夏は涙を流してくれない
秋
瑞々しい草木の
しなやかな手に雫を落とす
冬
食卓のある窓の
鈍色ガラスに雫を垂れる
自分たちの体温に気づいた時
季節は泣いてくれる
....
滑走路を見ていた
その先は海
青く小さな灯が
巨大を導く
旅人たちは
デッキに出て
期待と少しの不安と
このひとたちに
幸あれかしと
通り過ぎる風は
海の香りがした
夢で逢いたいと願った/だけだった
薄暗い小路に狼はいない
木漏れ日の森に
明日は雷が降るから
煙草に灯を点けて歩いた
擦れ違う蝶の
乱れた花びらを焦がして
二度と繋がらない電 ....
夜の暗闇の中
街の灯は瞬いて
あのひとは
何をしているだろう
その疲れた身体を横たえて
それとも
誰かと笑いあって
好きです、
とも
慕っています、
とも
言えなかったひ ....
今宵
月はぬくぬくと満ち足りて
らすらぎの中で
空に身を横たえる
ひとは
その光に
祈りを捧げる
世界の平和?
明日の試験?
それとも
恋の願い?
月に祈りをかけて
人びとはそれぞれの夜を越える
あの頃
夏は飛沫だった
太陽の光も
プールの水しぶきも
弾けるサイダーも
無意味に思えるほど眩しく輝く飛沫だった
バスに乗って
あの頃に帰ろう
せめて
記憶を辿っ ....
思いもよらない
サプライズ。
緊張のあまり
無駄に料理を頼んでしまう。
「よく食べるね。」
って貴方がクスっと笑うから
夜景をそっちのけで必死で弁解。
そんな姿を楽しむ貴方に
焦って ....
寄せては返す
漣のような音色
碧く
深く
悲しいほどに透明なそれは
大気を満たし
僕の心にも滲み込んで
静かな
静かな夜を連れてくる
死んだ人々の霊が
自然の事物に宿るように
僕に忘れられたものたちは
自然の事物となるのかもしれない
僕が忘れてしまった
初めてプールに入ったときの記憶は
山道の苔となって
ひっそりと生き ....
人は炎のように形を変えて
そっと温め
時々燃やして
いつかは消えて
世界は炎のように形を変えて
そっと温め
時々燃やして
いつかは消えて
けれど炎は消え去らない
くすぶり続け ....
耳を
すます
もうすぐ
聞こえてくる
夜へといざなう
音のない音楽
夜があけて
朝が来る
まるで
果てしのない
悪夢のように
けれど
赤い太陽が顔を出して
おはようと呟いて
1日が動き出す
例え
今夜の夢で
また辛い思いをしても
....
西へ向けて 私は海を渡った
揺れる気持ちを波のせいにして 逃げていた
生まれつきの どうしようもないこと
恨んだところで変わることもないし
なら 愛そうと 愛そうと思って
そ ....
過去の記憶が
感情が
腐食されていく
それは今日の恩寵なのか
それとも
明日への道標なのか
わたしの上には
初夏の青空が広がっている
久方ぶりの再会
あの人は
ひどく優しい顔つきになっていた
陰影を湛えていた
昔とはえらい違い
皆には見えない
私には見えていた
大きな刀を裸で持ち歩いていたのに
信じた道を突き ....
悲しみを抱えて
苦しみを抱えて
それでも
わたしたちは
旅を続けなければいけない
何処へ?
風がふいた
もう7月
新しい夏が来る
欠けた月の前を
白い
大きな鳥が
西へ
通り過ぎてゆく
どこへ行くの?
お前は
急いで
呼んでいるの
みんな
帰る場所があるの、ね
西は
羽根を ....
ちいさな頃書いた、日記のように
空を何度もみた
いそがしいんだ、私
匂ってくる
なにもない、があるよ
との言葉に
泣きたくなる
こんな、ありきたりで、
罵ってください
むかし ....
光にあたりたい
ただ それだけで
日光の当たるところに何かあれば
必ず 陰ができるように
光の当たるところにだれかいれば
必ず だれかの光が途切れるのです
それでも
欲 ....
21
カレンダーを見ると
夏の途中だった
日付は海で満たされていた
子供だろうか
小さな鮫が落ちて
少し跳ねた
恐くないように
拾って元に戻した
22
フライパ ....
GIVEが先、TAKEが後
与えて与えて与えて
始めて貰える物
皆損得で動いている
GIVEばかりでもだめ
TAKEばかりでもだめ
GIVEですぐに見返りを
期待すると行き詰ってしま ....
叶わぬ、恋の行き先を。
誰が見届けると言うのだろうか。
誰も知ることなく、飲み込まれてく。
儚くも、微熱を帯びた、恋。
もしも、今が覚めない夢の中なら。
今すぐにでも、君 ....
ひんやりとした湖の底で
青を反射しているハートの指輪
の持ち主など、はじめから居なかった
(その周りで
目を濁らせ漂う魚たち
は、
宛ら、雑踏でせめぎ合っている
吐き出され ....
君の言葉はまちがいなく真実なんだけれど
僕が目にした現実が全てを否定する
確実にこの想いは存在しているはずなのに
否めないありのままの宇宙の真理は
梅雨空に本来の姿を映し ....
君の好きな色だと知ってから
白い紙をみずいろに塗っていくだけで
きみに近づけたようなよろこび
大人になんてなりたくないと
思った時から
ずっと星を探していた
将来への自信と
可能性への期待に満ち溢れて
星は必ず見つかるものと
全ての人に全ての星があると
それが当然だと思っていた
....
11
ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う
またやってくる
次、のために
海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている
12
ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり ....
薄い青風と坂とアラームと
始まりは 皮肉な光と 脱力感
踏み切りが私を呼んだ白昼夢
時間には逆らえないねと十六時
夕焼けは君が言うほど赤くない
食事なら色彩欠如の晩餐会
....
「序詞」
ゆりかごの中で
小さな戦があった
理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした
けたたましくサイレンが鳴り響き
その海から人は
眠りにつくだろう
....
?.
七百七十六番目の天使が
翼をなくした
俺は 黙っていた
言葉は全て 汚れているから
俺は 黙っていた
あと十秒
?.
六百六十五番目の悪魔 ....
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