水色をした空気の塊が
目の前を飛んでいく

それはまるでクラゲのようで
触れてはいけないのだと
言わずもがな

冷気を振りまいて
雨を降らせるでもなく
笑顔を残しもしない

目的 ....
瞬きすることなく
声を上げることもなく
冷たい表情のまま
ボクをいつも見下ろしていた

永遠はいついつまでも
続くものだと思っていた

歌の終わりが
サヨナラをもたらすだなんて
疑 ....
凍える肩を震わせて
傘の柄をつかむ手はかじかみ
降りしきる雪の中を歩き続ける

もう少しでたどり着く丘の上には
梅の花が咲いているだろう

犬に吠えられようと
何度も転びそうになろうと ....
あまりにも
繊細な旋律が
誘う涙

時を止め
有無を言わさず
心を撫でる

愛を育み
寂寥を癒やし
歓喜を呼び起こす

温もりを撒き散らし
甘い響きが
空間を満たす

 ....
左の肩に少し寒さを感じる
凍えるほどではないけれど
風邪の前兆でなければいい

嗚呼、あの人が近いのか
笑顔がどうしても引きつる
左の後方が気になるのは

後ろ髪が引かれる想いを
い ....
どう返事をしたらいいのか
分からなかった
だから聞こえなかったふりをした
残酷さを認識しながら
どうしようもなく
謝ることさえできなかった
すべてを過去形で
文章に書き出しても
拭うこ ....
良く晴れた朝は
心が軋む

今日という一日を
どう過ごすのか
期待と不安が入り乱れ
一歩を踏み出す勇気が
そう簡単には出てこない

いっそのこと
部屋の中に
引き篭もっていようか ....
覚えた孤独は
ひとつではなく
あのときも
雨に撃たれて
差し伸べられた
手を振り払い
噛み切った口の端から
錆びた鉄の味が広がり
震えだした肩が
暴れ出しそうになるのを
必死に堪え ....
放り出された左手は
ゴロンと転がったまま
流血することもなく
その細長く美しい五本の指が
微動だにすることもなく
ただそこにそうしているだけで
いついつまでも眺めていたい
芸術作品のよう ....
ふうと
息をつく
それだけで
安心する
気持ちが落ち着く
それだけで
力が湧いてくる
そんな気がする
また明日を迎え
時間を過ごし
前へと進む
見上げた空は
千切れた雲がまばらに広がっていて
見なければよかったと思うほど
薄汚かった

思わず自らの姿を確認する必要を感じ
頭を腹の方へと下げてみるが
人様の目にどう映っているかまで ....
満員というほどではない
そこそこ混んでいる電車の中
ノートパソコンを膝の上に置いて
詩を書いてみたりする

帳面を膝の上に置いて書くのが常だったという
我が詩の神様を思い浮かべて

差 ....
美貌の横顔を真青に埋めて
寂しげな眼差しを遠くに投げる
翼が欲しいと叫びたい心は
襟の白線で縛り付ける
黄金の前髪が耳へかけて描く波は
柔らかに繊細を奏で
そして僕は思い知る
手が届くこ ....
{ルビ彼の人=かのひと}は名をミライという
いつも明日の方を見ている
後退りすることなく
自信に溢れ
畏怖の念を抱き
それでも邁進する
笑顔を輝かせ
力強く
吐き気がするほどのやる気は
どこからやってくるのか
回し車の内側で走り続ける
小動物のように
なんの目的意識もなく
達成感を求めるでもなく
熱意さえ持ち合わせていないのに
惰性のために続 ....
忘れてしまった哀しみは
傷跡を確実に残し
流血することさえある

内側に秘めた怒りが
溢れ出てしまわないように
少しずつ少しずつ

涙と溜息を交えて
精一杯に誤魔化して
朝陽に晒す ....
失くした雨傘は
どこへいったのだろうか

降り出した雨に打たれて
ふと、そんなことを思った

雨はどんどん強くなって
雨宿りをせずにはいられなくなった

軒先から滴る雨のしずくが
 ....
肩から肘へかけて
冷たさが凍みる朝は
寝覚めはいいけれど
やる気は出なくて
それでもバスに乗り込んで
又三郎など読み直してみる
群衆の中で孤独を覚え
ふと虚しさに襲われる

