も巻き込まれる
新しい ....
正午とは絶対的な停止の時刻だ
全てのものは太陽の鑿に彫刻されるため
輪郭を顕わにしてじっと耐えねばならぬ
痛みもまた停止して焼き付けられ
まぶしい空は地上を忌避し続ける

昼は ....
全ての季節から見放され
太陽からも見放され
夜中に夜空を眺めていると
夜空に輝く三日月は広い闇の中で一人ぼっち
圧倒的な闇の大群に孤軍奮闘するまばゆい光
月よ、お前も苦しいのだろう、 ....
線香をあげるとき
仏壇に飾られたあなたの遺影の中で
あなたは結晶化していた
あなたは若いままでもう歳をとらない
あなたはいかなる光も言葉も感情も透過する
温かく透明な結晶だ

あ ....
      ――M.S.へ

あなたは私という小さなひずんだ円形を、余すことなく包みこむ大きな完璧な円形だった。ふたつの円の中心は、二人の性格の針によって異なる点を指していたが、私が囲っていな ....
一人の人間の中には収まらない
大きな悲しみがある
あるいは地球の地表を覆い
あるいは宇宙をすべて満たす
大きな悲しみがある
だがこの悲しみは
僕という一人の人間から生まれたのだ ....
優れているということ
それは一つの棘であるということ
鋭く探し当てどんどん前進していき
多くの人の自尊心を刺してしまう危険な棘であるということ

優れているということ
それは自 ....
輝くものと輝かないものが出会って
互いに氷として融け合った一年だった

ほんとうのことはすべて
偉大な虚構から滑り落ちた一年だった

どこまで伸びていくか分からない
指先を丁 ....
僕は深さなど分からない水たまりの底にいる。君は人工衛星としてはるか遠く宇宙へ、僕のもくろみを機械の残酷さで傷つけていく。指と指が触れあえた遥かな昔から、僕から君へと涙の上澄みが距離を優しさに換え続けて .... 人間が単純に存在するその情熱と、世界が柔らかく超越するそのリズム、それらは果てのない鳥の航路のように美しく、過剰に届く祈りのように悲しかった。僕らはいつだって波のかけらを燃やし続けていた、始まりの音が .... 一面のガラス張りの外では
人々が雪のように紅葉のように
はらはらと歩き去っていく
老いも若きも男も女も
それぞれの足取りとそれぞれの心持で
ただ美しい自然の移ろいのように
はら ....
朝は難解である
アスファルトの奇異な色彩
人気のない誇張された静寂
待合室は不自然に明るく人を拒む
僕は始発電車に乗ろうと
駅のホームに立っているが
朝は難解である
時間は動 ....
雨にも負けないデクノボウだった。欲もなく、慈悲に満ちて、多くの人を助けながら、名誉を望まなかった。高潔でもなければ人格者でもない。ただ純粋な心を持ち、朴訥に生きていた。そう、彼は悪魔だった .... 飛ぶ鳥たちは割れた――白い地面に祭りの名残は薄く、
国境にはつがいの宝石が立ち並ぶ、小さな戦士は今日も生を一つ諦めた、
葡萄酒が注がれる橋で君は待っていた――

長く不在だった国で ....
 私は成熟を渇望していた。若者特有の傲慢な自己中心性の檻から早く脱したくて、自らを華麗に相対化してしまいたかった。だが、いくら焦っても成熟するのは気分だけで、一向に本体が成熟しなかった。いくら .... 僅かに酒の残った盃が
幾つもの角度から照射されている
すべての目は正午に向かって閉じられ
盃のひびは厳重に黙秘された
この盃にはかつて
動物が開花していた
この盃にはかつて
 ....
最も幸せな人は木の上に住んでいる。風の満ち引きに体温の波をぶつけながら、細い枝とともにしなり、足がかりは隙間だらけで険しい空間を縫っていく。時たま地上に降りては大地の囚われの不幸を確認し、全て .... 幸福な人よ
あなたは一度死んでしまった
かつて巨大な飢えに引きずられて
ひたすら哲学の研究で自らを満たそうとした
探求の徒としてのあなたは死んでしまった
あなたは次第に人々に囲ま ....
駅から家までの道を歩きながら
様々な方角へと視線を分け入らせていく
見たこともない花が咲いていたり
知らなかったガソリン貯蔵施設があったり
私の視線は細くしなやかな糸のように
ど ....
 実在論とは、世界に物質などが実際に存在し、それに触発されて意識などが生じるとする考え方である。観念論とは、存在するものは意識に与えられたもののみとして、それを超えた実在を要求しない。
 ....
私たちは山から産まれて
いずれ山へと帰っていく

