かぶりつく
リンゴに
歯をたてて
型が残るように
果汁を歯に
吸わせるようにして
思いの丈を
すべてぶつけて
憎しみも
悲しみも
すべてを噛み砕くごとく
かぶりつく
晴れの日なんてキライなくせに
雨が続くと気分が滅入る
陽の光を浴びるなんて
似合わないと分かっていても
たまには光合成が必要だなんて
ヒトのくせにおかしなことをいう
清々しい青空には
苦 ....
ギラギラした太陽みたいなアイツは
なぜか憎めなかった
タバコは吸うし
ツバは吐くし
悪態つく上に
言葉も汚い
薄汚れたシャツに
皺だらけの半ズボン
サンダルにサングラス
かっこよさの ....
いつからだろう
わたしは
目的をもつことを止めた
ただ気ままに
気の向くままに
いきてゆきたい
そんなことができるものだろうか
そんな風にさえ思ったこともあるけれど
まあまあなんとか
 ....
空は明るむ
昨夜の激しい雨など
もろともせず
虹がかかったとも聞いた
いまは気配すらしないけれど
雨の日も
晴れの日も
過ぎてゆく

さて
今日はなにをしようか
乾いた空気は異国の情緒を含む
日本のそれには湿気が含まれ
夢見ることさえ忘れそうになるけれど
現実的なことを言いたくもなる
ほんの束の間の逃避行を
澄んだ空の下で味わうことが
できるだろう ....
古窓の向こうに貼り付く蔦の葉に
監視されているようで
居心地の悪い部屋の中
しばらくは身動きもせず
ただ辺りを見回している

微かに聞こえるのは犬の遠吠え
否、渡り鳥の羽ばたきだろうか
 ....
良い緊張感を感じてる
悪いとか良いとか
あるんだろうか
自分のなかでどこか
線が引かれているのかもしれない
それだけのことなのかもしれない
要するにワクワクしてるみたいだ
良い結果につな ....
強い陽射しが照りつけるから
それを避けたくなる
汗をかいたり
日焼けをしたり
幼い頃にはむしろ嬉しかったくせに
打ち水をすると
涼しさよりも
湿気が多く感じられて
心地良さと気持ち悪さ ....
衣擦れの音が
耳に心地よくて
寝たふりを続けるから
もう少し
歩いていて欲しい
海を夢に見る
何度目だろうか
今年だけでも
心が海を求める
大海原を
静かに寄せてくる波を
ただただ眺めていたい
それだけで満たされるから
ほかになにも変えられない
心の充足を求めて ....
あの日の後悔なんて
とおに忘れた
そんな風に振る舞わなければ
生きていけない

言わなきゃよかった
一言だけれど
言わなかったらきっと
いまの自分じゃなかった

悪いところも
い ....
繊細な指先から
こぼれ落ちる汗が
この夏の暑さを刺激する
そんな木曜の夕方に
熱を含んだ風が吹き付ける
今宵も眠れぬ夜を
月明かりで照らそうと
企んでいるのだとほのめかす
隣の家の猫の ....
そんなに嬉しいのか
こんなに朝早く目を覚まして
浅い眠りだったというのに
二三時間ごとに目を覚まして
そんなにも嬉しいのか
待ちに待っていたのだろう
その気持ちを理解してやるには
遠すぎ ....
なんだか眠れない
眠りたいのに
寝付けない
寝付けないと言うか
眠りにつきたくない
気持ちが高ぶっているというのか
眠りたいという気持ちがないのに
目が眠りたがっている
今日は朝から嫌 ....
逃げ出したかった

