夜は大きな墓場だから
光が絶命する静かな穴だから
雪はただ意味などなく
微かな感覚だけを残して死んでいく
雪はただ理由などなく
微かな過程だけを残して消えていく
夜を泳ぐまばゆ ....
 現代詩において恋愛詩は避けられる傾向にある。その一つの理由は、現代詩の不可逆的な洗練の先にある書法が、恋愛を解体する傾向にあるからだろう。素朴過ぎて日常的に発される言葉は詩である必要がない。 .... 夜の速い渦の中で、私は突然の出会いに見舞われたかのように混乱している。電車のホームに鳴り響く様々な声のあらゆる細部に巻き込まれて、夜空高く昇っていくかのごとく混乱している。これだけの複雑な .... 僕は工場で量産された個性のない品物
僕自身のアイデンティティが欲しくて今日も走る
持ち主が僕をどう扱うか
どんな所を走っていくかによって
僕の個性は少しずつ作り上げられていくから
 ....
私はかつて二つの遠さを抱えていた。一つ目は社会的な意味での遠さである。私は職に就くこともなく、難しい国家試験の勉強を数年続けていたが、一向に成績が上がらず、模試や本試験のたびに絶望するのだ .... 真っ赤な花が白い雪でくすんでいる
赤が赤になる前に白がそれを遮り
白が白になる前に赤がそれを遮った
花と雪とが小さな組合を作り
花が風景を焼き過ぎるのを雪が消火し
雪が風景と睦み ....
去っていく人よ
あなたの最後のまなざしは誰に向けられていたのか
私への教育の際いつも注がれていたそのまなざしは
それは私を突き抜け、あなたの家族も突き抜け
誰にも捕捉されない自由な原っ ....
お前は世界中の視線の届かない場所へと
巧妙に自分の命を隠した
俺とお前はたくさんのものを交換した
情報や言葉や表情だけでなく肉体や精神にいたるまで
だが交換が命にまで及ぼうとしたと ....
休暇の日には旅行に行きたい。近場の都市の小さな祭りに参加して、山車を引いたり酒を酌み交わしたりしたい。人々との瑞々しい触れ合いの中でも、自分の中の凍った寂しさはいつまでも融けないことを確かめたい。夥し .... 雨の日に、僕は雨粒の音を数えている。僕が数えられるよりももっと速く雨粒は降ってくるし、遠くの雨粒の音はよく聞こえない。それでも僕は雨粒の音を数えている。自分の感性の平原、その静寂に一番響く ....        ――K.A.へ


僕たちが出会ったのは、僕たちが調和して更に大きな調和に至るための、必然的な雨降りのようなものだった。眼差しと言葉と語り合いと、全て君は瞬間的で、全て君は ....
          ――A.Y.へ

少年の肥沃な大地に限りなく降り続ける光の種は、少年の自己愛の湖に降り注ぎ、ただ吹き零れていくだけなのだが、あなたは少年たちにそれらの種を芽吹かせ、さら ....
夜の街路で、街灯もない道を私はさまよっていた。正義はいつでも鋼鉄でできている。それは鋼鉄の壁かもしれないし、鋼鉄の刃かもしれない。私は自らの著作の記述で異教徒を激怒させ、異教徒に追われてい .... あなたの表情やしぐさがたくさん降り積もりました
あなたの中にも僕の表情やしぐさが
戸惑いや熱や嫌悪などの色を帯び積もっているでしょう
二人にとって互いはいつのまにか人間の重みを超え
楽 ....
手術


