あたいはしがないエレベーターガール
箱に入って一日上がったり下がったりしている
こんなんじゃ彼氏だってできやしない
あたいは孤独なエレベーターガール
人件費削減の為に
近々箱を追われ ....
燭台のともしびに羽虫の燃え尽きるように
夕陽を沈ませてはならない
銀色のリングのような月を黙って見送ってはいけないのだ
彼女の涙を数えてはいけない
きっとすぐに溺れてしまうだろうから
....
掌の葉脈を、陽に{ルビ翳=かざ}す。
樹液は枝葉に沁み渡り
樹液はからだに沁み渡り
木の人となり、陽を浴びる――
夜の部屋で
ぎたあの絃を爪弾けば
音のふるえは{ルビ静寂=しじま}に消えて
再び秒針の音は響く
繰り返される毎日に
どうすれば僕は
音のふるえとなるだろう?
単調なる ....
編み棒を一目ごとに刺して抜く扼殺ですか黙殺ですよ
僕は東京にいて、それから
ドラッグストアで
風邪薬を万引きした
一度に二錠しか飲めないのに
間違えて三錠飲んだ
健康に何かあってはいけないと思い
布団に入り
ハーモ ....
君は泣く
必ず泣く
人は涙を流す生き物だから
失くして
悔やんで
許されて
こみあげるものを抑えられない
涙をたたえた瞳で見る世界は
ひどくゆがんでひどく美しい
二度 ....
はい私ですと雀は言うた
「矢羽の羽はわたくしもの」
「何故に」と問う事はなかった
事実は人間の仕業であったから
誰がその死体を見たのだ?
死んだ小鳥の硬直した体を
ハエが言う
はい私 ....
めでたいと言って飲むお酒の肴には、何があうのだろう
悲しみに酔いたい時に飲む酒の、肴は何がいいのだろう
終電車で故郷のお葬式から帰って来た夫が、ネクタイを解きながら
「蕗をちょっと頼むよ」
....
「ママ!ママぁ!」
真夜中私を激しく呼ぶ声の元に行き
いつも通り右手を差し出すと
大事なお人形を愛でるかのように
それを自分の胸の前でぎゅっと抱き締め
再びすやすやと寝息をたて始める
....
あるページには
私のすきな言葉がかかれてる
ひらけばいつも
それはそこにある
そんな風にあなたの言葉を
ずっとずっとあたためている
私が綴る言葉たちも
そんな栞になってればいいな ....
わたしは二階の部屋にあがって、鈴木さんのガラス玉を手にとって、しばらくながめていた。どこかでみかけた夜店の、輪投げの景品みたいな、ただのガラス玉だった。
だいじょうぶかなぁ、なんだかニセモノみた ....
父さん
僕にデカグソをする以上の
取り柄があったら
例えば、瀕死の重病人を
ほんの一秒でも
笑わせることが出来たら
そんな能力があったら
僕はケツの穴の小さい人間と言われようと
細いウ ....
陽射しは澄んだ冷気を纏い
静かに微笑んでいた
病床から起き上がる母親のように
すると蒼白い時と仄暗い人の群れで編まれるはずの朝が
心なしか ふと暖色に染まり
視線は飛翔してはまた憩う 小 ....
祈りであるのかもしれない
耳から風を贈る 一致した音楽
気分と手を繋ぐ
瞬間の持続 幸あふる
気性と天気の反比例の線を膨らます努力を
楽しむ 年輪を重ね愉しむ
刹那の点線を歩んでゆく 増す増す幸こゆく
....
落ちていく 静かに
落ちていく 心静かに
魂安らぐ時もなく
僕の心は静かに静かに
ゆっくりと井戸の底へ向かって落ちていく
ああ、まるで世界が上昇してゆくよ ....
愛染夜曲をききながら
たいして飲めやしないお酒をちびりちびり
いつの間にやら夜が更ける
*愛染夜曲 http://www.youtube.com/watch?v=gwc ....
どこから好きが始まっていたのだろうか
好きが終わることなんてあるのだろうか
始まりもなければ終わりもない
ぼくらがどんな容姿であろうと
ぼくらが生まれようと死んでしまおうと
....
すきな歌詞を
心の中でなぞってみる
あの歌手の口元を
思い浮かべながらなぞってみる
うたはなにも
音でなくてもきけるものです
風が冷たい今
だれかを想って歩きます
不思議とそれ ....
牛小屋に入って
うわあ、超旨そうって
思えたら
僕も本格的な肉食人種なんですけどね
なかなかそこまでは到達できないです
でも甲殻類は
動いていてもヨダレ出ちゃうんですよ
どうしてでしょう ....
永遠の生命ってよくSF
なんかに出てくるが退屈だろうなっって思ってしまう
もちろん駄作でも良いから
詩みたいなものを書こうとも思わないだろうし
有限な物の限界を嗤っても
生命の実感は ....
接続詞を
石の上に載せ
はげしさを宿した鉄でもって
あなたが叩いている
灰色の部屋に閉じ篭って
その外を通りがかると
カンカンと逞しい音がきこえる
....
有名な寿司屋の
決して安くない
にぎりを食った
どうして心伝わらぬ
裂くどりと
それに対する
考慮の不足
確かに素材は悪くない
客が味を堪能するには
....
生活のバグを点検するように
家の隅々まで丁寧に磨いていく
どのようなプログラムで
この暮らしが動いているのか
詳しいことを私は知らない
5枚目の雑巾が真っ黒になったころ
致命的なミスを ....
言葉、とは
不思議なものだ
スリッパだと覚えれば
スリッパ以外の
なにものでもなくなる
寒い冬
人の足をあたためて
踏みつけられているくせに
そのいでたちは
ほんのり可笑しみを含 ....
木のうえから
あなたが見つめるぼくが帰る
あなたのもとにぼくが帰る
あなたは若葉に頬そめて
頬に若葉の影ゆれる
あなたが見つめてくれていた
その道たどり
....
風呂場のタイルの絶望が
部屋の柱のさびしさが
寝息にしめる秒針が
角で拾った意味たちが
そこら中で
縮こまる
息をひそめる
死のうとしている
涙のかわりに
泡で濡れてる
今年ももう
一週間も過ぎました
なんてこんな風に
過ぎた時間ばかり思うのはやめようと
それも前の目標でした
お前は後ろに目がついているのか
そう言ったのは中学のときの先生
そ ....
泣いて嫌がって生まれた僕です
生きていることをほめてください
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