MRIに写った骨に
ほんの少しの ヒビ在り
しばし見入る

ヒビは歌わない
ましてや笑わない
責めたりしないし
冗談も言わない
財布の心配もしない
後悔もしない
原因があって
結 ....
ことし一番の冷え込みでした、と滑舌のわるい男が喋っている。昨日と明日の気温や服装について話つづける。雲が、保存のわるい油絵みたいにばりばりにひびわれてそこから橙色がのぞいていて、電気を点けていない .... ひとはまっすぐ生きられない
かならず、曲がり角はやってくる
見覚えのない交差点はこわい
視界の閉ざされた曲がり角は、もっとこわい

たとえば
人生がなくても小説は書けるという
それは ....
君の胸の音を聴いている

瞳を閉じれば浮かんでくる
電車がゆく
車輪の音は確かなリズムを刻む
無機質でいて
それはなぜか温かい
からだじゅうに
張り巡らされた
赤い線路を
休むこと ....
バニラはひとりでひびわれて
かわいた白い絵の具に似てる
さようならをするときに
呼んでほしい名前があった
この世に難しいことなんてひとつもなかった
手に入れたいものもひとつもなかった
 ....
誰かが扉を閉めてしまった
私は夜ごと出口を失くした夢をみる
扉を閉めたのは 私
そのうえ錠前を壊してしまった

壊れた錠前をまず直そうとする人は
人の心を思い遣る人
壊れた花瓶を
片付 ....
プライドや
スキルや
イデオロギーといった
後付けアイテムで体裁を整え
何層にも膜を張って
“ ハッタリ ”という殻で
コーティングしたら
実物より 
やや立派に見えた

だが
 ....
陽のあたる書棚 憩う一羽の本

タランチュラのような手が二つ

美しい表紙を捕まえると

隙間なく閉じられた頁に太い指が滑り

弛緩した貝 白いはらわたよ

青く刺青された文字は星 ....
遠い星までの距離を
なにをもって測ろうか

言葉でそれとも
夜の波の響きで
それともきみの血流の速さで

こころの深さはなにで測るの
ざわめく風のおとでそれとも
過ぎた日の木漏れ日の ....
おばあちゃんの猫はおばあちゃんの匂い 猫のおばあちゃんがいなくなっても

おぬし 忍びの末裔であるな 足音もたてずに猫が来る

どんなに寒い夜でも おまえだけは温かいゆたんぽ

ねずみがい ....
彼氏との惚気話や鵯猛る ジュリエットは泣いていた
あんなに固くかわしたはずの契りはなんだったのだろう
風と男は信用できないと泣いていたのだが
すぐに泣きやんだ

だって泣くのもけっこうつかれるんだもの
そして地中 ....
露天風呂に
注がれる湯を見ていた

細い竹筒を通って
それは 私のいる場所へと
落ちてくる
水面に触れるだけで 
透明だった湯は
たちどころに白く濁る

真暗闇なのに
ほのかに明 ....
土に還れない落ち葉は
一枚一枚
くっきりと形をとどめたまま
美しい標本のように
雨の舗道に貼りついて


幾度も
踏みしだかれ
やがて晴れた日の
風に
粉末となって
舞い上がる
今朝は 静かな死
白樺の裸体 霧の
視神経 晩秋の匂い

  目減りした水瓶に落とす
  賽の河原の石のくぐもり
  陽射しはそっと後ずさる 

魂のほころびから
黄泉の調べ ....
今はもう(夢の時間)になった、十代の頃。  
ほんとうの道を、求めていた。  
敷かれたレールを、嫌がった。  

思えばずいぶん、{ルビ躓=つまづ}いた。  
人並に苦汁を飲み、辛酸も舐め ....
言いたいことがあったような気がする
けれど
あなたは熱すぎて

言葉を持っていたような気がする
でも
つかうにはどれも遠すぎて

死を思っていたような気がする
けれど
あな ....
くちぶえみたいな夜が煮詰まったら
朝やけは痛いくらい赤くなる
はじめて手がみを書いたときに赤くなった
鉛筆を握る指よりももっと

