小さな夜
小さな部屋に
小さな明かりを灯して


泣き叫ぶくらいならどうか
美しく歌わせてください


姿なく鳴く鳥の声は染み渡り
深く胸のうちで跳ね返り
まるであなたを ....
朝起きたら
しっぽがはえていた

慌ててひっぱって
ひっこ抜こうとしたけれど
しっぽはするりとまるまるだけ



かつて人がサルだった頃
当たり前にあったのだろうしっぽは
い ....
最近
僕らの会話の間には
「確定申告」という言葉が良く出てくる

娘は
そんな僕らの会話を聞いていて
いきなり

「かくていしんこくってなーに?」
なんて聞いてきた

僕は ....
昨日ひろったきれいな小石

たとえば人は
磨かれる前の宝石の原石のようだということ
未完成なままの美しさを知っているから
そっとしておいてください

そんな 淋しさ



 ....
夜のネオンきらびやかな街の一画
あまりはやってなさそうなその店の
客引のにいちゃんに騙されたふりをした

「うちは見せるだけじゃないからさ」って

一番前に座って待った
クリスタルライト ....
ずっと前は黒電話

人指し指をひっかけて
ダイアルがもどる間に
会いたい人の
番号を呟いていた


プッシュフォン

短縮登録ができてから
電話番号を覚えなくなって
今は

 ....
夕暮れにはまだ早い

君は窓辺にもたれながら
溶けてゆく陽射しに
目を細めている

僕はこたつに入ったまま
足元でまるくなる
猫とつま先で会話をする

「オリンピックも終わった ....
白にはどんな色も似合ってしまうから
僕は白が羨ましい

ガードレール

どうってことのないカーブだった
緩やかな曲線が空に続いているなんて
今でも信じていない


あいつは
小学 ....
僕の右手には優しさがにぎられている

だから僕は人と握手をするときに右手を使っている
僕は右利きだから右手に優しさをにぎっている
それは誰かに優しい気持ちを伝えてくれる

だから僕は左手を隠している
 ....
泣けるくらいの悲しみならば
それは言葉にならなくていい

シャウト!

吹き溜まりの街角で、自転車に乗ったおじさんが
何を言ってるのかわからないでいる

イカレテル

そん ....
茹ですぎてはいけない
くっついたら離れられなくなる

それはきっと
お互いを傷つけないためだ

それぞれが自立していられるくらいの
芯がなければいけない

あと、塩加減も大切 ....
少し鼻をあげながら
彼女はハミングする

大きく手を振って
人の目なんか気にしない

悲しいことがあっても


彼女の歩く通りには花屋さんがあって
小さな花がところせましと咲いてい ....
ブランコから見た空は海に似ていた


悲しみに揺れるように
君はぎりぎりの角度で空を見る

浮かべた涙をこぼさぬように
近づく地面を遠ざけて

君はぎりぎりの角度で
懸命にこら ....
「透明」という色を知っている


真実は色を重ねるほどに
現実へと置き換えられてゆくから
いつまでも透明は透明のまま
誰の目にも映らない

だから雨が降る日には
跳びまわ ....
まるで葉っぱの落ちた木のようだ

風が吹くたびに
小さな声をあげている

ゆっくりと息を吐きながら
それでも溜め込んだ本音を飲み込んで

掲げた両手の先
どこまでも遠い空を眺めれば
 ....
(地下鉄の入り口)


真昼でも陽の光の届かない
そこは蛍光灯で照らされた

もう一つの夜だった

疲れた足取りで階段を降りてゆく
行き先を示す電光掲示板には
目的の場所が表示 ....
髪を切ろうと決めたのは
特に心境の変化があったからではないけれど


肩までのびた髪を両手でまとめながら
記憶をほどいてみればさかのぼるほど
やけにたくさんの思い出が
ちらついてしまいま ....
生まれたときから
親指が無かったのだと

