すべてのおすすめ
花はよく咲いたが
実をなさなかった
わたしの部屋には
白磁があるが
それには違う
実を山としよう
....
約束されたことは、なかった
ただ一度も、なかった
噛み合わない歯車が磨耗を呼び
嬉々として
それを食い潰した
約束されたことは、なかった
約束されたことは、なかった
なだ ....
ぐるぐるまわる世界で
立ち止まるなんてこと
しなきゃよかった
空が広がって
何人もの君への想いを
愛しているかもしれないこと
と唇から綴 ....
さいだぁ
けされるために生まれてきた
風見鶏の嘴
四方八方への路
くるりと北へむかうとき
あんだぁ
つぶやいた口笛
すこし汚れた半そで
わんだぁ
せかいじゅうにあまいだけの嘘と
....
脂喰坊主は地下鉄の端で
ホームに顔を突き出して遊んでいる
駅員が慌てて止めるが
大丈夫
脂喰坊主は死なない
脂喰坊主はバツの悪い顔で笑う
それから
目を閉じてかっきり一秒
....
窓辺にいる子は
みんなふるえて
綺麗という字を
こわがっていた
だって
かまきりみたいだから
{ルビ医師=いし}らバス{ルビ停=てい}にいてすばらしい
{ルビ酸欠=さんけつ}さん{ルビ診察検査=しんさつけんさ}
{ルビ残念捻挫=ざんねんねんざ}
インテリ{ルビ庵癌=あんがん}あり{ルビ転 ....
竜が獲れた。これで数十年は村の食料だけで
なく地位も名誉も安泰なのだろう。ウマサ(*1)
が長と何か話しているがここからは聞き取れ
ない。若い者が数名命を落としたらしく、笑
みの合 ....
カフス不可
カバラならば可
カラスミすら可
かるい体なだらか射るか?
カマドウマ舞う土間か
カメラ騙しまだ騙し{ルビ斑目=まだらめ}か
悲しいなかに叶いし仲
踵痛いと{ルビ母=か ....
キュウちゃんいなくなった
ピーちゃん泣いた
おばあは笑った
じいちゃんいなくなった
みんな泣いた
おばあは笑った
おばあは笑ってた
お ....
うっかり秋口に
スリップ姿で煙草を吸いに出た少女は
うっかり14歳のおとこのこに
エッチされてしまった
灰皿代わりのペットボトルを
少女は死んでも手放すまいと思った
....
跳んだ気がする
このところ
夜間工事が続き
どうにも
視線が定まらないっての
に
新人の教育だとか
そんな事を
言われて
使えねぇ奴と組まされて
まず行きの車の
運転中に ....
洗濯を干しているときにパンツが見えないように心を尽くす
掃除をしながらついつい言葉について考えてしまい
「いやらしい」と思う
朝の散歩をするおじいちゃんににこやかに大きな声で挨拶をする
....
三半規管が弱いのか
体質なのか
タバコばかりを吸い
弱くて呑めないのに
僕は知らない
熱上昇気流による
電気の蓄積に起因する
ホールとキャリアが
印加電圧と電界の関係で起きる
....
目、ぬれてる
ポケットにひばな、突っ込んで
夜が死ぬのを待ちました
ワルツされる 砂の中で
心底待っていました
(水溜りで溺れます)
(水溜りで喜びます)
林立した子供の列はファ ....
けだものの口からはいつも涎が垂れていて
その臭いは数百メートル先まで届くが
けだものは気づいていない
もちろん
涎が垂れていることに
けだものの体毛は針のように硬く
生えている ....
生まれたての
手の平で つかんだもの すべて。
鎖骨の窪みから とくりと こぼれだし。
山や丘の傾斜地を ゆっくり流れる。
スペイン産の白ぶどう酒の
甘やかな匂い。
車輪のスポークが散らす ....
ここ数年でどれくらいが息絶えたんだろう。
誰にも聞こえないように呟いてみる
すごく酷いことした気分になる
瞬く街並をただの風景に見下ろしている
最近はドキュメンタリーばかりチクチクと胸を刺 ....
始点
まだ、精製されない月が、なめされてゆく朝、
わたしの瞳は、真っ白なままの夏の果実だ。
ながめるままに、わたしのからだは、白く締まり、
背中には、灰のまじった、蓑毛が生える。
も ....
僕は夜に少しだけ飛べる
会ったことはないけれど他にも飛べる人はいるはずだ
僕が飛べる距離は30m
ホントはもっと飛べるけど
進むにつれてどういう具合か高度を増すので
高度3mくらいになっ ....
振り向くと沖に知らない人ばかりになってこわい
貝の表面についてる回虫みたいな模様がこわい
高波が何でも持っていこうとするからこわい
クラゲが知らないうちに沢山わいてこわい
あが ....
全自動じいさんは全自動ですが、梅干しを混
入させると、寂びてしまう恐れがありす。
そこで、改良されたグレート全自動じいさん
は耐性が強く、決して寂びることも侘びるこ
ともないのですが、面白味は ....
せつないね 水の音
世界が 少し へこんで
水の音
くすり指 井戸で ひたせば
風が 吹く 家
宿題を ぱたんと 鳴らして
水の音
よるが 窓から やってくる
遠くの 森で
....
眠い目をつぶったまま一般道を、海の匂いを、ぼーと鳴く貨物船の音をたよりに
真っ直ぐと歩いて行くつもりです
想像するよりも速い、光速のドリルで僕のなやみのタネを根刮
ぎやっつけられればなぁ、い ....
ふうって
ためいき つくと
へやの くうきが
すこし ゆれる
くちを すぼめて
もうすこし つよく
ふうって ふくと
れーすの かーてん ゆれて
まどの そと
こずえも ひらひら ....
さかなにはさかなの
けものにはけものの
くらい、影があって
さかなにはさかなに
けものにはけものに
それぞれのくらしと
それぞれのねむりが
境い目の波に
夜の月明かり
揺 ....
おとうとの写真
って
いつも
いまいくつだろ、とおもう
ろうそくに
火をつけて
手をあわせて
いまいくつなの、と聞くと
それよりも
ねえちゃん、はだかだよと言う
....
ミルクと砂糖がないと駄目なんだって
そこそこに君が吹いた嘘と虚勢に
僕は今もつまずきながらです
そのノドボトケに白百合の花
ただ愛しい愛しい ....
蝉の声がした
蝉さえ鳴かなければ
静かな午後に
少し涼しい風が
カーテンを揺らしていた
席は三つ
高校の三階の
準備室の埃っぽい匂いと
積み上げられた椅子
圧迫する教材
....
クロスワードを解いている人たちを前に、最後のアナグラムの解答を言ってはいけない
戦争をしている人たちを前に、平和を好まないあなたがたは非人間だなどと、言ってはいけない
出された家庭料理を前に、あの ....
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