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水をあげ
花をあげ
鉄砲をあげましたら
喜んで命をくれまして
守りたくなってしまいました
と、古い手帳のすみに書かれてありまして
その言葉は
傷や破れがありまして
もっと破ると ....
小指をにぎる
強くて
弱い力で
たしかに
そこにいる
母さんの
子でよかったと
思う日も来るだろう
君にも
けれども今は
ひとまず母さんに
なれたみたい
よか ....
甲子園に行くためには名投手が必要である
バッテリーの才能がずば抜けていれば
守備や打撃にさして強みが無くても勝ち残っていける
二人の青年が呉琉紺駄高校に入学し、万年予選敗退だった野球部で
その ....
090202
正直者の人間宣言
錯覚から生じた擬態
みたらし団子に群がる
蟻を見つめながら
不覚の覚悟を自覚する家の崩壊に伴う不確実な意識
覚醒 ....
心臓にも
記憶があるらしいんです、と
その透明な
心臓をもつ少女は言った
にくたいが
ほろびてもまだ
記憶というたしかなものが
あったとは
わたしは思って
しかし
何 ....
空に浮かぶ星に自分の名前をつけても
決してその星を手にすることはできないように
ただ遠くから眺めることしかできなくて
諦めることしかできないこともある
....
発せよ記せよ ことば ことば ことば
口唇のぬめりを 指先のしなりを 以って
意識の解体が世界を懐胎し 生れ落ちた ことば
語れよ残せよ ことば ことば ことば
眼球の視矢を 土踏まず ....
動物がほとんどいなくて、すきっ歯な林だけがあるような
そんな植物だけが林立する場所にも、空き缶は捨てられていた
その缶を水が徹底的に錆び付かせ、風が土に埋葬した
泥に溺れそうな缶詰の、淵が顔を覗 ....
ものごころついたときから
あるもよおしものが
そこでおこなわれていて
開催期間:ひとのきかん
とかかれてあるので
ふしぎにおもい
うけつけのおねえさんに
ひとのきかんとは
....
夕暮れの水位は
さざなみ
浅い胸に、さざなみ
空白で埋めたはずの
小さな画布が
素朴に満ちてゆく
海面に浮かぶ
危うい杭に
うずくまる鳥の
膨らませた羽から
零れる文字のやさし ....
生まれたての朝が
静かにベールを脱ぎ
胸の時計が刻んだ
コマ送りの世界の中で
思い描いた風景と
引き込んだ色とが
混ざることを拒んでる
緑に囲まれた空を
鳥たちが飛ぶことさえ
切 ....
東むきの窓から見えるマンションは
夕陽を眩しく浴びて金属質に輝いている
けれどそれは束の間のこと
引き潮のように暖色の光は消えていく
夜を招き入れるような小鳥たちのさえずりが届くと
....
冬のしぶきあげた 波を
しろいくじらが旋回 押しこめて
少しずつ降ってくる
わたの毛はほつれた傘たち
わたしのしもやけの手
いつか 治るよ
太陽が言った
だから信じてみる
....
呼吸を取りに帰る
瞬いてしまうまぶたみたいに
あらがえないこともあるのだった
息をひとつ
死んだ誰かへ
捧げるわけでもなく
そこに酸素があるぜ、
ということ
....
板のような
霧のなかの
岩をめぐる
冬のまぼろし
応えは応えつづけている
応えられぬものはないかのように
ひとつひとつこぼれゆく
ひとつひとつ消えてゆく
....
明日の朝一のサプライズを準備していたら遅くなってしまった。その甲斐もあって机の中の仕込みはばっちりだ、驚く顔が目に浮かぶ。
教室を出ると、職員室の方に先生達の気配がある位で、校内にはもう殆ど人が ....
野菜スープを
朝食と同じように,出す
雨は止み、妻帰り来る
夕食時
木曜日は絵を描く日
薔薇を四輪
妻にはまだ見せぬ
二人で外へ、傘をさす
雨の木曜日
木曜島という ....
仲違いをした日の夜には静かなキッチンで蝋燭に火を灯してしりとりをしましょうよ
私がまずあなたへ語りかけるの
「あなたはまるでタロットカードの太陽神のように輝いているわ」
「わからないな、 ....
雪の中に埋めたのは
秋に散った
桜の葉っぱ
雪の中に埋めたのは
頑なになった
感情の石ころ
雪の中に埋めたのは
大きな白菜
真っ白な大根
雪の中に埋めたのは
恋焦がれる ....
あいにくの雨。オマケに少し肌寒い。
普段通ってはいるものの、降りるのはホントに久々だ。
傘をささなきゃならないから、距離がとれてちょうどいいかもね。
街の光がいつもより沢山眼をに ....
雪のひとたちが
亡くなってしまった
雪のひとの魂を
雪の中に埋めました
雪のこどもは
なぜそうするのか
雪のお母さんに聞きました
雪の中に埋めたのは
またいつか
雪に魂 ....
寒い冬の日
凍った池の前で
あなたと二人
過ごしていた
言葉もなく
音もなく
赤色や黄色や茶色の
葉に敷き詰められた水面を
私たちは見続けていた
陽の光が緩やかに傾きかけた頃 ....
ここは電子が積もってできた海です
僕はもうずっと長い間
女の子のアルミのような髪の毛に
終わりかけの夕暮れが映るのを
見ています
それはなんだか
シベリアの雪より南極の氷より
....
あなたに贈るこの花は
あなたの為に咲いている
あなたに気持ちを伝える為に
わたしがせっせと育てたの
毎日毎日水をやり
大事に大事に育てたの
一生懸命咲いている
花はわたしの気 ....
雷鳴に犬が怯える空で
やさしい言葉のように冷たく凍ったものが
老人ばかりの街を無数の宝石で覆い
(あるいは灼石灰のような骨の粉)
まぶしく結晶に閉じこめる
今だけはうつくしいだろう ....
夏野菜のカレーはおいしい
ナス野菜ではないよ
夏野菜
ナスも入れるけどね
ピーマンとオクラ
場合によってはカボチャやトマト
夏のカレーは夏野菜
冬のカレーは根菜で作る
スズムシはい ....
それを蛍という人達が
優しい微笑で
小鳥をつつむように
佇んでいる
その声が
空に飛んでいくように
雨が降ることを
雪になることを
そういえば君は
星になる
と言ったかもしれな ....
090107
90円あげると言われ
口を開けて笑っていたら
50円しかないから
明日にと延ばされた
口を開けたまま
笑ったまま
明日まで待っている
嘘つ ....
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから
やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかでき ....
叶わない夢があったわけで
あなたは
そのなんていうか
ブラウン管の中で
夢を与える
夢を与える事を生業としている
私は私で毎日毎日
あなたを見ている
感動を呼ぶ出来事も ....
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