額に顕になった汗の粒を
見られたくなかったから

だるかったけれど
暑かったけれど
走り出してしまった

もう止まることなんて
できなかった

白いスニーカ ....
八番目だ
八つ目の角を曲がると
きっと見えてくる
左へ行って
左へ行って
右へ曲がって
天を仰いで
橋を渡って
信号も渡って
また右へ曲がって
そこから八番目の角を曲がるんだ
間 ....
左目が流す涙は
そのままにしておく
乾くよりはマシだから
心が悲しいんじゃない
目が泣きたいんだ
気持ちがついていかないけれど
そのままにしておく
痒いとか痛いとかじゃなくて
そうさせ ....
雨が降る夜は
孤独に苛まれる
遠い記憶が寂しさを
呼び起こすのだろうか
訳もなく涙がこぼれる
胸がしめつけられる
月も星も光りを灯さず
暗い空から地面へ向けて
放たれる雨の雫が
悲し ....
始めたい
冷やし中華を
この暑さの中
よく冷えた黄色い麺を
ツルッといただきたい
よく冷えたハムとキュウリと
生暖かい錦糸玉子を
口の中に含んで
甘酸っぱい汁で喉を潤して
まずはそれ ....
ゆで卵が欲しい
ツルンとした
楕円のあれ
固く茹でられて
固い皮が剥かれて
白がむき出しにされた
楕円のあれ
爪の跡も歯型も
まだ付けられていない
楕円のあれ
真夜中のこんな時間だ ....
イチゴの匂いがする
甘い優しい匂いがする
どこからするのか
誰からするのか
分からないけれど
イチゴの匂いがする
振り向いてみても
ポケットの中を探ってみても
イチゴは見つからないけれ ....
身を捩らせる
寒さのあまり
五月だというのに
ブランケットを
引っ張り出して
身を包ませて
やっとのことで
眠りにつく
そんなにも
寒さを感じて
いたのかと
自分でも驚く
開い ....
あれはどうしたことだろう
ベランダの物干しに
靴下がひとつのみ
寂しそうにぶら下げられている
一足ではなく片方だけ
その柄からして左足用の靴下だろう
右側はどうしたのか
というよりも
 ....
電柱の影に横たわった靴下は
どこから飛んできたのか
まさか誰かが脱ぎ捨てた訳ではないだろう
左足のための片方だけの靴下よ
いまやとても薄汚れて泥や埃に塗れて
雨にも風にも打たれたのだろう
 ....
脱げそうな靴下が
いつまでたっても脱げなくて
その中途半端な布が
土踏まずの辺りで
心地良いことこの上なく
もう少しこのままにしておこうと
いやいっそ脱いでしまいたいと
そんなことを感じ ....
意図せずに朝早く目が覚めるのは辛い
歳を取ったということか
目が覚めるものだから起き上がる
起き上がるから顔を洗う
そして朝食を取る
食後のコーヒーを飲み
朝刊を読んでから歯を磨く
それ ....
手の甲の痣はなにを示すのか
どこかにぶつけたのか
覚えていやしないけれど
この赤紫色の小さな円形は
どうしたことか
痛みなどないけれど
なにをどうぶつけたら
こんなところにこんな色の痣が ....
春だというのに雪が降る
それはあの年もそうだった
杏子はミニスカートが似合わなかった
三編みも似合わなかった
セーラー服なんて好きじゃなかった
それでも制服を来ないという選択肢は
彼女自身 ....
このだるい気持ちはどこからくるのか
時間が経てば消えてくれるのだろうか
そんなことを考えて夜も眠れなくなる
浅い眠りが過ぎてぼんやりと朝が
きてくれるのだろうか
私は一体どこへ向かっているの ....
坂本瞳子(653)
タイトル カテゴリ Point 日付
かぶりつく自由詩022/9/27 13:55
日曜日、ハレ自由詩022/9/25 14:13
真夏のアイツ自由詩022/9/21 20:02
のらりくらりか自由詩3*22/9/17 7:58
今日という日自由詩0*22/9/9 13:31
ほんの小躍り自由詩022/9/7 15:33
向こう側は自由詩022/9/7 7:06
緊張してる自由詩022/9/3 22:45
遠い夏の日自由詩2*22/7/25 19:50
束の間自由詩1*22/7/6 22:22
海求む自由詩022/7/2 10:31
あぁ、あぁ、もう自由詩2*22/7/1 22:43
あつい自由詩1*22/6/30 22:50
朝早くから自由詩1*22/6/26 5:55
寝る前に自由詩022/6/25 0:10
走り続ける、ボクたちは自由詩022/6/20 22:36
はち自由詩1*22/6/12 22:52
ひだりの自由詩1*22/6/8 22:46
雨降る夜更けに自由詩1*22/6/6 22:55
始めたか自由詩4*22/5/30 21:11
ゆで卵自由詩2*22/5/20 22:40
イチゴの匂い自由詩1*22/5/17 22:10
悴んだ手で自由詩1*22/5/16 22:56
風に吹かれて自由詩1*22/5/14 22:50
片方だけの靴下自由詩022/5/14 10:22
はじまりに自由詩1*22/5/13 22:22
幸福な毎日(眠いけれど)自由詩1*22/5/8 22:54
右手の痣自由詩022/5/6 11:48
春、出会い自由詩2*22/5/1 22:56
だるい気持ちで過ごす夜は自由詩2*22/4/25 22:36

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