雨の日は
耳になる

秋は死に
鳥は黙したまま


はじめから
世界は
満ちることなく

ぼんやり
霧にぬれる
地球と鳥篭
05:50 目覚ましが鳴る
ピッピッピッ
頭を押すと目覚ましが止まる
ピッ ピッ ピッ ピイ ピイ ピイ
小鳥の囀りにかわる
ぼんやりした靄をつきぬけて
06:00 妻が起きる
06 ....
すくい取った甘い夢を
流れ星に似た銀色のスプーンで
獏の口に運ぶバイト

夜の闇に似た獏は
いつもそれが当たり前のような顔をして
口をあける


口の中には昨日食べた

ユキちゃ ....
絵描きの描く肖像画は
どれも本物と見間違うほどの
素晴らしい出来映えだったが
どの絵からも
顔の構成品がひとつだけ欠けていた
片目の瞳だったり
上唇だったり
耳たぶだったり
必ずどこか ....
この惑星のこのあたりはそろそろ晩秋で
赤く色づきはじめたハゼの葉が
窓の外に揺れ

この惑星のこのあたりはそろそろ夕刻で
暗くなってきた室内に
パソコンの画面がまたたき
またたき

 ....
今から何十億年も前
僕達の祖先ともなる生物が
海のなかで生まれました

やがて人へと進化するその過程のなかで
僕らが母なる海に包まれていた
時間は計り知れません

僕らは母から生まれる ....
庭が熱くて 幾重もの春がはりつくものだから
わたし 困ってしまっていたわ
被子植物のウロが溜まった真昼で硬くなってゆくのを
我慢して見ていたのよ
それでもわたしははらえないから 業者に頼んでお ....
蝶々が空を飛んでいきます

信号が青に変わったので
横断歩道の白線を跨ぐ
振り返って立ち止まると
車のクラクションが鳴るので
よく見ると信号は赤だった

白い傘を差した人が歩いています ....
粘液を呼吸する魚の死んで浮いている腹に蜃気楼の見せる都市が透けている 実は嫌われた趣向が寄り添う白さに何の嘆きもなく飛び込んだから揺れているだけ 戻り得ぬものに讃歌 ぶれた現実が好んだ料理は忘れられた .... 力になってあげたい
そう思うのはお節介でしょうか
しかしアナタを哀れむキモチは
変わらないのです

耳はあるのですか
そう思うのは冷酷でしょうか
しかしアナタはワタシのコトバなど
無意 ....
陽が高くなれば消えてしまう
でも 日が昇りたてや 沈みかけた頃
あなたの匂いがする
もう そんな季節になった
これが去年の私なら
わざわざ匂いに乗せて
あなたを思うことは しなかった
そ ....
のみかけのココアはそのままに
あなたはここを出ていった
コーヒーものめない子どものくせに
あたしから離れていくなんて
のみかけのココアは
つめたい部屋にぽつんとおかれて
ゆき場をうしない
 ....
曇り日の
凪いだ海に漂う
うつぶせなサーファー等の上に舞う
アホウ鳥の{ルビ呑気=のんき}な飛翔を眺めつつ

{ルビ理由=わけ}もなく
「にたぁ」とほほえんでみる

僕は
もう
疲 ....
この世でいちばん哀れな女って
どんな女だと思う?
それはね
忘れられた女よ
捨てられた女よりも
死んだ女よりも
もっと哀れ
あたしのママはバーの歌手で
たばこやら
酒やらを片手に
 ....
 君の名はパトリ 白い肌の優しいパトリ
 君の名はリーリ 眩しい笑顔の太陽リーリ
 君の名はディアロ 生傷の絶えない頑固者ディアロ

 世界の色は朝ごとに夜の元素が
 太陽の熱で変質した ....
・証拠は 残さないように 旅に出よう この灰色の 街を{ルビ逃=のが}れて
・トラツグミ 泣きつる方を ながむれば 山吹色の 花ぞあふるる
・セピア色 ただわけもなく にじんでく まだ途切れない  ....
ネギを買いそびれて
僕たちはネギの話ばかりしていた
こんなに真剣にネギの話をしたのは
何年ぶりだろう、なんて

