雨音に目を閉じる
雨粒を受けて揺れる枝先
こぼれ落ちる花弁
夜の闇
面識のない知人の母の死を思う
嵐の来る日の前の晩
帰路
桜並木との交差点で
信号に照らされる君を見つけた
....
老夫婦が
買い物袋を提げて
楽しそうに歩いて行く
幸せは案外地味な装いで
まだ冷たい風の中
首を竦めて待っているのかもしれない
知らん顔して
何度も通り過ぎて行った
それは自分 ....
るる、と呼べば
りら、と響く
それは歌
スノードロップが
白い鈴を鳴らしている
水仙が
黄色い笛を吹いている
{引用=合唱団の申し込みは
春色のポストへ出してください
....
寝ない子がくまちゃんを寝かしつけている
――再び発つ、と書いて「再発」という――
*
「人間はふたたび起きあがるようにできているのさ」
いつも眼帯をしてる{ルビ達磨=だるま}診療所のヤブ医者は
片っぽうの目で ....
風は確かに冷たいのに
午後の陽のぬくもりが
耳に触れた
除雪作業が終わった後の雪道は
目を開けていられないほど
強い白さだ
瞼の隙間で青空も霞む
静けさをカラスが横切っていく
....
僕たちは公平に接しているか
子供だというだけであるいはステイタスであなどったりはしていないか
フェアには美しいという意味もある
美しいものはおそらく作為もなく公平なのだ
ともす ....
水たまり跳ね 三日月揺らす
汗ばむシャツと 雨上がり道
待ち人探し 浮き立つこころ
僕はふわふわ わたあめのよう
君は真っ赤な りんご飴舐め
それによく似た ほっぺで笑う
並ん ....
今日の頭の中のカオス(混乱) 群青課題詩「準」
1
わたしたちは
準備万端整えて
すべてはその刻へ
父や弟や息子が
先に行った道
その入り口を
何とかうまく通り過ぎ ....
みずのうえを あるかないか
あるかないか さくらのはなびら
あるかないか おがわに あめんぼ
あるかないか かわぞこに 波紋をゆらす
ゆらさないか あかん ....
睫毛の触れる距離
吐息の生温さを頬で感じても
あなたの真意は解らない
愛という影を作らぬものの
答えを求めようと
弄るように寄り添おうとも
熱の篭った毛 ....
ショッピングセンターの駐車場でカレーパンと牛乳でお昼を済ました
なかなか家に帰れない
僕の家って本当は彼処じゃ無いんじゃあないのかなんてねときおり思うんだ
誰も待ってないし読まない新 ....
小さな音にも
怯える夜
泣き虫のわたし
行き場のない衝動を抱えて
闇に眼を凝らす
枕の下で圧し潰された
我楽多の夢を探しながら
夜 ....
どんなに美しい言葉も
ひと房の桜の花には
かなわない
何も語らなくていい
ただ眺めていよう
桜の季節を
ピンクのイルミネーション
....
真っ赤な林檎の皮をするり剥きますと
白く瑞々しい果肉が微かに息づいて
頬張れば甘く酸っぱく
口いっぱいに広がっては
心地良く渇きをいやしてくれるのです
そのおんなもまた
高い梢に輝いた ....
体がうごくとき、心もうごくだろうか?
心がうごくとき、体もうごくだろうか?
あなたに、うごくだろうか?
泥を食べ泥に抱かれて遠くまで来たはいいけど曇天の海
ぬかるみに口づけをする三月晦日 とう‐かい とか言う言葉を浮かべ
ぼくは30代の頃
浴びるように酒を呑んでいたが
二日酔いになったことがない
ぼくは良くお袋の肩を揉んだが
肩こりを経験したことがない
ぼくは殴り合いの喧嘩もしたが
一度として骨折を ....
まだ涙はあるか血は流れるか
何かを忘れてはいないか
誰かを犠牲にしてないか
驕ったつらしてないか
問う事を忘れていないか
ともすれば自分の痛みに埋没して
痛み分けを忘れてほうけてる ....
もう なんにちも
雨は降らないし 降りようがない
雨乞いの呪文も
もはや効き目は薄れ
わずかばかりの
水を流して
やり過ごしている
{引用=さかな 苦しいだろう
さかな 底に怯え ....
辛いこと貯めこんで利子がつく
陽がさして思い出に帰る
西洋ではエイプリルフールだって言うんだろう
その日は嘘を吐いても良い日だ
だから、私が死んでも誰も本気にしないだろう
きっと、
「いくらエイプリルフールだからって
そんな嘘はいけな ....
白木蓮匂い立つ日になに想う空よ
正論を掲げた君の私論哀しい
儚くも忘れじの記憶桜に辿る
室外機の上忘れられた鉢よっつ
春日の主無き部屋花一輪
菜の花の黄色に埋もれて眠る夕 ....
造られたのだ
望んだ訳でもなく
花の像に似せられて
花の代わりに飾られて
その美しさに比べられ
蔑まれては
やがて飽きられ捨てられる
色褪せても尚
枯れることも許されず
土に還る ....
ふらふらする三月を歩きぬいて始まりへ。海の色は裏返って安寧。わたしの思いえがく神さまは、いつもわたしとよく似た顔で笑っている。
1、1、1、1、1…
まだ数えている。たどり着くためにはじめたものた ....
ピピピピピ―――
心のアラームが鳴りだした
頭の中で
コトバたちが
跳ねまわっている
このムズムズ感は
脱皮の前の予兆なのかな
Are you ready?
変化 ....
もうずいぶんひとにに押されていきてきたようなきがする
妻や子供にもめいわくをかけた
でもいっぽん筋を通そうと思った
この年で
せめて残りの時間を拡散しない正しいもの ....
連なっている
ひとつひとつは
いびつななりであったとしても
連なることによって
ハルモニアを産んだ
重なり合っている
響き合っている
ひしめき合っている
峰 ....
消えちゃいたい
消えちゃいたい
融ける雪みたいに
はらはら降る桜のように
誰にも迷惑をかけず
誰も悲しませず
消えてしまいたい
そんな夜もある
だけどわたしは人間で
....
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