その子はいつも
両手をポケットに入れて
両手を使わなければならないから
雨が降る日は嫌いだと

右利きなのに
五本そろった左手で書く文字 ....
書かれた言葉と
書かれなかった言葉を挟んで

あの日記は閉じました

喜びが込み上げてくる日には
書かれた言葉が読めるのですが

悲しみが込み上げてくる日には
書かれなかった言葉が読 ....
塾の講師なんて仕事をしていると
子供の心に触れてしまうことがある

前に受け持っていた女子生徒が
授業中に突然飛び出して
二階のベランダから飛び降りようとした

「死んでやるー!」と何度 ....
空と海の境目は
遥か遠くでつながっている

海鳥が
水際に光る魚を探している
真実は見え隠れして
それを捕えるためには
そこに飛び込まなくてはならない

解っている

生き残るた ....
エバ、君は
人の目を怖れるから
僕が見つめるほどに遠ざかったね

その気持ちは痛いほど
僕にも伝わってきたよ

エバ、君は
捨て猫だったから
信じることを怖れていたんだよね

瞳 ....
窓の外を眺めていたら
ちらちらと光の粒が見えて
それは屋根から落ちる
雪融け水だった

ぽたぽたと
小さな粒の集まりは
バンジージャンプをするように
春に向かっておちてゆく


おそるおそる見つめ ....
家の近くで見たのは野良犬の親子

道路をわたるときは子犬のほうが先で
親犬はあとからついてゆく
一見普通の光景だけど

親犬は眼が見えない

だから子犬が前を歩き
親犬はその匂いを頼 ....
よく道に迷う

はじめて訪れた街
交差点の真ん中で

どっちにしよう

迷ってばかりいる
そうでなくても
迷うことばかりだ

ほら
また何かに迷っている

どっちにしよう

そうだ
こっちにしよう
 ....
(ゆーきや、こんこん…)

めずらしく降った雪のおかげで
妹は
はじめての雪だるまをつくりました

あんまりまるくないところが
妹の性格と似ていて
思わず笑ってしまったことを
今でも ....
Please,please me...言葉をください

どうか僕に言葉をください

それは詩でなくてもいいのです
言葉を詩にするのは
僕ではなくて
言葉がそれを望んだときです


Please, ....
この世の中に
真っ白なものなどない

黒い過去を消すことも
できやしない

ただ

白い雲を見て
それが白だとはっきり言える

白い雪を見て
それが白だとはっきり言える

 ....
真夜中、ロボットは
痛めたうでをかばいながら
他のおもちゃの手当てをする

文句を言いたそうな
他のおもちゃをなだめるように

タイヤのとれたスーパーカー
支えの折れた宝箱
首だけになったお人形

 ....
貧しい人の手は、いつも淋しいかたちをしていて
貧しい人の目は、いつも悲しい言葉を探している


(本当は、とても綺麗な詩が書きたいのです)


雪降る夜の寒さは、震える指を動かして
して、そして
 ....
ベンジャミン(729)
タイトル カテゴリ Point 日付
小夜鳴鳥(ナイチンゲール)自由詩8*06/3/17 12:39
「僕の体にしっぽがはえた」自由詩5*06/3/16 12:38
確定申告[group]自由詩6*06/3/14 12:11
もしかしたら嘘かもしれない自由詩7*06/3/11 1:43
ストリッパー自由詩8*06/3/5 3:24
会いたい人に電話する自由詩6*06/3/3 2:36
まどろみ自由詩3*06/3/1 9:09
ガードレール自由詩4*06/2/28 8:21
僕の右手には優しさがにぎられている自由詩5+*06/2/28 3:50
シャウト! (完全版)自由詩7*06/2/28 0:13
アルデンテ スパゲッティ自由詩6*06/2/20 23:58
ハミングする自由詩5*06/2/18 21:24
ブランコから見た空は海に似ていた自由詩6*06/2/15 5:09
「透明」という色自由詩5*06/2/13 1:27
背伸びする自由詩7*06/2/11 23:53
「地下鉄には、もう一つの夜が」自由詩3*06/2/11 1:50
髪を切る日自由詩5*06/2/9 2:16
手のひらの大きさ自由詩6*06/2/8 9:14
栞(しおり)自由詩12*06/2/7 3:12
知らないことを知っている[group]自由詩42*06/2/6 11:51
空と海の狭間で自由詩6*06/2/5 2:04
エバが教えてくれたこと自由詩2*06/2/3 10:08
銀色跳ねた自由詩3*06/2/2 13:04
野良犬から見た世界自由詩8*06/2/1 6:22
どっちにしよう自由詩5*06/1/31 15:21
さよならの雪だるま自由詩3*06/1/31 13:02
Please,please me...自由詩2*06/1/31 0:57
色鉛筆に白はいらない自由詩3*06/1/30 0:56
真夜中のロボット自由詩6*06/1/27 1:41
貧しい人自由詩4*06/1/25 1:15

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