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世界の尖端に
詩人のようなものが引掛かっている
重いカーテンをどんなに引いても
夜の窓から三日月がはみ出してくる
夢の過剰摂取の副作用が
紫色に垂れ込めてくる
中空には透明な旗が翻る
誰 ....
けれども胸は 青く傾斜してゆく 怯える意識には
透明なふりをする思惟が 蔓草のようにからみつく
窓の外では 涙のように 果実の落下がとめどなく
そのさらに遠く 地平の丘の上では 二つの白い塔が
....
君と私が会うと
言葉を 眼差しを交わすと
りんどう色の深淵が しずかに生まれてゆく
言葉を 眼差しを交わすほどに
それはしずかに 深まってゆく
二人して覗き込む
そのなかば透きとおった ....
鋭角的な警鐘が
残像する
私の眺めのどこかに いつも
おそらくあの時から
導音を失った私の音階
私はそれを
探しているのか
いないのか
果たして探すことを許されているのか?
....
いちばん古い棟へとつづく渡り廊下は
いつもひっそりとしている
ことに雨の日には
この渡り廊下だけが離れて
雨降る宙の中に 浮かんでいるような気になる
《ここで語り合ったこと
《ここ ....
僕の黒いノートの表紙に
ときどき
窓が出来ていることがある
その向こうで
君のかなしみが
淡い落下をいつまでもつづけている
(背景はいつも夏の
{ルビ誰彼時=たそがれどき}か
{ル ....
異なる方向をもつ
いくつかの時空の瞳が
時折ふと{ルビ輻輳=ふくそう}する
と
その焦点に結ばれる
あのひとの像
たまゆら
その眼差しも
仕草も
声も遠く
けれどかつて触れたこ ....