渡る世間にエロ
楽しそうに笑っていれば楽しくなる
哀しそうに泣いていれば哀しくなる
薄っぺらな安っぽい
電飾で着飾ったフラダンスショー
ハリボテの楽園で目をつぶれば
夕暮れ浜辺で一緒にフラダンス
....
赤いサンダルと
傷だらけの膝小僧
くくく っと
笑いをこらえた君の影が
僕の靴をはらりとかわした
日曜日の太陽は
すぐに傾いてしまうから
それぞれの
背中に淋しさを背負ったまま ....
あなたと手を繋ぐ夢をみた
幸せな気分で目が覚めたけど
逆夢だと思い至ると
泣きたいような
笑いたいような
(青空だという事に気がつく朝に)
....
道路を歩いていると
クワガタが一匹転がっていた
手のひらに乗せて眺めると
綺麗な姿は無駄がなく音もなく
生きているのか死んでいるのかわからないので
こつこつ指先で叩いてみると
ギザギザ ....
石で打たれるような
犬に追い立てられるような悲しさに
居ても立ってもいられなく
ただただ早く帰りたかった
日没に向ってひたすら走り続けた
貝のように固く握りしめている
決して手放し ....
文字が空から降ってくる
あられみたいに降ってくる
だけど地面は乾いたままで
溶けることなく積み重なる
文字、文字、文字、文字…
文字が空から降ってくる
僕らの周りに降ってくる
それは ....
電気のスイッチを
パチンと点けて
パチンと消す
そんな毎日に
満ち足りた深呼吸をする時もあれば
ぽっかりと空いた口から
息を吐き出すだけの時もあり
今日も
....
向こうの空で飛翔している
麦わら帽子
風に飛ばされているのか
生き物のようだ
溢れ出てくる感情
幼い頃の私は
その優しさは自分を守り
相手を守っているつもりだ ....
白紙のラブレター炙ろうとして燃える
生はもしかしたら
性を撹拌したもので
あるかもしれない
性はもしかしたら
死を凝縮したもので
あるかもしれない
釣り堀の釣られる魚釣れぬ人
JR三鷹で降りて桜桃忌
短夜や痴豚のラジオ聞いており
南天の花に雨粒直撃す
夏至の日が一番嫌い吸血鬼
藻の花や子供に会えぬ日は続く
....
パン屋の朝は早い。太陽が昇る前には起床。
パンを作る工程は秘密だ。
私がパン作りを人に知られないのには理由がある。
秘密にしないと魔法が上手くかからないのだ。
そう。私は魔法使い。パン ....
昨日の〆サバがあたったのか
朝起きると吐き戻しお腹も刺すような痛み
背中がかゆくてたまらず
爪を立てるとなんだかツルツル滑る
鏡に背中を向けて首をひねると
なんとも綺麗な ....
ひとはだれでも忘れられていく
忘れないでと言われても
忘れないと誓っても
最初はその顔も憶えていたのに
少しずつ歳月が流れると
時の鑢に削られていくように
顔立ちは輪郭だけになり
....
誰かを 好きになってみたいね
この心を 奪われてみたい
皮肉なことだが
失うことに 飢えている
寂しいから、じゃなくて
そそられるから、じゃなくて
好きだからという理由で 誰かを追 ....
すこし太った と
しわだらけのあなたが言う
たしかに
しわの数はへっていないけれど
わずかに 浅くはなっている
一年ぶりに 団地にUターンしたのが良かったのか
また
独居 ....
よくぼくは言われたよ
過激な発言ばかりしてないで
普通のことだけを話せよと
よくぼくは言われる
山あり谷ばかりの生き方じゃなく
普通の暮らし方を覚えろと
じゃあそう言うひとたちにぼ ....
金があれば と言うけれど
あったらあったで目先のものに使ってしまう
時間があれば と言うけれど
あったらあったで無駄な時間も増やしてしまう
もっと自由があれば とも言うが
自由の ....
わが一歩 一応は一歩進む
道に穴だ 二歩さがる
すこしずらして 一歩進む
空気がない すごすご引き返す
しゃがんで一歩 こっそり出す
いきなり水の中だ 鰓がなくて溺死
科学は日進月歩 ....
うちのベランダに
よさげな苔が生えている
コンクリートのひびから
もこもここと
ふさりふさりと
緑色からエメラルドグリーンへ
鈍く光っていき
それはなんだかシ ....
笑えない世の中だ
煙を吹く原発
横転する旅行バス
国営の犯罪者用ホテルに泊まるため
行きずりの他人を切り刻む失業者
約束をほごにして 胸を張る政治家
不眠に悩む中学生に 身体を売る女子高生 ....
電車の
先頭車両の
運転席の
後ろに陣取って
景色の中に
割り込むように
のびていくレールを
眺めるのが好きだった
クハ モハ クモハ サハ
駅に
着くたびに
一息入 ....
夜の街から朝の街へ
区切りをつけずに酒三昧
朝の街へと出掛けてみれば
誰もが皺も寄らないスーツ姿
僕はよれよれスーツで
満員電車と反対のがら空き方向
毎夜毎夜じゃないけれど
....
梅雨時になると
もうそろそろかな、と思う
雨上がりの庭で
もうそろそろかな、と思う
君と
言葉を交わしたことはないけれど
君のことは
勝手にトモダチだと思ってるから
カエル ....
おれは殺風景
がらんどうで埃濛々
だから昼の檻に閉じ込められた
オオミズアオなんか見つけると
こんな錆びついた工具のような手をしながら
そっと 捕まえてみたくもなるものさ
....
言えなかった言葉が余りに多過ぎて
溢れようとする言葉で喉が詰まる
失わなかった愚かさが余りに多過ぎて
嘔吐を覚えるほどに胃がせり上がってくる
落としてきたのものが余りに多過ぎて
どの ....
水飛沫だけは一人前の
まるで推進力がないバタ足で
取り付く島を探し回る毎日
学校の水泳授業を
見学してばかりいたツケが
今頃回ってくるとは思わなかった
後輩の回遊魚達には
軽 ....
夕暮れ
石ころが転がる河原で
ひとりのんびりビールと
割り箸に刺したはんぺんを
七輪でささっとあぶり
ちゅるちゅる呑みこんでいると
対岸にオレンジ
鬼火が屋台の提灯のように
等 ....
目覚めると夜が転がっている
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34