暑い夜には
海鳴りがきこえるので
眠れない

枕の歪みを直し
蒲団の端を折りたたんで
細心の注意をはらって
寝床をととのえても
それはきこえてくる

そうして眠れないまま
目醒め ....
夏は
ひねもす虫を追って
森にまよう


虫は
翅をひらき
森を飛びたつ


夜は
空の翅で
ぼくは飛ぶ
指のさきが星にふれる
真珠のしたたり
涙のあかり
アップルグリ ....
うすく流れる明け空に
寝返りをひとつ

隕石とか堕ちてこないだろうか
僕は僕の人生を
いいかげん
供養してあげたい

逃れようのない角度で
刺し込む朝は
強制ですか
それとも、任 ....
送り火みたいな花火をした
愛犬は鼻を火傷しそうになり
わたしたちは
少し寂しかった


お盆も終わって
仏様はみんな帰ったけど
納骨の済んでいない魂は
未だここに残っている


 ....
 水に
 突き刺さることができるのは
 真夏のひかり

 真夏、という
 ひかり



湖面にそそぐ陽光は
銀のうろこの魚に変わる

気ままに歌うぼくたちは
それを統 ....
一学期の終わりに盗まれた一本の鉛筆の
HBの日々の夕刻にサラサラと落下した
「ばいばい」の落書きみたいなひとり言には
いつだって行間が無かった


下校時刻だった、タ、タ、タ
無 ....
 
 
生まれたばかりの
息子の写真を
四歳になったばかりの
息子に見せて
これは誰
とたずねていた

すると
赤ちゃんとこたえる
でもこれがおまえだよ
とおしえると
にわか ....
浴そうに張ったお湯に
指を挿し入れる


前のめりになれど
湯垢の帯を隠すことなどできもせず


立ち尽くしたまま夜を明かせば
ふやけた皮膚の中には
誰の後悔が詰まるのだろう
 ....
わたしは
風をおよぐのがすきだから
太陽との相性は
とてもいいのだと
思う

汗ばむ腕と首筋に
水の匂いがたむろして
わたしをいっそう
およがせる



 夏にはもと ....
喪服を着たおばさん四人
交差点を渡り、口々に話す。

一人は楽しげに
久しぶりねぇ
などと通夜であることを忘れ

一人は怒ったような顔をして
どうしてなんでしょうねぇ
などと宣う
 ....
               090820






再導入された
資本主義と
評価を得たが
貧乏暮らしが
良くなるわけではなくて
お金持ちが再評価されて
資本の形成が促 ....
「移」


知らぬ間に忍び込んだ次の季節を

昨日より微かに老いた眼差しでやり過ごす

移ろっていく速度のやるせない違いに

胸の奥をさざめかせながら運ばれていく



 ....
満員電車にのって
おじさんの大きなお腹に
つぶれそうになって
呼吸困難

外は真っ暗
家に着く


待ちわびた今日が
終わってしまった
なんて
玄関まできて思っ ....
それは黒い鍵爪だった
重く垂れた空からスッと湿った宙を引っ掻いては
狡猾に隠れる
くり返される蹂躙
積乱雲はメデュ―サの含み笑いの唇をふちどり
うすく開いた


生々しいクレバスを曝け ....
 
 
言葉にならないことを
言葉にする
しなければならない
そんな時
壊れやすいものを
投げつけて
壊してしまった
そのことを
生きてるだけでいいのだと
ゆるしてくれた
生き ....
通った小学校で
よなか
久しぶりに仲間と
集まって

くっついて花火して
くだらない話を
おおきな声でして
きもちよくたくさん笑って
だいすきって
言い合いながら別れた

中学 ....
放課後、屋上に呼び出され
どこにいるのかと見渡したら
彼女はコンクリートにうつ伏せていた
近づくと、目を閉じた横顔のまま
私の輪郭を引いてくれないか、と
きっぱりと言った

よく解ら ....
世界は美しくなんかない
人生は使い捨てるもんだ
夢はずっと寝て見てろ
愛は無償じゃないぜ
きちんと対価を払いな

快楽は健康的じゃない
脳に刻み込まれていく
知識を覚えて増えた皺は二度 ....
真昼のソファーで目を閉じると
いつだったか、夜を待った日の
高原の風を思い出します
肩の高さほどの草むらを抜けて
尾根にむかう踏跡をたどり
軽く息を切らしながら
ずっと星に近いところにたど ....
旅人は路地裏に入り 
とあるギャラリーの戸を開いた 

暗がりの壁に映し出された 
ノートの縦線という「牢獄」の 
内側に立つ 
ひとりの囚人の絵が 
何かを語りかけていた 

椅子 ....
 
 
薬が切れて震える父を
抱えてベッドに寝かせる
布団のしわなどが気に入らないと眠れないので
抱き起こし、位置を変えてまた寝かせる
そんな作業が延々と続く
父にとって毎日の睡眠とは
 ....
緑葉生い茂る森の奥
君を抱きしめる

   最初で最後の交わり

なだらかな曲線を描いた
背中が微かに痙攣し
時折流し目で見つめる
君の瞳が切なくて

   僕はまもなく他界
  ....
高台から海を眺めていると
海がとまっているように見えた

青い革の精緻な模様が
いっさいの動きをとめている

夏光のちからが
今日はすこし遠くに感じられた
陽射しがほどけはじめている
 ....
君は幻 夏が翳るから 僕は無口になる つまさきに
触れる空気が気怠い 何処かで 水の揺れる
気配がする 裏庭に ひそむように 羽黒蜻蛉が
息づいている 白い空に 百日紅が 凌霄花が
浮かんでい ....
忘れた景色のことは
もう、分からないから
私を追うのなら
出発は
最終列車がいい

戻るつもりのない時間帯に
その街を出てきたことだけは
今もまだ
覚えているから
どう ....
日曜日で小学校は休みである
縁側で日向ぼっこをしながら
ナシナシナシ
とぼくはつぶやく

自転車に乗れないのはおまえだけだと
次兄がぼくを小ばかにした
ぼくは言い返せないで澱んだ気分を
 ....
口に出して言うてみて

もしテレビついてたら消してな
家族がおったら ちょっとはなれて
一人ぼっちやったら ちょうどええわ

「生まれ変われるなら
もっと一生懸命生きんのに」

言う ....
緩やかな助走から
蹴伸びする季節が
完成されたフォームで
越えてゆく
夏の高さ

背中に近いあたりの
肋骨を支えている

僅かな緑陰を選んで
少し歩いて
少しの水を飲む

* ....
いつからか 独り言がふえて
よけいな言葉は
詩をつくらなくなった


目がさめたら
黒板は白く埋まっている
「もう充分です」
だからもうかえりなさい
言外に、言外へ


言葉 ....
もうすぐ
もうすぐだねって
やってくる夜明けを
あの時は
あんなに胸をときめかせていたのに
今はベッドで寝転がったまま
リモコンがあればいいのに
なんて
考えるようになってしまった
 ....
かんなさんのおすすめリスト(1332)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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