まだおさない はるが
ちいさくわらうたびに つぼみがひらく
そうやって くりかえされてきた おなじことが
まったくおなじでないことに きづく
それは まだおさない はるの
そんな おさなさの ....
サーペンタイン
緑色の軌跡

若草の匂いをかきわけてつくった道
迷ってもかならずたどりつけた出口

幼い頃の僕らは
そうやって無邪気にあそびながら
曲がりくねった道の進み方を覚えようと ....
きれいな空があることを
忘れたくなかった

どしゃぶりの雨にうたれても
そんな悲しみみたいなものに
負けてしまいそうなときでも

きれいな空があることを
忘れたくなかった

真昼に ....
あなたは
毎月というわけではないけれど
三十二日目の決められた日に
季節は流れるのだと言う

あなたは
今日は三十一日だから
明日になればまだ冬の余韻の中
次にやってくるのは春でしょう ....
好きな歌をうたうように
自分の願いを言葉にできたらいい

今日はずいぶん湿った空

暗い雲のむこう側は見えないけれど
きっと今夜もいくつかの流星が
音もなく燃え走る

今日はずいぶん ....
近所のスーパーの駐車場で
学校帰りの中学生が
わいわい騒ぎながらハイタッチしている

その頃
近くの交番の前で
原付に乗った少年が何やら警官ともめている

その頃
そこ ....
{引用=どんなに遠くを見つめても
そこは一面のブルースカイ

「青」は

けしてきれいな色じゃない
少なくとも
けしてきれいなだけじゃない

無邪気に微笑んで
悲しみを忘れるために ....
たとえばだれかのこうふくが
だれかのふこうのうえにあるとしたら
それはかなしいことかもしれません

そのかなしみがまた
だれかのよろこびのかてになっていたら
とてもふくざつすぎてもう
た ....
飛びたてるまでの道のりや
速さやあるいは時間というものは
みんな違うのは当然で

途中で滑ってころんでも
飛行機みたいなものじゃないから
僕らの翼は折れたりしない

力学や精密機械のよ ....
わたしをゆるしてください

そうやって
かつてわたしのかたちをしていた
うろこをはいでゆく

ときにはたてのようにして
じぶんをまもるためにまとっていた
うろこをはいでゆく

そん ....
風の始まりは
そんな熱の高まりからだと知っている

草笛を吹きながら
その始まりに立っている

(草原は静かに燃える)

気流に運ばれてゆく草の音は
枯れ色の野を赤く染めながら
や ....
メトロノームがあっちこっちと反復するのは
規則的なリズムの繰り返しを目的としています

それをうまくたとえることは大変困難ですが

今日あなたと交わした会話を反復して思い出し
いつもきまっ ....
のどの奥を通過する透明な言葉
そしてからっぽになってしまう

だからってむやみに捨てないで
それは見えないだけで在るから

いろんな色のドリンクみたいに
きっと知らないものを含んでる
 ....
{引用=捨て猫だった
やせっぽっちで
瞳ばかりが大きいだけの
頬ずりしたくても顔が小さすぎて
両手のひらにおさまってしまうくらいの
けれどあたたかな体温をもっていて
まるで熱のかたまりみた ....
泳ぎ疲れた感情の波
あお向けに浮かべば空

現実に押しつぶされないように
限界まで吸い込んだ
息をゆっくりと吐きながら

だんだんと融けてゆく

僕は今
一番おだやかな表情で
月 ....
三月ですから
春の匂いをただよわせる風も吹き
草木の色も何となく鮮やかに見えるのです

あなたは
うまくふくこともできない口笛で
僕が知らないメロディーを
そんなものたちに聴かせるように ....
言葉にならないものたちが
わたしのわたしをいっぱいにして
あふれるほどにふくらむと
のどの奥をつまらせる

やせ細ったからだみたいに
葉をおとした木の枝がゆれている
春は近いというけれど ....
透明な壁
両手のひらをつけたら
冷たい冬の風が伝わってきて
内側と外側の隔たりを感じた
両手のひらを胸にあてたら
どうしても届かないところにあって
淋しくなるほど困った
夜になって窓を見 ....
急いでいるつもりもないのに
今日があっという間に過ぎてしまう