世の中で働いていると、たまに深い疲労感に包まれることがある。例えば難解な芸術作品を無理に観賞して疲れたときのような、何かが未消化なまま、その未消化のものを理解しようとしても理解しきれな ....
僕の目の前には因果の絶壁が見える
聖宇宙の切れ端で出来上がった都市よ、走り出せ!
無を創造する無を道祖神として祭っている
屹立するブラックホール
僕はたった一つの悪に取り残された
 ....
全ての絵の具を混ぜると黒になるように
全ての人間の一日を混ぜ合わせると闇が出来上がる
光は失われたのではなく
闇を構成する一つ一つの物質の内側に
焼けそうなくらい熱しながら輝き続け ....
一人一人が
一人一人であることを超えて
一つの波打つ連合となり
一人であることを忘れる
言葉は言葉を呼び
笑いは笑いを呼び
そこに何の抵抗もなく
めまぐるしく連鎖する
四人 ....
全ての色彩から、全ての音響から、全ての芳香から見放され、僕はこの空の沙漠で下界に着地するすべを知らなかった。僕は太陽として余分すぎる存在であり、意味もなく光を放ちとても醜いので、いっそのこと夜 .... サラリーマンの生活にストレスはつきものである。先輩の何気ない一言に威圧的なニュアンスを読み取って、傷ついた感情で脳がぐるぐる回ったり。上司の仕事についての厳しい叱責が腹の奥をつんざいたり。 ....  詩を読むことで日々の疲れを癒す。詩を読むことで嫌なことも忘れられる。詩はそのように、美的快楽を生み出し、人々の日々の現実生活を忘れさせてくれるもののように思える。また、詩を書くことに夢中にな .... あなたの手に私の手を重ねると
それは既にあなたの手ではない
あなたは電燈のように存在の消燈を繰り返し
さらには鳥たちのように存在の集散を繰り返す
私はあなたを燈らせあなたを集めよう ....
夜が降り続けている。サラサラと、粉雪のように降り続けている。人々は夜を一身に浴び、結局何も洗い落とせないことを知る。夜は何も洗い落とさない代わりに、ただ過ぎていく一日の最終行を書き続ける。 .... 冬の町は冷たい深海の底
膨大な大気の海の底で
人々は発火している
凍えた光は痛々しく
存在してはいけなかったのかという
懐疑の闇に閉じ込められて
羞恥と罪悪にふるえ
存在根拠 ....
青白い炎がひっそりと夜を燃やしている
いぶり出された闇に重なって液体は熟成する
どんな小さな物体でもどこまでも遠く展開され
明日や明後日の雨や風や陽射しを
その中核に刻印するために ....
 中村梨々の詩集『たくさんの窓から手を振る』(ふらんす堂)を読んでいると、奇妙な点に気付く。この詩集には「青春」が存在しないのではないか、と。子どもと大人の視点では書かれているが、若者の視点が不思議と ....           ――K.F.へ

あなたの体に鋭い輪郭はあるのだろうか、そしてあなたの心に? 空気も光も柔らかく、あなたと混じり合いながら跳ね回る。あなたは驚いたような顔をしたり人を見つめ ....
私が人を殺めて逃げてきたこの町では、もう長い間新年が訪れない。新年は何か巨大なトラウマのように忌避されていて、人々は年が変わる頃決まって不機嫌になる。大きな街道から海へ向かい、山と山に挟ま ....  詩を書いている多くの人は、詩のイメージの中に現実以上の刺激や面白味を込めようと工夫しているように見受けられる。それは結構なことだし、そういう現実では味わえないようなものを、たとえ言語世界内で .... 僕の言葉があなたの中を巡り
あなたの中で咀嚼されたその言葉が
今度はあなたの言葉として
僕の中を巡り僕はそれを咀嚼する
僕とあなたは厳密な距離を保ち
互いに向かい合いながら
堅 ....
葉leaf(914)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜と雪自由詩215/2/14 8:48
恋愛詩の在り方散文(批評 ...415/2/11 7:58
複雑な夜自由詩315/2/11 2:42
自動車の歌自由詩415/2/8 3:59
遠さについて自由詩315/2/6 4:38
花と雪自由詩4+15/2/5 4:57
去っていく人自由詩215/2/3 1:33
自由詩315/2/1 1:03
休暇の日には自由詩0+15/1/31 8:04
雨の日自由詩6+15/1/29 3:21
未愛自由詩115/1/28 4:57
卒業自由詩015/1/27 1:14
自由詩515/1/24 5:32
疑問自由詩115/1/22 5:37
手術自由詩015/1/21 4:20
自由詩115/1/20 5:20
自由詩215/1/18 4:29
宴会自由詩2+15/1/17 7:50
成人自由詩315/1/14 19:49
温泉自由詩015/1/12 16:31
詩は現実逃避ではない散文(批評 ...3+15/1/12 8:01
隔たる人自由詩315/1/11 6:33
自由詩415/1/8 4:47
冬の光自由詩015/1/7 2:45
自由詩015/1/5 6:08
中村梨々詩集『たくさんの窓から手を振る』について散文(批評 ...215/1/3 16:18
幸福自由詩115/1/2 0:44
新年自由詩115/1/1 9:11
人生は退屈ではない散文(批評 ...214/12/31 10:39
循環する人自由詩314/12/30 5:44

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