歩く
葉leaf




駅から家までの道を歩きながら
様々な方角へと視線を分け入らせていく
見たこともない花が咲いていたり
知らなかったガソリン貯蔵施設があったり
私の視線は細くしなやかな糸のように
どこまでも犀利に分け入っていくから
その糸の先端に風景を創造するのだ
今まで気づかなかったのではない
今日私が視線を向けることで
そこに新たに花は創造される
今まで見逃していたわけではない
今日私が全容をつかむことで
貯蔵施設は存在を始める
歩くということ
視線があらゆる細部を撫ぜていくということ
視線は私のてのひら
見慣れた風景もそうでない風景も
全ていつでも新しいから
私は視線のてのひらで風景を新しく創造する
私の通ったあとに風景は新しく存在を始め
次に私が通ることでその存在が更新されるのを
どこまでも細かく存在し始めるのを
沸き立つように待ち続けている


自由詩 歩く Copyright 葉leaf 2015-03-01 06:44:28
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