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【ロゼット風】
両手両足は よく動く パペットマペットをつけたみたいに
たんぽぽの根は 大地に動く
たんぽぽの種は 空に動く
いまは 雨で どこにもたどりつけないよう ....
海の縞模様が 砂の城に 住んでいます。
幸いなことに 泣き方をしらないのです。
今も絶え間無く砂が この街に注がれ続け
この部屋の容積も 埋められて います。
元居た場所を け ....
雨が硝子を 舐めるので
時間すら 舐めまわすので
歩くことの意味や 進むことの意味も舐めるので
この世界には もう 紫陽花しかありません
飴細工のように 雨に舐められて
窓の向こう ....
*壱*マダナイへの手紙
「あの猫の名前はマダナイっていうんだ」と、教えてくれた人がいた。
ああ うわさは聞いたことがある。
明治の文豪の家に 飼われていたという 噂だった。 ....
ひどく風の ある日
ひとの顔ほどもある木の葉が
ぬいんぬいんと おおきく
円を えがいたり
突然 すさまじい勢いで 遠くに
流れてゆきます
空は ごろごろと 唸っています
ひと ....
しずかな つばさの抑揚に
呼吸を あわしながら歩きます
しろさの きわだつ蝶を
追うとき わたしの 肩甲骨も
空を感じてました
「おたんぽぽしてるの
ふうてん とばそ」
....
なにも 間違えじゃあなかった
自転車とは 自分で ころぶから自転車
自転車の練習をして みごとに こけたのは わざと だよ
わざと 痛い目にあってみただけさ
新しく自転車を買って その ....
【 桜の散った街を往く 】
立ち止まるしかない 踏切では
たちどころに 遮断機がおりて
多くの人の思いが 通り過ぎる
伝えようとした言葉が
伝えられないときは
立ち止ま ....
匣が匣として閉じられ
いづれ花が華として咲く
あわい希望を閉じ込める
包丁は包丁として布に包む
棘が棘として働くように
強い怒りはやわらかくしまう
箪笥の隅でみつけた ....
【カタツムリの抜け殻】
実家には もう人の気配は無い
生気のない 家に行くには 迂回路しかなく
すぐそこに家はあるのに ふるい路は
家を まの当たりにしていながら ゆるやかに曲がり ....
少女は ある年の四月からというもの バラードの中のヤマネだった
両親と同じ名ではなく ヤマネだった
冬眠のように まどろんで
春眠のような いつくしみで育てられ
ひかりが はねようが ....
さかのぼる 水晶のような 水滴が
高速バスは雨の中を走ると フロントガラスの水滴が
同じスピードで のぼってゆく
静かな行列が たゆまなく のぼってゆく
そんな様子を何時間 見続けてい ....
ひとりのひとを ほんとうに愛することができたら
多くの人に愛される 気がします
前略 神社の境内のながい石畳の階段を歩いて きずきました
わたくし カドウ域フェチなのでございます
鳥はイキモノの可動域を知らせてくれる
「愛(う)い奴 もちと 近こうよれ」と おもうほ ....
さしだされた 日差しに
両手を広げ
思い出を 手放す
記憶にない私の産着
世紀を飛び越えて 目の前にある紋付袴
晒された金襴の帯 鯨尺の和裁版
沈没しても浮上する船箪笥 ....
カノジョは抱きしめると林檎の匂いがして
ニュートンの空を見つめている
ちきゅう
と、くちびるが動いて
俺は抱きしめて
「おまえさんを中心に地球は まわってるな」と言うと
....