繊細な指先が愛惜しくて
ページをめくって欲しい

書き出される文字よりも
あの美しい指で握られた万年筆が気になる

約束なんていらないけれど
あの小指とならばつながれたい

雨が降り ....
おぼつかない
おちつかない
しっくりこないというか
納得いかないというか
地が足に着いていないというか
気持ちがふんわりと宙に浮かんだままのような
決して悪い気がしているわけではないのだけ ....
下を向いていよう
誰にも見られないように
下を向いていよう
見失わないように
下を向いていよう
陽射しに負けないように
下を向いていよう
風に吹かれないように
下を向いていよう
穴に ....
花は咲くのだろうか
この寒空の下
風に吹き付けられて
身を震わせているくせに
光を浴びて
水を浴びて
いつの日か
緑を輝かせて
その花弁を大きく開くことが
あるというのか
夢物語は ....
アキレス腱を挟むようにして
足の外側と内側が冷える
こんなときは足が浮腫んでいる
冷え性の症状とはこんなものか
手で挟むようにしてさすってみる
厚手の靴下を履いてみる
片方の足の裏側で
 ....
いつも突然訪れる
急に寒くなったり
暑い日が続いたり
予告も前触れもなく
激しい雨を降らせたり
それはまるで自然の脅威を知らしめるかのように
生温かい風を吹き付け
氷の塊のようなものを地 ....
眠いことに間違いはないのだけれど
気持ちがついていかないというか
眠りに堕ちたくない気がするというか
なんだかこのまま眠りに就きたくないのだな

欠伸だってしているし
疲れだって感じている ....
クロとシロが交じるとき
光は放たれるだろうか
奇跡とか希望を求めるのは
夢に過ぎないのだろうか
目の前の現実と向き合っているけれど
目を背けたくなることも事実であり
思い通りにならないこと ....
手の甲に痣ができた
どこにぶつけた訳でもないのに
赤紫のそれが鮮明に色を放っている
そして不安を覚える
夢見心地に徘徊しているのではないかと
月も星も輝くことのない暗い空の下を
どれほど歩 ....
狼がやって来る
身構えなければならない
狼がやって来る
銃に弾を込めて
狼がやって来る
棍棒を手元に置いて
狼がやって来る
暖炉に火をつけて
狼がやって来る
暖炉でお湯を沸かして
 ....
金曜日の夜は心が躍る
明日と明後日がお休みだからという理由ではなく
金曜日というその響きが魅力的に聞こえる
金星も金木犀も
近未来も禁固刑も
金閣寺も錦華鳥も
金魚も禁猟区も
同じような ....
背伸びがしたい

若くもないけれど
アピールでもないけれど
頑張ってみたい訳でもないのだけれど
背伸びがしたい

無理したいのでもない
あとちょっとで手が届くとは思っていない
自信だ ....
身を捩ってみるけれど
寒さを防ぐことはできない
身を捻ってみるけれど
寂しさは埋められない

シーツの端を噛んだけれど
答えは見つからない
強く縛ってみたけれど
手は届かないみたいだ
 ....
いまのうちに月の光を浴びておきたまえ
明日の夜は雷雨になるそうだから
身を潜める場所を見つけるのは後でもいいけれど
目星は付けておきたまえよ
行き当りばったりでは
のたれ死んでしまうかもしれ ....
青い空
わずかながらに流れ行く白い雲
軒下には
蜘蛛の巣に滴る雨粒が輝きを放つ

夏休みが懐かしく思い出され
向日葵畑の跡に立つ案山子は
夕陽に照らされ

土手に履き捨てられた
幼 ....
陽射しの強さがまばゆいばかりで
もうここで終わってしまうのかと思った
いや、終わりにしたかった
いや、終わりにしたいんだろうと思う
まだなにも始まってはいないのに
見果てぬ夢が
先の見えな ....
だいぶ痩せてしまったみたいだ
指輪がゆるくなるなんて

