5秒


1時間4秒




9分31秒

2秒



6分

3時間17分56秒

42分





8秒


3分59秒




 ....
あの空にはたくさんの墓標が立っている
その墓標の苔から僕はひっそりと落ちて来たのだ
今僕の帰りを待つのはその苔ではない
苔はすっかりきれいに掃除された
僕は新品の棺へと
色のない花々にうずも ....
5時 起床
 死んだ爪の凝縮の演技。来るべき一日の水溶性を測る。サボテンの正義を分解して蒸気機関の犯罪を合成する。いくつかの爆発を引き出しの中にしまい込む。輪郭が許可される。許可を輪郭する。騒ぎ立て ....
薪を焚く煙の臭いが開け放たれた窓から侵入する
逃走中の強盗犯は、昔よくいじめた級友の家に匿われていた
時計の針の動きが残酷すぎる午後六時
「せめて終わりから始めようじゃないか」
「小さな眼が点 ....
真夏の赤い闇に閉ざされた狭くて重い部屋の中にどこまでも続く一本の道がある、砂利/土/アスファルト/石畳、それらの悲壮な交替、反復、沈殿により、きらめく闇の粉からささやかれた32mの格子窓に映る病人の内 ....  雨が、雨の首長が、雨の葬列が、雲々とマンション群の順位を定めながら、一枚の焦げたパンの坂を軸にして、三枚の濡れたシャツの日付へと回転していき、神経の限りない深度を測定していた。それは傾き、音から音へ ....  花々もなく、人生を折り曲げるほどの歓喜の思い出もなく、ただ学生として生きることが自然な網でもって捕えていく雑草のような物資だけのある部屋から、私は引っ越そうとしていた。引っ越すことの目的や理由、理想 .... 自然など存在しないこの世にはすべて人工この木も草も

夕陽受け際立ち光る葉の裏は真っ暗闇で不平等

陽が落ちてそれでも光が残る頃その石からも流れ出すもの

残酷な夢を見たあと心澄む切られた ....
今日も街路を携えて歩く
街路の広がりの粒を
遠さの粒を
ポケットに携えて

街路樹の影が地面に落ちている
ひらひらと落ち続けている
これだけたくさんの影が溜まっているのに
影は街路を汚 ....
私は眼を鑑賞する////壁の空いたところに三十万円で購入した生きた眼を植えつけたのだ////まばたきをすることによって眼は私から知識を食べていく/そのときの私の軽い疲れの顫動をも眼は知識の尾として食べ ....

 言語学者の間で、パソコンの「マウス」の語源が「魔臼」なのか「舞う酢」なのかについて議論がなされた。マウスの動き方が、臼が回る動きなのか、舞う動きなのか、が主な論点となった。僕は「マウス」は ....
手は内側を流れる音楽を運動に変換して紙の上に文字としてしたためる。紙に落ちる手の影は皮膚の内側の湿潤で深く染め上げられている。私は友に手紙を書いているのだ。友は声として仕草として視線として輪郭として色 ....

 孤独というものは私の中の腫瘍のようなものだが、それが私の目に付くようになったのはいつの頃からだろうか。私が幼い頃にも孤独はあった。孤独の種があった。孤独の種というものは、母の孤独が、胎児の ....
啄木のこころ親しくあたらしい
小さな文庫の小さな文字で

風あらしざらつく息の事始め
考えの糸あかるく保つ

自己肯定あふれるときにただ迷う
処刑の前のあきらめだろうか

正しいと思 ....
判事の手から落ちたりガラス粉
 森の極みに眠る彼の父

鳥の尾の翻る間に雲変わりぬ
 雲の語りは地に届かじ

ミートパイ裂けり三角四角にて
 暗き食卓咳き込む母親

忘れられた僕忘れ ....
私を叱った検察官と町で会う向こうは私の顔を忘れて

勉強の合間に聴いた音楽と外を吹く風重ねて聴いた

駅前を歩く猫がさっと走るそういう感情がふと湧いてきた

思想からさらに思想へとはしごし ....
 中学の頃科学部に入っていた。十三歳の透き通った体には、夢想によって薄められた血液が集まるための小部屋が必要だったし、十三歳の墜ちてゆく倫理は、それまで入射していた論理の湖から溢れ、また日々を結合させ ....