つまづいて転んでも
どうせなら明日のほうを向いていたい

あたりまえに埋もれてしまったものを
振り返って探すことは難しいか ....
ひろった貝殻をスコップにして砂浜をほると
そこには少し離れた海とつながる

小さな海ができる

何度かの波の繰り返しで
まるで何もなかったみたいに消えてしまう

小さな海ができる

 ....
みつからないように
かくれても

みつけられると
ほっとした

つかまらないように
にげこんだのは

じぶんのなか

つかまえてもらえない
ひとりごっこ

みあげたところに ....
「どこかにいきたい」と
ふいにあなたはいった

ぼくは
「どこにいきたいの」と
あたりまえのようにきいた

「やさしさのあるところ」と
さびしそうにあなたはいった

ぼくは
「こ ....
ほら 深呼吸するみたいに

ゆっくりと吐いて
おもいきり吸いこんで

どんなに深いところにいても
どんなに重たいものを背負っていても
水底から見上げているだけじゃ
ただ苦しいだけだって ....
山を登る

足を一歩踏み出すたび
落ち葉の鳴く音や枯れ枝の折れる衝撃が
全身を流れるのを感じる
それが大地だ

風を感じる

見上げれば少しずつ形を変えてゆく雲が
途切れ途切れでも ....
かなしいと つぶやいたはずの くちびるが
さびしいと きこえてしまいそうな よる

しずけさは するどい はもののかたちをして
よわいわたしの かんじょうを なぞる

けれど ふるえるゆび ....
人差指の腹を噛む

ある痛みを他の痛みに置き換えるのは
人が持つ特技なのかもしれない

レモンをかじる

酸っぱくて涙がこぼれてくる
その涙は瞳から流れてきているのに

何となく軽 ....
そんなにふるえていたら

じょうずにかけないよ

ゆめとかいても

きぼうとかいても

すぐにくずれてしまうじゃないか
冬空の下で花の種をまく
乾燥して凍てついた大地に

ピリッとやぶいた袋の中には
同じように見えても違う一粒ずつの種が
寒さに震えるように寄り添っている

手のひらにひろげると
小さな風 ....
雨は世界が流す涙なのだと
誰かが言った

あらゆる痛みが雫となって
ひとしく僕らの真上から
降りてくるのだと言っていた

それが本当か嘘なのかなんて
どうだっていい

季節が冬のせ ....
波打ち際は
まるで境界線のように横たわる

砂浜に描かれる風紋も
うねりを繰り返す波も
その姿をとどめることはない

刹那、
わたしはわたしを見るように
視界いっぱいに広がる世界を見 ....
ベンジャミン(729)
タイトル カテゴリ Point 日付
「おさない はる」自由詩4*11/4/6 3:32
「サーペンタイン」自由詩111/4/3 20:03
「そうやって日々は過ぎ去ってゆくとしても」自由詩311/4/2 16:27
「三十二日目のこと」自由詩611/3/31 0:33
「流星」自由詩411/3/31 0:24
陽だまりの中で猫がにゃぁとなく自由詩211/3/29 22:38
「青空」自由詩311/3/28 0:33
「すべてがつりあいのなかで」自由詩311/3/25 2:26
滑走自由詩311/3/23 10:27
「うろこ」自由詩5*11/3/22 0:37
「風の始まり」自由詩311/3/19 0:07
「メトロノーム」自由詩1*11/3/17 2:32
ペットボトルみたいに自由詩4*11/3/12 21:14
なかないいのち自由詩511/3/9 3:03
「そして静かに融けてゆく」自由詩1*11/3/8 1:18
雨模様自由詩6*11/3/1 0:24
「ときには鳥のように」自由詩2*11/2/28 0:03
「窓」自由詩8*11/2/24 1:20
明日のほうへ自由詩2*11/2/23 0:35
「小さな海で」自由詩3*11/2/21 16:44
おにごっこ自由詩2*11/2/20 5:03
やさしさのあるところ自由詩10*11/2/18 2:34
「息継ぎ」自由詩5*11/2/12 1:37
「リハビリ」自由詩2*11/2/10 13:15
ながいよるにためいきのようなことばがこぼれる自由詩6*11/2/9 2:17
「レモン」自由詩4*11/2/7 23:51
指先自由詩5*11/2/5 4:51
「冬空の下で花の種をまく」自由詩3*11/2/3 2:11
「ペイン・レイン」自由詩5*11/1/30 22:52
「帰る場所を知らない」自由詩4*11/1/26 2:46

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