今でもネギを見ると
あの日のことを思い出す
だから僕は
ネギを食べなくな ....
今、寒いと言った
昨日も言った
一昨日も
その前の日も、多分

毎日毎日が
まるで当たり前のように
それを確認するかのように
毎日毎日を

明日、僕は
大好きなあの人と結婚し ....
形。
私はこけしに似ている。
木の机に こけしを置くと
転がり落ちそうだ

箱根で君が
「欲しいの?」と問うた
木の 指輪
欲しくないが。

きっと こけしのまま
おばあさんにな ....
どうしろというのだ
どうしたというのだ
ささくれているぢゃないか
目頭を溶かしている君
君のことだよ
さらわれたのかい?
おこられたのかい?
なくしてしまったのかい?(はて)

軟土 ....
そのままの静かな脚の間から
見える色は枯葉だった


風と風ではないものの境に
あなたは立っていた


空き地に囲まれた家が
はじめて舞うもののようにふるえてい ....
流れはじめる雲はみな
夜の灯りに焼けたように
薄暗く赤く降りてくる


あの雲のほうに行くのだ
町をがさがさと覆い隠す
あの雲の視線を向くのだ


曲がり角を ....
人はなぜ恋文を書いたか
体内の炎を紙につけて燃やすため
でもあるが案外
紙と鉛筆がそこにあったから

近頃では
恋人たちはテレホンカードを消費する
電話器は二十四時間鳴りっぱなしで
体 ....
夕焼けに
あなたをひたしておいたのは間違いだった
体の重みが邪魔でならないというように
身をよじって窓辺のベッドに横たわる
へそのくぼみから腰骨
肩甲骨
うで
まるく光る乳房
あごの下 ....
とにかく暑くて
冷蔵庫のなかは空っぽで
喉がカラカラで
唾も出てこなかった
汗だくのまま
床に寝転がっていると
空っぽのペットボトルが
部屋のすみに転がっているのを見つけた
拾い上 ....
どうしても白熱灯でなければいけないのです
冬はあたたかいし
心なしか 黄色く胸がおどり
照らすと天気の記号のように半分になるので

そう こわれものはやわらかな
空気の入ったビニールでつつ ....
サナギの行列
おしなべて
コンニチハ

ウルトラ兄弟
こらえて
コンニチハ

バナナの枝房
どうもどうも
コンニチハ

洗濯バサミ
これはこれは
コンニチハ

去年の冬 ....
夜が怖い
夜になると過去が襲ってくる
昼間、隠してあった弱い自分が
今のボクを飲み込もうとしてくる
耳を塞いでも
暗闇の何処からかその声は聞こえ
暗闇を無くそうとしても
目を閉じればそこ ....
人々が同窓会に出席するのは
みな自分に会いたいからだ
失われた自分自身を確かめたいのだ
それぞれの顔に刻まれた時間を
みつめあい 納得する
料金が足りませんからと
窓口の向こうの若い局員は不機嫌そうな顔で
茶筒みたいにふくれた封筒をつき返した
そりゃあ、足りないのは僕の落ち度ではあるし
深夜勤務の彼にはちょうど今頃が
一番眠たい ....
やぎしきさんのおすすめリスト(700)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
記憶- 青色銀河 ...未詩・独白503-11-2
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欠落- アンテ自由詩14*03-11-2
九十億のそのつぎの- 佐々宝砂自由詩603-11-1
母なる海- 桜 葉一自由詩103-10-31
ウロとラッパ- 嘉村奈緒自由詩803-10-31
またとない別れのために- ふある自由詩503-10-31
水遊び- 黒川排除 ...自由詩103-10-31
蓮と梔子- 天風澪自由詩103-10-31
風だけが- KEIK ...自由詩103-10-30
のみかけのココア- かなりや自由詩403-10-30
瓶ノ墓- 服部 剛自由詩503-10-30
忘れられた女_に- かなりや自由詩203-10-30
colors- マッドビ ...自由詩203-10-30
現実逃避- 春日野佐 ...短歌203-10-30
ネギ- たもつ自由詩1603-10-30
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新しい夢- 山内緋呂 ...自由詩403-10-30
雨・朝食物語- 湾鶴自由詩403-10-29
ノート(ふるえ)- 木立 悟自由詩703-10-29
九月散景- 木立 悟自由詩203-10-29
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緩衝が、干渉する感傷の- nm6自由詩703-10-29
コンニチワ袋- 湾鶴自由詩203-10-28
- 暗闇れも ...自由詩103-10-28
同窓会- 狸亭自由詩303-10-28
Please_Mr._Postman- 山田せば ...自由詩24*03-10-28

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