航行すべく人は完熟し、窃取された内側と内側に、逆らう砂の世紀から離れて、泳ぐ翼を縫い合わせている。だが石は諦めていた、露悪するだけの岩すらないことに。飛魚は絶望していた、感光するだけの直線す ....
 裏切りというものは強すぎて熱すぎる光のようなものだと彼女は感じた。裏切りの光によって切り裂かれた後、その傷にはどうしようもなく重くて硬くて冷たい或る物質がまとわりついて、複雑に気まぐれに傷を啜り続け ....  私の実家の犬には「ハナ」という名前があった。だが私はどうしても「ハナ」と呼べずに「犬」と呼んでいた。自然との流動的な親密さに耐えられなかったのだ。
 「ハナ」という言葉は他人の所有する暗がりのよう ....


いくつもの水際が交わる地点で、杉の木立が絶え間なく引用されては要約されている。切られた影をつぎはぎしてできた窓が幾重にも重なっては蒸発している。部屋の表情から捧げられた視力を集め忘れる。私は ....
 彼は男子校に通っていた。中学の頃、彼は異性がそのスカートの辺りにまとわせている過剰な毒に体中を侵されていた。異性がその微笑みの表面で彼のあらゆる衝動を跳ね返すことに精一杯抵抗していた。異性がその声に ....

足音が山道を滑り落ちていく、空と衝突するまでに必要な耳の数を質しながら。足元の岩から生え出ている昨日の私に、私と環境とを隔てる少年と筆談をさせる。それぞれの葉の色の量だけ枝の火力は増してゆく ....
1.対位するものから浮遊する散文

私は歩いていた
標識のない道であった
ときに景色が
逆に流れる場所がある
見知らぬ森
        (『道標』より)

 散文の特徴の一つとして ....
 高岡修「屍姦の都市論」(思潮社、二〇〇五年)は、詩であると同時に、「都市論」とあるように論でもある。では、それはどのような意味で論であり、それが同時に詩であることによって何が実現されているか。

 ....
0.紹介

 島野律子の作品は以下のホームページで読める。
「弱拡大」
http://www.aa.cyberhome.ne.jp/~babahide/index.html
とりあえず、「十 ....
 伊藤悠子の詩集「道を 小道を」(ふらんす堂)は静かに充実した石英のような親しさを感じさせる。多くの事象を切り取ってきているはずなのに、なぜか切り口が見えない。切り取られながらも事象は世界と連続してい ....  道というものは目に見えないものだ。だが道を生やし、道の代わりに目に見えて、道を導くものはある。アスファルトが敷かれていれば、石畳が敷かれていれば、林の中そこだけ木々が生えていなければ、そしてそれらが ....  自殺者が私にこう告白した。
「いつの間にか「シ」という音が俺の全身に転移していった。初めはこの「シ」は「詩」なんだとか「史」なんだとか思おうとしたが、そのような思念の枝分かれ・芽吹きを斬り落として ....
 その建築はどこか役所のような正義風を吹かしている。それでいながらその建築は、人が、その全体を意識の最も深い谷にまでひっかけ、その細部を感情の織りなす水にからめとるとき、その均衡と博愛とを顕わにし、聡 ....
葉leaf(914)
タイトル カテゴリ Point 日付
時間自由詩3*11/10/12 8:57
夏の終わり自由詩311/9/4 5:22
スケジュール自由詩2*11/8/2 16:42
無題自由詩311/6/6 6:43
ハチャトゥリアン 交響曲第一番第三楽章自由詩311/5/12 7:09
大洪水自由詩511/2/5 6:30
空間の定義自由詩711/1/4 13:41
tanka短歌110/12/22 18:47
季節自由詩5*10/12/6 9:28
自由詩4+*10/12/1 7:24
日々2自由詩8*10/11/28 11:02
手をめぐる文学的断章自由詩6*10/11/23 8:57
調和自由詩1*10/11/23 8:07
tanka短歌210/10/1 6:01
短歌2*10/9/5 7:33
短歌310/9/5 7:33
眼鏡の定義自由詩610/8/4 8:26
探索自由詩110/7/4 9:35
機械の定義自由詩410/6/29 6:03
動物の定義自由詩310/5/28 10:41
探索自由詩410/5/28 10:32
樹木の定義自由詩110/4/28 11:10
探索自由詩410/4/14 14:39
笹野裕子「今年の夏」をめぐって散文(批評 ...1*10/4/5 15:48
詩であり論であるということ散文(批評 ...3*10/4/5 3:07
島野律子小感散文(批評 ...5*10/4/4 14:40
接触への欲望、虚構による螺旋散文(批評 ...0*10/4/4 14:16
肉体の定義自由詩010/3/29 5:35
時間の定義自由詩310/2/27 10:30
音楽の定義自由詩510/2/4 6:18

Home 戻る 最新へ 次へ
8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 
0.07sec.