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景色は遠ざかり鋭くわたしの心臓あたりを逆撫でる
ブルーグラスという熱帯魚みたいに
紅い美醜を纏って
三角の空をながめている気分


ミントグリーンの空気
浮つく不揃いの恋人達が
汽笛を ....

と発語すると
鼻白む思いだが
それは存在可能だ

安易に云えば
隣人への愛
自己への愛
ひいては敵への愛さえも

ここまで生きられたこと
そのこと自体
愛だといえる
 ....
あるところに一人の男がいた
男は理想を見いだせない革命家であり
大義名分をもたないテロリストだった
彼にはため込んだ多くの武器があったし
破壊活動のためのノウハウもあった
それらが彼を一つの ....
君は歌う
恋をしたと歌う
恋は罠そして穴

青春の瓦斯が立ち込める部屋で
起こる小さな火花
乱雑な部屋に引火して
ちいさな私は燃え上がる
なにもかもが恋に焦がれていく

恋の炎がい ....
その時が来たのならば
全ての窓を開け放しましょう
それが その時であるのならば

まいにち みて いるのだけれど

ひざの上で組まれた指が
互いに爪を立てている
 ....
シルバー
とてもながい時が過ぎた
とてもほんとうとは思えないくらいの

シルバー、
それでもまだそこにいてくれる?

シルバー
みんなが言う
あたしがすっかり変わったって
シルバー ....
陽射しが肌を焦がしていく
軽い痛みと浮き上がる眩暈
焼け付いた肌に
沢山の汗が寄り添う

湧き上がる入道雲
蝉の声を打ち消す夕立
それでも明日には
また仲良く鳴くのだろう

自転車 ....
    
ナイフとフォークで
白い雲を少し切り刻むと
青い空がするりと落ちてきた
傍らに小奇麗な色で衣替えした
収穫の時間を置くと
秋の形が出来上がった

味覚を一つずつ競うように
 ....
 
 
午後八時五十分発の
てんとう虫に乗る
潰さないように気を付けていると
言葉に疲れた兄が一人やってきて
優しい飲み水を差し入れしてくれた
ありがとうございました
そうお礼言う前に ....
人の嫌がることはするな
と幼い君に言ってきたつもりだけど

君の大切な髪留めを取って逃げてしまった
君のいとこの困った赤ちゃんを捕まえて
とにかく髪留めを取り戻し
代わりの物をあげて済まそ ....
「見つけると幸せになれるのよ」
近所の女の子がいう
四つに分かれた青緑の草を数本持っている
これでわたしは大丈夫だわと
少女の眼は語る
ひとつわけてほしいが
胸の前でしっかりと葉を持つ少女 ....
雨 雨
切々と うたう

わたしはピアノを弾いている

絵も描けず
詩も書けず
下手な暮らしをしているが

わたしはピアノを弾いている

今この瞬間
いくつもの
想いが
浮 ....
舌先から街が見えた
憧れのデートコース 本当は君と行きたかった
だけど死んでしまったから 君の魂と小旅行

僕の姿が見えるかい? 僕はまだまだ温かいだろう?
天狗山に明かりが灯る 僕の知った ....
過ぎてゆく時間に
恨みさえ覚えて
「焦らないで」
君の言葉に耳も貸さずに
駅のプラットホームから
飛び降りるチャンスを伺っていた

こんな夜空が
あったんだ
月の出る
星の夜が
 ....
汗ばむいつもの朝
あの夏の積乱雲
輝く輪郭に隠された
いくつかの胸騒ぎ
終わるのでも始まるのでもない
そんなめまいだけの朝に
散りばめられた笑顔の
なんと残酷なことだろう
いらだつ夏は ....
イモムシ 這っている

イモムシを 見下ろしている

何日かしたら 空を飛ぶようになる

イモムシは そのときまで這っている

イモムシが 飛べるようになったら見える

それまで  ....
せめて はいさぎよい
悔いにのみこまれてもその上に震えたつ
涙もかれた花のいろをしている

せめて はもとめない
とうめいになったからだで小さなものたちを拾う
どんなにこぼれても心のあ ....
朝から
ひぐらしの声が聞こえてきて
やっぱり
帰りたい って
思った


そんな日でも
快速電車は
あの頃のアパートを
速度を上げながら
通り過ぎる


耳を澄ませば
 ....
おんなは夜ひとり泣いたりする生き物だ
目をこすって赤く腫らしたりする生き物だ
落ち込んだりじぶんを責めたり
おんなは忙しくて切実なる生き物だ

おんなはみんな渡り鳥だ
あたまのなかの磁石に ....
 その身を削いでゆく
 どこまでも
 いつまでも
 と、いうわけにはいかないのだ
 だれであっても
 どんなひとであっても

 あげくの果て
 使いものにならなくなった
 ....
僕のしがない手を
君への花向けだと思って受け取ってくれ

僕の干からびた足は
君への愛着だと思ってくれ

僕の垢だらけの耳は
君への差し入れだと思ってくれ

僕の乾いた眼球は
 ....
娘たちは
もう眠ってしまった
何も書かれていない短冊がひとつ
テーブルに置かれている

なあ、父さんは
こってり疲れてしまっているから
願いごとなんて
ひとつも浮かばないんだ

静 ....
学校からの帰り道
ごみだらけの家に住む
ひげだらけの臭いおじさんが
居間で背を向けて
テレビを見ている

『ガガー……ピーッ……』

灰色の砂嵐が映るだけ
やかましくノイズが鳴り響く ....
優しくののしられる夢を毎晩みている

夏草の匂いが瞼に触れたなら
誰かを否定しよう


(今日も律儀にともだちを20人ほど貶してきました
 わたしの夜にまた、
 優しいひとたちがふえて ....
コンタクトレンズを入れる君の傍で
シンクに水を溜める音が響いている

悲しければ、と呟けばそこに
光るものが、あっただろうか
歌え、と促す君の指に 撫でられるようにして浮遊する
 ....
 
電話が鳴った
君は「暇だから・・・」
と言った
白い雲が
空の端から
反対側の端に流れていったのだけ
覚えている

電話が鳴った
君はいつになく無口で
雨音が聞こえていた
 ....
乱暴に脱がす手
手に刻まれた三日月が
赤紫に腫れていた

いつもは白い月なのに
哀しい目をしてのぞきこむ

水晶体に光景が////


湿った砂山
ふもとから
少しずつ掘ってゆ ....
道の歪みのそこここに
溜まって出来る水たまり
昔の雨にはつきもので
道行く人の迷惑で

車が通れば泥をはね
人が踏めば靴汚し
道の歪みの性格を
そのまま見せる水たまり

そのうち道 ....
久かたぶりに訪れた渋谷センター街
取り壊し中の建物とかあったりして何となく余所よそしさを覚える

平日の昼間ってこともあるのだろうけど

チーマー、ガングロな人びと
そして神話の国の神話な ....
ジョギングする人とすれ違った
ネクタイをゆるめた長身の男の腕をつかみ
バランスをとりながら女が自転車をこいでいた
こんな夜中にこんなところを男女で歩いているとは
ふたりはどれだけ寂しかったのだ ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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