我慢をしているつもりはないのだけれど
気持ちには嘘をついているかもしれない

不安に思うことは多々ある
笑顔はできているだろうか
 ....
時計の針が進むのを見て安心する
これが止まってしまったらどんな不安に陥るのだろうかと
心配してみたりもする
パニックを予想してみたいのだろう
あらかじめ心の準備をしたいのか
平穏な日々を過ご ....
左足ひきずる詩人は
ペガサスに連れ去られた今日という日
二度と地上を振り返るまいと
目玉をえぐり出しただろうか
オイディプスとは違って
足の指を使っただろう
もしくはアルテミスに射られただ ....
肌色の肌が
疼くこんな夜は
月の光が輝く
いつもにはない
強さに喉の奥の方が
疼くこんな夜は
雄叫びの一つも
あげたくなるのを
抑えようと必死になって
四つん這いになって
のたうち ....
八朔が食べたい
いまは季節じゃない
けれどそう思ってしまった
こうなるともう
居ても立ってもいられず
ただただ八朔が食べたい
近所のスーパーにも
コンビニにもデパートにも売ってない
遠 ....
パブロはそこで待っている
ディエゴと向かい合って
ホセがやって来るのを
フランシスコは鏡を見つめ
デ・パウラはコーヒーをすすり
ホアンは角砂糖をかじり
ネポムセーノはタバコをくわえ
チプ ....
汗が滴る
額を伝う
首筋を伝う
背中を伝う
汗が滴る
暑さを覚える
日差しが照りつける
気が遠くなる
汗が滴る
影を見つめる
夕焼けを眺める
一番星を見つける
汗がおさまった
靴が脱げた
いや
脱げかかっている
右足だけ
白いスニーカー
薄汚れている

このまま脱いでしまおうか
立ち止まって
立ち直って
履き直そうか
左はなんともないのに
右だけ脱げ ....
ふと込み上げた切なさが
とどまるところを知らず
ほとばしるほどの
この感情の名前を知らず
どうすることもできず
戸惑うばかりの時間が過ぎゆく

真夜中が訪れるほんの少し前
ほんのりと輝 ....
息が詰まりそうになる
やらなければならないことが
次から次へと降って湧いて
淡々と粛々と処理をこなす
気持ちがどこかへ行っている
熱意はとうに消失している
それでも処理をこなし続ける
決 ....
夜の闇の向こう側から
鳥の鳴き声が響く
鳥目ではなにも見えないだろうに
まだ眠りについていないのかと
胸騒ぎを覚える
羽を休めていればいいものを
月も星も輝かないこの夜は
刺激を与えてし ....
雨の滴が欲しい
しばらく見ていない
しばらく打たれていない
乾いた心を潤して
満たして欲しい
意味はなくていい
ただなにかを詰め込んでいたい
いまはそれだけでいい
ただそれだけでいい
 ....
ふうと息をつく
青空の下
草むらの上
砂の城を向こうに
ため息ではなく
影を探す
動き出しそうな遊具が
無表情に輝く
土曜日の朝が終わる
肘が曲がらない
腕を伸ばしたいのに
天へと向かって
小指はしっかりと
爪の先まで伸び切って
攣りそうなくらい
震えだしそうなそれは
曲げられない肘を責めたい
坂本瞳子(653)
タイトル カテゴリ Point 日付
指フェチの夢想、連弾自由詩1*21/12/11 22:49
とどのつまり自由詩2*21/12/10 21:12
下を向いていよう自由詩2*21/12/9 22:52
矛盾にまみれのそれは自由詩1*21/12/8 22:36
つまらないとは自由詩2*21/12/2 21:58
季節とは自由詩1*21/11/11 22:27
いやいやの眠り自由詩1*21/11/5 23:28
ドリーミング自由詩1*21/11/3 22:29
痣ができた自由詩3*21/11/2 22:20
狼がやって来る自由詩2*21/10/30 22:53
金曜日の夜は自由詩2*21/10/29 21:01
背伸びがしたい自由詩2*21/10/27 22:42
救いのない夜は自由詩2*21/10/25 22:45
嵐の前に自由詩2*21/10/18 22:59
陽が沈むにつれて自由詩3*21/10/14 22:44
まだ、まだまだだ自由詩2*21/10/14 10:55
ゆらぐ自由詩1*21/10/13 22:46
奈落の底へと自由詩121/10/12 22:47
オルフェウスに重なるように自由詩121/10/11 22:48
ヌードな夜自由詩121/10/9 22:32
八朔食べたい自由詩321/10/8 22:36
ピカソに寄せて自由詩121/10/7 22:45
自由詩121/10/7 22:35
剥き出しにしたい踵自由詩321/10/5 22:23
迷言は今宵も自由詩121/10/2 22:47
夢に見るのは自由詩121/9/27 21:36
開始の合図自由詩121/9/26 23:03
雨だれ自由詩221/9/25 22:48
公園の風景自由詩621/9/25 10:49
曲げられた肘は自由詩221/9/22 22:27

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