まだ強い日差しを俯く花のように
白い帽子で受けながら
歩道の向こう
小柄な婦人が歩いている
ゆれるバッグの中で
小さな鈴が歌っている
{引用=――しゃらん しゃららん}
たったひとりの{ ....
黒焦げのアカツメクサを労うように
レースフラワーが風に揺れ
夏が終わると歌っている
排気ガスまみれの分離帯にも
芽吹いた種は繁らせた
波打つ夏の色

色褪せた空のキャンバスに
ぽたりと ....
{引用=夜明けのこない夜はないさ
あなたがぽつりいう}

懐かしい歌が
あの頃の私を連れてきた
そして今の私が唄うのを
遠い窓枠にもたれて
聞くともなく聞いている
夜のはてない深さと距 ....
風に乗り
真夏の匂いが立ち込める黄昏時
草葉に注ぐ夕日と影
蜩の声は空を舞い琴線に伝う
目に映るもの
聞こえる声
とり巻く全てのものに心惑う夕暮れは
束の間 平和だった幼い頃を思い出す
 ....
趣味で生きているんです
死ぬこともできるかもしれないが

くだらなくとも
生きてゆくことが
せいいっぱいの趣味なんです

まだまだ生命活動を続けたいと
こころが言っているようなので
 ....
裸にはなれない

鎧で身をかため
武器を持たなくては
戦えない

弱すぎる 弱すぎる
裸で戦えるほど
強くはない

裸を見せられるほど
美しくもないし
度胸もない

私は自 ....
田舎の
海辺の町は

夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる

古びた町並みは
時代に忘れ去られ

潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む

人も少ない真っ青 ....
僕は竹輪が大好物で
性格も 真ん中がからっぽで
夏場は風通しも良いが冬は寒い

いまだに大好きな彼女には文無しの飲んべえだと
思われているのだが残念ながら
ほとんど当たっているのでとても悲 ....
寝床に横たわると
せせらぎが聞こえてくる

母の家は川に近いが
夜は窓も閉めているし
国道を挟んで
川の流れる音など聞こえるはずがない
たぶん一晩中自動で回る
換気扇の音だろうと
弟 ....
すべてを話せるのなら
詩なんて書かなかった
人の間に立ち
場に即した言葉を選んでいるうち
いつしか僕らは機械のように
必要最小限しか話さなくなった
これを話せば秘密が漏れる
これ ....
皮脂で汚れ切った車窓越しに
遠ざかる
街の灯を眺めている

真っ当に生きて
正しく幸せになることが
こんなにも簡単だと気付くまでに
随分と
遠回りをしてしまった


 ....
きみがめをとじている
つきがこんなにきれいなのに そういうと
きみはすこしあきれて ばかねとぽつり
なにもしらないこども たしなめるように

しろいつきのあおいひかり
ひとのゆききや くる ....
風の吹く日に外へ出れば、僕たちは開くものになる。その感覚を忘れないように、強く念じてみたりする。

「慣れ」という獣を君は知らないだろう。それは、好きな人の首筋に少しだけ味が違う部分があることを何 ....
かなしみが、一律に同じ形をしていれば、いくらだって切り貼りして、いびつな模型を作ってみせる。

言葉なんてあいまいで、うそ、のひと言で理解してしまえる。うそがうそであることが、なによりうつくしい。 ....
母国語の外へ
逃げ出したくなるときがある
意味の染みこんだ服を脱ぎ捨てて
なんとなく笑っていたい
それはカン違いのようであればあるほどいい

ぼくの思想や肉体は貧弱でも
それが白日のもと ....
すべては上手くいくさ
と口にしながら歩き出すと
なんとなく
なんとなく
ほんとにそう思えてきて
顔をあげると
なおまっとうに歩きだせる
これが意気揚々というやつか
と笑みまで浮かんで
 ....
石楠花を右に折れ
道なりに進むと
大きな手で盛ったように花の咲く庭がある

かつて愛した日々が
遠くなるごとに輝きを増して
いまではもうかたちを捉えることもできない

それから ....
風の音が聴こえる
こんな夜は

抑えつけた想いが
はじけそうになるのを
必死でこらえて

八つ当たりするなにかを
探し求めて
家から出ないように

夜がさらに更けていくのを
じ ....
雷鳴が珈琲に足りない
足を浸していた黒い闇の中に輝く鳥たちの羽、羽
微睡みの中にそれは来るのだ
無数の空に落ちている砂糖を拾うために
私は行こう
もうなんども終わりにしようとしたことをはじめてしまうことは
波ににている 世界は波ににている

