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一学期の終わりに盗まれた一本の鉛筆の
HBの日々の夕刻にサラサラと落下した
「ばいばい」の落書きみたいなひとり言には
いつだって行間が無かった
下校時刻だった、タ、タ、タ
無 ....
みずから
無数の眠りと共に飲み込まれ
問われないおんなの言葉は
眼を閉じながら
日没よりも静かに
日没よりも永く
海底の無色へ沈みます
ああ、もう間に合わない、
皮 ....
ふと、 指と指
知らず知らず遭遇したら
あ、デコレーション
あなたの根拠を知りたいわたしの炎症
(ラズベリーのつぶらさ、紅さ、の)
を、ホイップクリームでくるみ、わたしは
しん ....
音楽と光が止み
(ひそ、ひそ、)
雪など降らぬ、ましてや星など降らぬ
最初から諦めて、無数の
ただ、咳が
ただ、冬が
最初から諦めて崩れ落ちた白い灰の気配で
見知らぬマフラー ....
あ、
雨の夕刻は
アスファルト状の黒いノートにおいて
ひとつぶ、ひとつぶ、別々の
無数の濁点だ、
*
雨滴、
雨滴、
黒く
滲んで
広いひとつの痣として ....
優しく濡れていた
公園の池が凍りわたるという法則を
冬だから寒いのは当たり前でしょうと片付けた母の
手の平の保温性が
今も強く、わたしの身体へと、わたしの眼へと
柔らかいままの金 ....