少し湿った空気のせいにして
ずっと見つめていられない

まばたきするのと同じ一瞬で
咲いては散る火の花は
たくさんの星を集めたように
火薬の匂いをひいて流れてゆく

ほら
星が夜空に ....
台風が近づいてくるという
天気予報通りに降りだした雨に
慌てて部屋の窓を閉めました

(淋しさというものは
 そんなささいなところに隠れていて)

窓の外から聞こえてくる雨音を
半歩遠 ....
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。

その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむず ....
つくんと

ときおり胸で感じる痛みを
悲しみのせいだとは
思いたくないから、僕らは
うたおうとする

好きな歌を

思い出せないフレーズで
立ち止まってはいけないと
覚えてるとこ ....
「陽子、詩人と付き合ってはいけないよ」
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=36052
「父さん、詩人と付き合ってしまいました」
http://po-m. ....
七月の窓辺

夏色の羽をはばたかせて
揚羽蝶がひとり
庭に迷い込んできました

羽を持って生まれてきた生き物は
そんなふうに飛ぶのが
当然なのだというように

ゆらりと抱いた風をふ ....
それぞれの空があり
それぞれの海があるように

それぞれが少しずつ違うからこそ
世界と呼ばれるものがある
ぼくらは

お互いを知るために
生まれてきたわけではないけれど
傷つ ....
ある日
自動ドアの前に立ったら

開かなかった

押しても引いても
やっぱり開かなかったので

慌てて君を呼んだ

ちっとも開いてくれないんだよと言いながら
二人並んで立ってみた ....
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに

鶴を折っていました

それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき

その子 ....
みずいろの風に吹かれて

すこしだけ早まった鼓動が
うなずくように合図をしたら
それが夏のはじまりでした

手のひらでつくった影に
割り込むように差し込んでくる
陽の眩しさを避けて木陰 ....
こんなに浅い眠りでは
うまく泳ぐこともできない

私はきっと
魚になりたいと

こうやってもがいているのに

軽々とふとんをはねのけても
夜の重さには耐えられない

私はきっと
 ....
街が夕焼けに染まるころ

通勤快速を降りれば足早になる
車内の熱気にゆであがってしまった
君はきっと
夕方の空気が好きに違いない

商店街を駆け抜ける自転車に
危うくひかれそうになって ....
父と別々の家に住むようになってから
ときどきは会いに行こうと決めていた

小さい頃から
一緒に暮らした記憶などなくて
なのに父は
僕との思い出話を聞かせようとする

うんうんと
僕が ....
   http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=25813


最初にこの作品を読んでから、いったい何度読み返したか知れません。
どうしてそれほどまでに読み込 ....
ぽつりぽつりと
街に明かりが灯りはじめる頃
点々とするビルの窓を見上げて
君が

まるでほたるが飛んでいるみたいね
なんて呟いたから

僕もいっしょになって見上げた
ほたるなんて ....
探さないでください

そんな手紙を残して
君がいなくなってしまったから

僕はちまなこになって探したんだ

押入れ、風呂場、トイレ
良く行くレストラン、レンタルビデオ屋

何処にも ....
あの日
僕はふらっと出かけたそうだ

何処にも行けない身体で
何処に行けるはずもないのに
何処かへ出かけてしまったそうだ

(言葉を忘れるということは
 そんな遠い旅に出ることに似てい ....
{引用=かすみそうの、はなのちいささになく}

しあわせという、うそをついてしまう

ゆうがた、ひとりということにきづく

できそこないという、ほこりをもっている

おわりをみるまえに ....
あなたの白いスカートが
ひととき夏色に見えたのは
うすぐもりの雲の切れ間から
気まぐれに顔を出した
あの眩しい日差しのせいではなく
あれはそう
道をさえぎるようにもたれかかる紫陽花に
語 ....
曖昧にしたまま置き去りにするうちに
多くは忘れられてしまうから
忘れられたものと結びつく他のことまで
曖昧になってしまうんだ

