蛍光灯のタイムラグ


青白い光の中で


斜めになった椅子の

神経質な輪郭に



目を瞑る
山盛りのスパゲティに

ミートソースをかけ


ぐちゃぐちゃに混ぜて

ひたすら食べる


「人生みたいだ」

と思ったら
荒川の河川敷 土手の下に
古ぼけた木造アパート
モルタル塗らしかった壁の
モルタルは剥がれ落ち
グレーの下地に
枯れてしまった
蔦のツルがへばり付いている

空き家のようだが
夕暮れ ....
駅前のデパートが閉まると聞き
短い帰省の間、立ち寄った
商品のない売り場と
間もなく解雇される店員たちの笑顔が
とても痛々しかった

逃げるようにエレベーターのボタンを押したとき
七歳の ....
窓がとぶ
屋根がとぶ
全裸のマネキンが宙をとぶ
狂った風が吹きやがる

傘がとぶ
帽子がとぶ
純白のパンティーが宙をとぶ
狂った風が吹きやがる

笑いやがれ、
笑いやがれ、
笑 ....
駅に行けばどうにかなるって
遅刻しそうな人はそう考えていた

携帯電話を買えばどうにかなるって
孤独死しそうなお母さんはつぶやいた
僕はただ心をこめてごめんなさいといった
その音は 早 ....
煉瓦を積み上げて
高く登ろうとしていたのに
周囲ばかりに積んでいたから
自分を中心に、塔を作ってしまった
出られないのだろう、と、
上しか見えない僕に言うのは
通りすがりの鳥ばかりで
うん、とも ....
わかりません
と、言った私の言うことが
わかりません、という顔を貴女がしていました。
貴女は、わかりません、を
私の胸から摘んで取り出しました。
私のわかりませんは、氷山の一角で
とりあえず、食卓に置 ....

妻は、朝起きられない私がニワトリになろうと決意するのをみて、包丁を研ぎ始めた。


ほんとだよ、を繰り返す恋人の話に、うそでしょ、と繰り返す彼女は、恋人が嘘になるよう、お祈りするのを欠かさない。 ....
二千十年三月十一日執筆開始

 死にたいと思った。生きたくても生きられない人もたくさんいるのに、贅沢だと思ったが、そう感じてしまうのはやむを得なかった。何一つ、明るい見通しはなかった。これまで一年 ....
見慣れた風景が流れてく


電車の中で



「梅は咲いたか、桜はまだか」





そんな言葉を


思い浮かべては



あなたの事を


想うん ....
小さなことを愛せたら

小さなものを愛せたら

もっと世界はきれいに廻るだろうか


いや、



大きなものも

小さなものも

ほんとは天秤にかけたらつりあってし ....
ありだ、ありだ
ありの行列だ

一匹ずつ 何かを持ってる
整然と並んで行進してる

今にも小さなラッパと軍歌が
どこからともなく聞こえてきそう

黒い点線が端からどんどん
小さな巣 ....
 
透きとおるような青い瞳を閉じて
月明かりをよそに
思索する空
道標を失った者たちの
無数の悲しみが白い炎をあげて
燃えている



どこにも行けないという絶望を
焚き木にすら ....
明日できることは明日する
今日しかできないことはあきらめる
定時まで残り時間を数えつづけて
何回休憩できるか計算をする

返事は良い
小言は真面目な顔で聞く
メモだってとる
たいしたこ ....
君ながむ嵐に桜は散りゆけど八重にもふくれるこの想ひかな 真夜中に詩は生まれる
飼犬たちの遠吠えと鉄筋の口笛
黒い水の流れと緩やかに割れるコンクリート
畳に落ちたタバコの火種
換気口から流れていく煙
自分との対話
きみはミカンの白い薄皮を剥いて
 ....
僕の脳裏に落書きしたのは、誰ですか。

もう、男か女かわからなくて。

どうして、こんな落書きをしたのでしょう。

いくつも、いくつも。

塗り重なれて、最初に書かれたコトバはわからな ....
久しぶりに会ったのに
懐かしい匂いがしないのは
二人の時間と思い出の
多さによるためだろう

話す話題も特になく
分り合った二人は
ただ歩く

諦めきれない 不器用な俺は
そっけな ....
サラリーマンになりました
毎月お金をもらえます
サラリーマンになりました
読書で徹夜はできません
サラリーマンになりました
カード限度額ふえました
サラリーマンになりました
つまらないこ ....
{画像=080316102643.jpg}
倒れ込む。        そのままに
ねぐらに眠り込む。    裸になり
頭から倒れ込み、突っ込む。壁に、住処に
ぶつけて星を飛ばす。   ぐしゃり ....
{画像=080305010357.jpg}
くるしくともなんともない
あたまがからっぽなひは
いったいなにをやればよいのか
わらってよいのか
ないてよいのか
ただなにがなにやらわからない
 ....
電子レンジでチンしたごはんは
つめたい感じがする

せんせいの がんばれは
つめたい感じがする


募金おねがいしますの叫び声は
つめたい感じがする



テストの点を聞くあの ....
{画像=080513015507.jpg}


自分を果てしなく励ましながら生きていく、

そんな生き方しかできない、

気がしないか?

自信もなく、

実績もない、

あ ....
{画像=080316102643.jpg}


ここにいるのは狼ではない。

ここにいるのは野鼠なんだ。

魂、

泥水にまみれて寒くて、

悴(カジカ)んで、

舌先は闇 ....
(霧が立ちこめたように暗い心の底流に横たわって…)






おい、このデザートの中には雑音が混じってる

おい、あの庭園の奧には悪魔が潜んでる


でも、耳に聴こえるのは楽 ....
この世界は酷く醜い
何故なら俺が酷く醜いから

気が狂うまで頼りなくさまよい続け、その都度自己嫌悪は強まるばかり

知りたいだけだったんだ、今在る世界が何なのか
ただ知りたいだけだったんだ ....
何時だってそう


今より良い場所が何時かやって来ると信じて…

悲し過ぎる未来の日々の青写真


人は、夢が叶わないことを知るから、逆にそれを切なく臨むのだろう

想像の額縁にま ....
スライスしていた
ざっざっざっざと
タマネギは薄くなって水に落ちてゆく
やがてそれは
水を吸って透明になる
繊維が網の目のように残り
噛むと 少し甘い

僕の指がスライスされたとき
 ....
真夜中に起き抜け
冷蔵庫のドアを開け
冷気に顔をうずめる
烏龍茶を取り出し
顔の穴から一気に流し込んだ
胸が一気に冷たくなり
体が何かを訴え始める

夢を見た?  ....
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