すべてのおすすめ
生まれたばかりの君は
まだ数えるほどしか
ものを
もってない
まだ ものを 欲しがらないし
きっと わからない
でも、「これを君に。」ってあげるとき
僕はとてもドキドキする
君 ....
君
がんばってる
うしろ ななめ上
気にしすぎて
追われているから
君
がんばってる
足元見えない
前も見えない
目を向けても
向けただけで
呼吸が止まってい ....
写真機博物館とわたし
1
ひとりぼっちなわたしがひとりぼっちだというと
みんながぼくもひとりぼっちですという
じゃあ、わたしひとりじゃないんだ、みんななんだ、というと
みんながすうっ ....
列車に揺られるあいだに、季節がかわっていく
時間がすべてを解決するって、
あの日誰かに教えたのは、わたしだった
窓からずっと離れた場所に、夏緑樹林が広がっている
重なりには、かなら ....
ありのままに
よごれていけたら、いいね
きっと、
すべてを
にくめぬように
そまればいい、
ただ
たとえ
だれかが
よごれ、とよんでも
それはかならず
うつくしい ....
およいでいる、ということに
気がついてしまうと
溺れはじめる
わたしが
わたしを忘れることも
たいせつな息継ぎ
うまれもった、すべ
音色、という文 ....
つまずきなさい、
何度でも
ほんとの意味のつまずきに
出会うときまで
何度でも
傷つきなさい、
何度でも
深手のつもり、で
いられるうちに
癒しのすべが
....
娘とふたり
バスに揺られている
おまえが置き去りにした
ウサギの手さげ袋は
そのままバスに乗って
湖近くの営業所まで
運ばれたらしい
忘れ物はぜんぶ
そこへ運ばれてしまうのだ
....
終わりは
すべて哀しいものだと
いつかあなたは
示したけれど
確かにわたしは
時刻をひとつなくしたけれど、
なくさなければ
始まることのなかった
時刻のなかで
わたし ....
この手の林檎が可愛いので
少し齧ってみる
この手の林檎が可愛いので
もう少し齧ってみる
この酸味はもう秋なのね
喉元に風が吹き過ぎて
秋はどこからやって来るの
秋は私の心から
....
ビルは氷柱(つらら)のようであって
交差点に、滴る微笑の鋭角が
夜はひときわ映える
空は無限の海にはあらず
月のマンホールに、僕らは吐き捨てる
ばらけた感情語
それを生 ....
眠る前に
くちびるの形だけで
あなたのなまえ
を呟いてみたら
ほろほろと
星が生まれてく
夜は
思ったよりも深くて
あしたの方向で
あなたのなまえの星が揺れてる
不器用にしか進 ....
沈んで
いかなければならない
そうして深く
呼吸にもがいて
戸惑わなければならない
夢と
そっくりなものたちは
やはり、夢以外の
なにものでもない
だから、
....
わたしから
こぼれるものは
いくらでもある
けれど
わたしはそれを覚えない
まるで
狭い空き缶さながらに
空をあおいでは
たやすく空に
うばわれて
ゆく
....
彼はいつも、四つ足を
ぴたりと大地につけている。
一体何が本当に
天から彼に
与えられたものなのか
ぢっと開いた丸い目で
夜の{ルビ静寂=しじま}を見抜く
蛙のよう ....
ピアノの雨を浴びて
君は待っている
冬の駅を急ぐ、
冬の人々。
冬の空気を吸いこんで、
冬の顔で笑っている。
ピアノの雨を浴 ....
空から
落ちた日のことを
おぼえていない
海を
ながめることを海として
その浅きをのがれる
すべにおぼれる
太陽はもう
ことばではないけれど
確かにぬくもる
....
飛び出してしまいたい
絶望の淵
暗い部屋
僕の部屋
声が聞きたい
幸せの音
光の彼方
最果てのロバ
雷鳴が聞こえる
僕の心は
この程 ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
空の名は
曇ることが ない
大雨だろうと
快晴だろうと
空は、空
不純なものの一切を
それとは知らずに
ながらく含み
おそらく とわに
静止をしたまま
....
枯れ色を顕わにした麦畑は
豊穣の実りを得て
収穫を待ち受けている
その風景を見慣れない僕は
寂しい色としか捉えられない
咲き競う花々
明るく輝く若葉
新緑が萌え立つ季節に
....
雨が好き
世界が濡れて
恍惚の芳香が包む
夕と夜の間に
草花と土が
なめらかな生命を与えられ
喜びの香が
艶やかに立ち昇る
火照る身体を
委ねたアスファルトの上
はしゃぎ疲 ....
けれども胸は 青く傾斜してゆく 怯える意識には
透明なふりをする思惟が 蔓草のようにからみつく
窓の外では 涙のように 果実の落下がとめどなく
そのさらに遠く 地平の丘の上では 二つの白い塔が
....
わたしのなかの夏、が
嘘をついている
生まれたばかりのやさしさと
おぼえて間もない過ちに
うっすら、として
汗をかき
絶え間ほどよく
やわらかく
涙の意味が熟するよ ....
水面に映える空の眺め
天を仰いで目に入る景色
どれほどの違いがあるのだろう
それすらも満足に答えられない
僕は仮定と固定観念によって彩られた世界にいる
雲は流れて ....
白と黒の光
強く 明るく
大きな 大きな
宇宙
パンダ
冬の白い陽射しに かすかに 力が込められた
木の葉を透かした光
春の芽吹きを予感させる 柔らかな緑が届く
晴れ渡った朝 昨夜までの厳しい氷風は
少しだけいねむりをしている
人々 ....
正気を失いながら、それでも
わたしたちは、生まれてしまうのだろう
何度も、何度も、
そしてほんとうは
一度だって、死んだことはなかったのだと
臨終のそのときに、知るのだろう
....
わたしたちを、
平等に迷わせる不規則性
未完成であることだけが
確かな終わりを撫でている
いつもいつも
こぼされてゆく気配のなかに
鵜呑みにされた
わたしたちが
い ....
今すぐ
私たちが震えていることに
気づきなさい
*
春、春、
夏夏夏、
瞬きの度に私たちは
その色を、その言葉を
飲み込み、黙り、街路樹に
その芯に、 ....
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