あいまいみーまいん
私は私の私を私のものとすることができない ....
目の前を何回か通り過ぎたと思ったら
いつのまにか腕の中にいた

陽だまりのなか
生まれた熱をくるむようにして

うっとりと瞳を閉じたのは僕の方だった

     
ぼくは普段は草食だけど

きみがあんまりいい匂いだから

ついつい食べたくなっちゃうよ
四人家族の
四角いテーブルには
それぞれの席がきめられていたけれど
うまることはほとんどなかった

今はもう
四角いテーブルもなくて
かわりに置かれた
まるいテーブルの端っこで
食べ ....
はっぱをめくればなめくじ

みんなにきらわれて
しおをまかれたりする

おまえなめくじ

うまれてからずっと
からだじゅうでないている

おれだっておなじ

みんなにきらわれて ....
毎日は同じことの繰り返しのようでも
少しずつ違っているものだから


通勤電車の吊革をつかむ
君はまるで風に揺れる果実のように
その身を進行方向に傾けている

列車のドアが開くたび
 ....
母さん僕は
あなたの子供であることを何度
嫌味っぽく言ったかしれない

似ていると感じるほどに
それを振り払うような喧嘩を何度
繰り返したかしれない



そんな母が
「田舎に帰 ....
まるで森の中にいるみたいにいい匂い

なんて君が言ってくれるから
僕は手を木のようにひろげて
君を抱きしめてみたのだけれど

そうやって抱きしめるほど包まれる
くらくらとする君の匂いのほ ....
悲しい夢を見たあとに
声を上げて泣いてしまったのは
その夢が悲しかったからではなく
その夢が現実にほど近い
記憶だったからかもしれません

昔のことですから
もう数えきれないくらい繰り返 ....
こぼれおちてゆく
砂の一粒一粒は
空白を埋めるように
足元に降り積もる

ひとひらまたひとひら
音もなく淡雪に似て
けれどそれは
削られたあなたの欠片だから
冷たさにひるむことなく
 ....
ド レ ミ ファ そ ら
そ ら

その間にもたくさんの音があることを
君が教えてくれた

少し高めの声で
好きな歌をうたいながら
ささやくように
その歌に似た会話をして


 ....
ベンジャミン(729)
タイトル カテゴリ Point 日付
花火の花びら自由詩11*05/7/26 23:40
雨が止むのを待ってます自由詩14*05/7/26 3:21
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。[group]自由詩23*05/7/16 11:14
そうやってうたえばいい自由詩17*05/7/14 13:35
「陽子」さんへ (N哉さんの詩を読んでの感想文)[group]散文(批評 ...7*05/7/13 6:45
揚羽蝶自由詩10*05/7/13 1:44
60億分の1未詩・独白6*05/7/10 0:57
自動ドアのこと自由詩9*05/7/6 2:29
千羽鶴自由詩67*05/7/3 7:22
夏のはじまりはいつも[group]自由詩9*05/7/2 23:53
溺れそうな夜に自由詩6*05/7/1 5:36
そのスピードで自由詩7*05/6/28 2:23
会話自由詩10*05/6/27 4:45
たもつさん「十階の家族」を読んで(感想文)[group]散文(批評 ...605/6/21 12:25
ほたる自由詩6*05/6/20 16:00
グラタンをあたためながら自由詩13*05/6/15 8:15
ただいま自由詩9*05/6/13 6:54
無題川柳605/6/12 9:27
紫陽花が咲く頃に[group]自由詩10*05/6/11 12:58
とことん混沌自由詩6*05/6/9 13:14
抱き猫自由詩11*05/6/7 5:14
いい匂い携帯写真+ ...10*05/6/6 3:39
皿だけのサラダ自由詩5*05/6/4 11:53
めくるめくなめくじ自由詩37*05/6/2 8:54
その角度で自由詩9*05/6/1 6:52
始発に乗って母は田舎に帰る[group]未詩・独白9*05/5/31 0:29
そんな匂いに包まれて自由詩4*05/5/30 3:43
悲しい夢を見たあとに自由詩7*05/5/29 2:56
「砂時計」[group]自由詩5*05/5/28 10:14
そんなときそらはきれいに見える[group]自由詩3*05/5/27 17:50

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