わたしももっと赤くなればよかった
みさかいなくはしたな ....
形見だったのか喰っちまった  
昨日の私は、耐えるだけ

今日の私は、むせび泣き

でも、明日は笑ってやるの


 
空想の翼と妄想の足枷
境はあっても壁はない
空と海のように

神学と罪状を彫刻された
流木は風と潮に運ばれる
翼もなければ鰭もない

時折 鳥が降りて来て憩い
流木の節くれだった目を ....
何かを始めるのに
手遅れなどということはない
始めた時が
始まりのとき

手を伸ばした時が取り返すチャンス
足を踏み出した時が
新しいスタート

空を仰いで
深呼吸した時が
誕生 ....
百舌鳥に似た鳥か百舌鳥かはわからない あの百舌鳥の前世はマリア・カラスなの いちじくは
花を 外に 開かない
いちじくは
内側に無数の花をつけ
やわはだの秘密を 隠し持つ


ある日
たったひとつの いちじくの実に
たった一匹の 蜂が来た
 ....
  こんな寒い冬の日には
  錆びかけた薬缶に水をいれて
  ストーブのうえに置いておこう



  けさ、空気はするどく冷たく尖っていた
  鳥の声はぴんと張られた針金のようだ ....
久しぶりにその眼に出逢ったのは
スーパーへ出かけビニール袋を両手に下げて帰ろうとしていたときだった

歩道の隅で停まったままの車椅子に乗っているひとがいた
その老いたひととぼくの眼が遇った
 ....
僕の<ありがとう>に
羽がはえて
僕の<あり蛾とう>が
飛んでいく

特製オムライスを作っている
君の左肩にふんわり
とまると思いきや
君の脇腹をつまんで
帰還する

<最近 ....
おしまいを
覚えさせたのは あたし
おしまいですか?
そんならしかたないですね、と
ちらり 上目づかいで見上げたって
もう おしまいだよ
これは
さいごのおしまい

おしまいがなかっ ....
螺旋階段を下りて行った
ぐるぐる
ねじれる記憶を
拾ってきたの
遠いこだわりを
大事そうに抱えて
あなたは私を指さして
「あなたが私を傷つけた」という
そうだったかしら
身に覚えがな ....
石田とわさんのおすすめリスト(1485)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ヒビいった- そらの珊 ...自由詩15*13-11-15
静かにしている- はるな散文(批評 ...313-11-14
曲がり角のひと- たま自由詩25*13-11-14
真夜中の耳- そらの珊 ...自由詩1713-11-14
バニラ- はるな自由詩513-11-14
心理テスト_(詩人サークル「群青」十一月の課題「非」より)- Lucy自由詩21*13-11-13
【_途上の人_】- 泡沫恋歌自由詩21*13-11-13
朝の読書- ただのみ ...自由詩21*13-11-12
distance- 梅昆布茶自由詩26*13-11-11
猫や_猫(自由律)- そらの珊 ...短歌1513-11-11
彼氏との惚気話や鵯猛る- 北大路京 ...俳句213-11-10
その後のロミオとジュリエット- 梅昆布茶自由詩1113-11-9
白骨の湯- そらの珊 ...自由詩1113-11-9
蝶になる日- Lucy自由詩24+*13-11-8
死情- ただのみ ...自由詩17*13-11-7
無人駅にて__- 服部 剛自由詩11*13-11-6
i- はるな自由詩713-11-6
くちぶえ- はるな自由詩813-11-6
形見だったのか喰っちまった- 北大路京 ...自由詩513-11-3
明日は- 殿上 童自由詩16*13-11-3
空と海のように- ただのみ ...自由詩32*13-11-3
手遅れ- Lucy自由詩21*13-11-3
百舌鳥に似た鳥か百舌鳥かはわからない- 北大路京 ...俳句313-11-2
あの百舌鳥の前世はマリア・カラスなの- 北大路京 ...俳句213-11-2
いちず- るるりら自由詩22*13-11-2
いとしさ- 草野春心自由詩913-11-2
眼差し- HAL自由詩9*13-11-2
<ありがとう>- nonya自由詩25*13-11-2
【おしまい】_詩人サークル「群青」10月の課題「無」から- そらの珊 ...自由詩14*13-11-2
螺旋階段- Lucy自由詩14*13-11-2

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