井戸の滑車がいつまでも回っているのに桶はとどかない夜の野原に咲く野薔薇に憩う虫の触覚がかんじる銀の ....
   Ⅰ

 ずっと昔にほしかったもの
 ようやく、指先が届きそうだ
 かすめる指の隙間から、失くしたものはなんだろう
 なにをすててきただろう
 なにをあきらめてきただろう
  ....
朝の朝から書き物をするなどとは贅沢の極み (声がきこえますか)

白い壁に凭れて、
暫く目を閉じていたら、
誰かの声を聴いた。

(声がきこえますか)

空耳だと思い、
壁をはなれて歩きだしても、
声はついてくる。

 ....
つかれていたのかもしれません。
夏のさなかに
雪をかぶった連峰をみました
海辺を高速バスで走っているときでした
火事の中で氷を幻視するかのように
見たのです 

うたたねの山々は ....
失われた時を還せ
死んだ夢を呼び覚ませ
きみのうなじの産毛が好きだから
僕の名前を風に聞いてくれ

最期の銅鑼が鳴り僕たちのバンドは退いてゆく
黄昏の中へ精緻な夜へと官能をつなぎとめる
 ....
真っ白い炎が
咲き乱れて
花ちるさと
凍えるような涙で
殺菌する、
浴衣の模様を
黒地の頬を落ちる涙、
昔、
夏祭りに出かけて
一緒に金魚を網ですくった思い出がある
うちのお父 ....
まゆとまゆを繋いだたおやかな峰に
みえるいくつかの不均衡な螺旋機構
きみとあなたの感情とことばの辺縁に
ひそむ約束の不特定で不埒な内省模様は
燃えつきそうなとおい炎のような

自前の足 ....
薬で眠る
父を見舞った

ゆっくりと
眼裂が開き

ゆっくりと
また閉じる

私は
川に立つ
真っ白な鳥を想う

そう
あの鳥と
同じ視線で

父は
私を見る
私 ....
『愛について書きなさい』
なんて言われたら
僕はもう お手上げだ

知らないものは書けない
カバンの中に無いものは
スケッチすら出来やしない


『何となく知ってます』
そんな ....
今年も夏が終わろうとしていますね
シュノーケルが必要なほどの湿度、景色はヤカンの湯気の向こう側のようで、いかにも夏の、うだるような暑さが支配している季節です

膝の裏に伝う汗を感じて
そういえ ....
かんなさんのおすすめリスト(1332)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
小さな鈴- ただのみ ...自由詩13*17-8-26
労い- Lucy自由詩18*17-8-21
夏の終わりに- そらの珊 ...自由詩20*17-8-21
真夏の匂い- 忍野水香自由詩717-8-11
趣味で生きているんです- 梅昆布茶自由詩2317-8-9
自信がない- 星丘涙自由詩2*17-8-8
麦わら帽子- ガト自由詩19*17-8-7
竹輪のうた- 梅昆布茶自由詩12*17-8-4
せせらぎ- Lucy自由詩17*17-7-23
無口ゆえに- 葉leaf自由詩1117-6-11
終電- 自由詩9*17-6-8
りんご- Y.T自由詩11+*17-6-5
無題- michi自由詩217-6-5
つぶやきにおけるささやかな砂。- 木築自由詩517-5-24
トロンプルイユ- キクチミ ...自由詩5*17-5-23
のっぺらぼうの町- AB(な ...自由詩9*17-5-22
- はるな自由詩717-5-22
朝陽が欲しい- 坂本瞳子自由詩1*16-9-26
珈琲- 佐藤伊織自由詩216-9-26
2.- Qg3!!自由詩316-9-26
あの日の私を見つめてる- 中原みの ...自由詩316-9-26
ゴージャス- 坂本瞳子自由詩1*16-8-31
キコエマスカ- あおい満 ...自由詩816-8-30
あいづち- るるりら自由詩15*16-8-29
四季- 梅昆布茶自由詩1016-8-26
金魚- 百均自由詩7*16-8-26
つつまれる- soft_machine自由詩4*16-8-24
俯瞰- umineko自由詩7*16-8-23
まだ、あいまい- 葉月 祐自由詩4*16-8-23
いつか、夏の日- 青の群れ自由詩516-8-21

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