「反比例」
パール子供

眠い目をつぶったまま一般道を、海の匂いを、ぼーと鳴く貨物船の音をたよりに
真っ直ぐと歩いて行くつもりです

想像するよりも速い、光速のドリルで僕のなやみのタネを根刮
ぎやっつけられればなぁ、いいのになぁ、

そんな発明は万博の風とマルボロの煙にまかれ西の空に登って
行ってしまった

きっと、あしたのよるには成層圏を無事こえていけるさ
そして、
たぶん、ほんとの顔した「僕たち」のまつ喫煙所の換気扇から
最新特殊構造で守られた僕たちのカラダにドアを開け、
僕たちをぎゅっと抱き締めまた優しいはなしを聞かせてくれるんだ!
それは、別名、毒ともいわれ、

しかし、僕にはもう関係のないこと。海の匂いを、ぼーと鳴く
貨物船の音をたよりに、まっすぐと歩いて行くと決めたんだもの

キゲンの好い父の笑った顔が頭に浮かんだ、

「みんないなくていいのに」

そんな悲しいことを一人呟いていると

小学校のクラスメイトが一列になって対向をあるいてきた

みんなそれぞれの大切なものを大事そうに抱えてどんどんやってくる

「ここからは最後尾は見えない、列はまだまだ続いてるみたいだ」
「気をぬくんじゃない、そこからなにかを見つけるんだ」
「現実は靄でしかない、心でよみとるんだ」
「過去を泳ぐんじゃない」

それなのにみんな葬式のときみたいな悲しい顔でどんどんとやってくる、
「これではせっかくの大切なものがだいなしじゃないか」

砂嵐のようにざーざーと泣く雑音がなつかしい無線機の中から
流れてくるタンパクな声、
それは多分きっと君の声で、

きっと、うんと先のミライから
わずか数秒のあいだに届いた君からの僕への助言のようなもの


平静とクールを気取り何らかの緊張との狭間で僕は産声をあげ
るようにして応答を返した、

このままでは僕は正気を失ってしまう、この先僕はどうなるのかね?」

背中合わせのミライはいつも僕には抱えきれないほどの自由をくれる

「こんにちの君はとても穏やかにすごしているようだ」

日当たりのあまりよくない台所の換気扇の前に立ち手をのばしスイッチをONにする。
ちょうど目の前には小さな窓があって、そこから見えるなんのへんてつもない白昼の町並みを緑茶をすすりながら眺めてる。
窓の外の梅の木が今日も春と平和の最中新しく笑ってみせ、いつもと変わらない常連たちを肩にのせ何のへんてつもない日常をすごしている。
マルボロの煙が換気扇にひょろひょろと次々に吸い込まれゆく。
僕はなにか反比例なことをしている気がした。



未詩・独白 「反比例」 Copyright パール子供 2004-08-20 17:53:45
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