抵抗する術もなく
笑い飛ばす寛大さも持ち合わせず
気づかないふりをすることもできず
時間だけが過ぎてゆく

なんとなく取り繕うために
空 ....
お前の右足の踵が地面に着いたら
この世の中が破壊されてしまう

だからボクはいつも
右足をびっこ引いてる
決して踵を地面に着けないように
世界を終わらせてしまわないために

どうしてボ ....
嗚呼と嘆く
愛の苦しみは
あうんの呼吸で
喘ぎを覚え
蒼い春を想い出させる

赤々と燃ゆる炎は
秋の寂しさをかき消し
飽くなき欲望は
明けゆく空の彼方に
赤子の微笑みを映し出す
 ....
転んでしまえばよかったのに

足を踏ん張って
なんとか姿勢を立て直して
転ばずにすんだ

最後に転んだのはいつのことだったろうか
何年前、否、何十年前のことか

道路に平伏すように
 ....
眩しい太陽に
不釣り合いな
冷たい空気が
意外なほどに
心地が良くて
今暫くはただ
こうしていたい
薄墨色の空は
不安を掻き立てる
なにか良くないことが
起きるのではないだろうか
そんな予感で胸がざわめく
それはある種の期待ともいえる
高揚感を抑えつけても隠しきれない
そのような淡い期 ....
泥になりたい
ただそこに拡がって
冷たい温度のままで
足跡を記録し
滴を飲み込み
波に塗り替えられ
風に吹き付けられ
それでも滑らかに
なだらかに
ただそこに拡がって
平然と
穏 ....
風の音が残る
この耳の奥で
ゴゴウゴウと
耳障りでなく
ただ繰り返し
鳴り響いてる
廃墟であろう
アパルトマン
五〇五号室
どうしてココに
辿り着いたか
そんなことすら
覚えて ....
顔をうつ伏せたままでいよう
もう少しのあいだ
ズルいけれど
ほんのもう少し
このままで
項垂れるとはどういうことか

なにごとにも失望なんてしていない
恥ずかしいなんて思っていない
羞恥心など持ち合わせていないのだろうか

力なく首を前に垂れてしまうのは
いつからだろう
 ....
眠たいのか
眠くはないのか
そんなことすら
もう分からなくなっている

どんなに腕を伸ばしても
指先に触れるものはなく
この身体は緩やかに堕ち続けている

右肩が地面に向けて引っ張ら ....
ただ大人しく眠っていたいだけなのに
あれやこれやとツマラナイことが降り積もる
見ないふりができないから
こなしていかなければならなくて
結局一日中奔走する
身体も心も休まることなく
ただヒ ....
坂本瞳子(653)
タイトル カテゴリ Point 日付
未知との遭遇自由詩1*18/1/9 15:55
プーペの歌自由詩018/1/8 11:14
寒梅狂自由詩2*18/1/7 0:28
円舞曲は終わらない自由詩017/12/29 23:23
意地っ張り自由詩017/12/28 21:58
鏡の向こう側自由詩017/12/27 13:00
そんなこと自由詩2*17/12/23 9:21
奈落の底へと自由詩1*17/12/22 18:16
滑稽な話だ自由詩3*17/12/20 23:18
それだけのこと自由詩1*17/12/14 19:02
汚れた空が自由詩1*17/12/14 1:30
都会の朝、電車の中で自由詩017/12/12 9:46
『かもめ』に寄せて自由詩2*17/12/10 21:15
あこがれ自由詩1*17/12/10 20:55
コマノヨウニ自由詩017/12/8 1:33
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寒い朝のひととき自由詩017/12/5 19:08
今宵その夜自由詩1*17/12/2 11:54
踵の秘密自由詩1*17/11/30 22:52
あのうた自由詩017/11/29 0:04
夕暮れを背にして自由詩017/11/27 22:27
土曜日の朝、外自由詩017/11/25 9:43
薄墨色の空自由詩1*17/11/24 14:48
自由詩1*17/11/21 23:29
始まり始まり自由詩2*17/11/19 0:13
下向きな気持ち自由詩1*17/11/15 9:19
項垂れるということ自由詩017/11/13 21:24
夢中に浮遊自由詩017/11/13 12:56
自らの目からこぼれ落ちる涙に気がついたときは立ち止まろう、遅 ...自由詩2*17/11/11 19:45

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