山肌から毛髪のように木が生えている
どんな響きも逃すまいと
毛髪の中に嵐の全音階を閉じ込めて
山はひたすら記憶する
雨も光も ....
余白だらけの夜に
私の存在は余白だらけ
余白を埋めるように侵入してくる街並みは
全て雨のように回避される
夜空の闇はひたすら淡く
道行く人もひたすら遠く
私は過去の袋小路に迷い ....
夢中になってしまうのは過去の自分との対話。昔の日記帳に綴られたもはや綴ることのない甘い苦しみが、私にその混乱を届けるので、今の私は軽やかに処方箋を手渡す。私の成長は降りかかる災厄に応対する .... なぜなら真新しい渕に一枚のはがきが落とされたから
なぜなら古い日記帳に挟まれたかつての友人からの手紙が鮮やかだから
なぜなら花は美しいだけでなく春は温かいだけでないから
なぜならどこ ....
 私は文学教育を受けたことがない。大学では自然科学と哲学をおさめ、その後大学院では法律学をおさめた。文学は、そういった主な勉強の余技としてなされたにすぎず、だから私はゆっくりと小説を読んで .... つい涙が出てしまうのは、思い出が夕立のように降って来たとき。思い出が大地を少しずつ削り、大地の裂け目からやがて泉を探り当ててしまうとき。孤独の泉、傷心の泉、夕立は私ですら忘れていたような泉をつ .... 私は誰の役にも立たない人間だが、物の役には立てる。今さら人間に媚びる必要はないのだ。物を愛し、物と共に生き、物と会話して生きていけばいい。私は社会的動物であることを別の意味で置き換えた。つ .... 起きた時喪失を感じる。夢を遡り昨日を遡り、どんどん過去へと逃げていく私の心の半分。私は朝起きるたび心が半分になる。そして、過去へと遡って行った心は決して帰ってこず、その代わり消え去った思い .... 私は仕事をしている。仕事場は道路の真ん中であり、仕事をしているとすぐにクラクションが鳴り車が渋滞し警察がやって来るので、しょっちゅう仕事場を変えなければならない。私は仕事をしている。仕事着 ....
葉leaf(914)
タイトル カテゴリ Point 日付
ふたつの世界自由詩115/4/2 6:02
自由詩215/4/1 3:56
自由詩215/3/29 3:40
孤独な月自由詩215/3/27 6:12
結晶自由詩315/3/25 4:42
異動自由詩215/3/23 3:38
悲しみ自由詩215/3/22 7:36
優れている自由詩415/3/21 6:18
一年自由詩615/3/20 5:12
BUMP OF CHICKEN自由詩015/3/16 2:15
ACIDMAN自由詩015/3/16 2:14
駅前の喫茶店自由詩115/3/15 16:59
難解な朝自由詩215/3/11 3:57
悪魔自由詩115/3/11 2:52
自由詩115/3/10 4:57
フレーム自由詩215/3/9 3:57
宴のあと自由詩115/3/8 8:25
幸せな人自由詩315/3/7 5:08
幸福な人自由詩215/3/2 5:39
歩く自由詩3+15/3/1 6:44
詩における実在論と観念論散文(批評 ...215/2/27 4:22
自由詩015/2/26 4:24
夜の町で自由詩215/2/25 4:21
夢中自由詩3+15/2/23 6:31
理由自由詩315/2/22 7:47
回想10年散文(批評 ...115/2/21 4:00
自由詩315/2/20 3:44
書店自由詩015/2/19 3:19
起きたとき自由詩715/2/17 3:14
仕事自由詩215/2/14 17:42

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