猫の子を貰って売ってまた貰う
地上の灯りが胸を刺し魂は飛翔を続けて
まるで未知の惑星系を探索するように浮かんでいる
永劫の時の打痕と蓄熱された空間
斜めに切り取られた過去の累積をトリミングしてみる
太陽が眼に焼きつ ....
あなたの涙で溺れる
わたしは蟻
ちっぽけな男だ
慰める術もなく
船乗りみたいに沈んでゆく
あなたは太陽を恋い慕う
蒼く 潤んだ惑星
わたしはせいぜいその取り巻きだ
自分の像も保てや ....
ふれる
ふわり
まとう
ふわり
なぞる
ふわり
なでる
ふわり
かじる
ふわり
つまむ
ふわり
ふたりがひとつに ....
ふたりでひとつの贈り物をもらって帰る帰りみち
手のひらに乗る
きちんとつめたく切り立ったセラミックの三角柱をみて
(くさびですね)
(くさびですね)、
口にした言葉は同じだっ ....
ねえ言ったよねとじないでって
偽らないでって
ほんとうにだれもいれないの
体だけなの
さびしいのは僕も同じさ
君がいたんでるぐらいに
まあいいか
もう好きでもない
そんなの ....
雨編む朝は天邪鬼
いま忌む意味を遺書にして
嘘に倦んでは海に埋め
えにし選べず益を得ず
恩は怨へと惜しみなく
春は華やか白知の波乱
昼の日中に日照りの蛭か
古き深井戸腐の吹き溜ま ....
明日が来る前に
思い出す人がいる
眠る前のひとときに
浮かぶ笑顔がある
届かなかった場所に
それだけで幸せになれる人がいる
僕の勇気や誇りが小さく萎むとき
いつも思いだす人がいる ....
{ルビ深閑=しんかん}とした井戸の底で
今夜も私は、{ルビ蹲=うずくま}る。
遥か頭上の丸い出口の雨空に
嵐はごうごう、吹き荒れて
木の葉がはらはら、鳴っている
遥か ....
耳の奥の
遥か彼方から
青い空が
聞こえてきます
それが
歌でした
鳥は少しの記憶
むかしあったのに
触ろうとすると
水にも
よく溶けました
雲がぼんやりと
....
君の耳もとを吹き渡る無常の風を
僕もしっている
ただしそれは知ってしまえばとても優しい
すべての不条理は無常という雨のなかさ
積み残された問題のすべての回答がそこにある
降りしきる哀 ....
僕たちは丘のうえのちいさな雲を思いだす
比企丘陵のなだらかな起伏のうえにそれはほっこり呼吸していた
風が窓辺を訪れて遥かな便りを伝えてゆくのだよ
荒川を挟んで大宮台地と対峙するかのように ....
出せなかったラブレター盗まれる
失恋って
誰かと共有する必要が
あるのかな?
一人飲み
布団かぶって寝るので十分
明日は
誰もそんなことがあったなんて知らない
そんな顔で
リセットしたいね
そらがきちんと黒くなるのを待ち
肌をみがいて 髪をととのえ
それからすかすかの入れものを二十一個ならべる
そしていつもの手順できれいに切り分けた黒を
(それは上等の羊羹みたいにしっかりと重 ....
はしる かぜ
まどう くも
かわく かなしみ
うたう さんだる
なでる ひかり
わらう このは
すける わだか ....
役者は
媚びてしまった
目の前の毒リンゴを
食べてしまった
役者が
安っぽい悦楽で
身体中を痺れさせている間に
観客は
優しい嘲笑を浮かべつつ
足音もたてずに去ってい ....
子供達がてをふりながらさってゆく
老いた道化師は泣いた
彼らはもうサーカスを振り向かない
ガランとしたテントだけが残される
1918年の秋はからっぽだった
1928年には不安が流 ....
わたしは失格者
子供の頃は子供として失格
いまは大人として失格だ
夫として
父親として
男として失格なのだ
当然女としても
地獄に堕ちる者として失格
天国に入る者として失格
社会人と ....
お父さんの部屋は半分おなんどで
机の横にさびたバス停がありました
お父さんが3年前
会社の近くのがらくた市で買って来ました
私と妹は大喜びしました
お母さんは
「何考えてるのよ、こんな ....
バイだって構わないさ
僕はその人間に興味があるんだもの
道徳律を弄んでいるうちには
真実はどこかへ消し飛んでしまうかもしれないんだ
僕は僕でありその根拠は
唯一無二の ....
掛け違えたボタンのまま一日過ごすことにする
檀蜜のポスター欲しいな500円
年甲斐もなくお前はばかか?
先生が僕を卑怯者と呼んだ
その名前はおでこに貼りついて
やがて
僕の皮膚になった
月日が過ぎて
周りが誰も気づかなくても
僕の耳には
先生の声が時々聞こえた
先生 僕は先生のよ ....
声がする
崖っぷちに
かろうじて
爪を立て
呼んでいる
誰かを
よるじゅう
求めている
雨に打たれて
傘も持たない
家もない
母もない
優しい思い出も持たない
痩せた猫が
....
川沿いを歩くと
ピクニックによく似ていた
共通の友達がいてよかった、
と話す
命のものと
そうでないものに
毎日は囲まれて
離れていくものにもきっと
誰かが名前をつけて ....
ひとりになった四角い部屋で
ぽとりと零す細い声
捲り捲れてゆっくりと
唇から剥がれ落ちた
ワンルームの床の上には
足の踏み場もないほどに
彼女の名前が散らかっている
ひと ....
若手漫画家の登竜門としてCOM並びにガロはぼくらの教科書だった。
その女流の中でも異彩を放っていたのがこのやまだ紫氏と岡田史子氏だったと記憶する。
やまだ紫さんはもともと詩人だった ....
混沌とした水が透けるとき
言葉を釣り上げる喜びといったら
あぁ、まだ詩をやめられそうにないよ
吐き出した言葉が
気泡になって
無人のブランコを揺らす
目を瞑ると
魚たちが
瞼を触りにやってくる
部品を捨てながら
自転車は走る
ただ一つの
点になるために ....
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